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接触

久々の連続投稿になります。

俺は単車(バイク)から降り、人の気配がなく、静まり返った大学の敷地内へと入る。


武志は大学から俺の携帯に連絡してきた。


あの時、電話ごしでも分かるほどに大学内は騒がしかった…この静けさは一体。


……正門の横にある警備室は?

たしか、警備員が常駐しているはず。


警備室に近寄ってみたが、いつも優しい笑顔で迎えてくれる初老の警備員の姿はそこには無かった。


「……っ!?」


警備室の受付の窓には、内側から血のついた手で引っ掻いたような後が残されていた。



……大学内に感染者がいるのか?

都内は隔離地域に指定されてはいないはずだが…。



この場から離れて警察にまかせた方がいいのでは?


…普通ならそう考えるだろう。


だが、武志が大学内で生存している可能性が僅かでもある以上、俺は自分だけ逃げ出す事はしたくなかった。


アイツを連れ出して単車(バイク)で脱出する……

だが、それには情報が必要だ。


建物内にどれだけの感染者がいるのか分からないが、警備室には敷地内を写している監視カメラのモニターがあると、警備員から聞いた事がある。


警備員は感染者になってしまったかもしれないが、その辺に歩いている成人男性ぐらいは、軽く殴り倒すぐらいの腕力は俺にはある。



いざとなったら、戦えばいい…



そう考えて、俺は警備室の扉のノブを回した。


扉は施錠されてはいない……明かりがついていない警備室は薄暗く、奥に何がいるのか分からなかった。


俺は扉の横にあった電灯のスイッチを入れる。



室内に入った時には気が付かなかったが、警備室の床には大量の「血だまり」ができていた。



その「血だまり」から「死体」を引きずったような血の跡が、警備室の奥へと続いている。


「何か」がいる事は間違いない…


警備員が腰に装着している「特殊警戒棒」を床から拾い、俺は「何か」を確かめるために血の後を辿るように奥へと進んだ。



そこには……



うつ伏せになって倒れている初老の警備員の体に乗り掛かり、夢中になって首筋に噛みついている大学の講師の姿があった。



動物が何かを食べているような「クチャクチャ」と不快な音を出して、人肉を貪っている。



「…本当に…化物(ゾンビ)になってやがる」



俺の独り言に反応したかのように、かつての講師は貪り喰うのを止めて振り返り、真っ赤に充血した目で俺を見てきた。


口の周りや鼻まで返り血で染まり、だらしなく開いた口からは血が混じったヨダレをたらしていた。

ゾンビと化した講師は、ゆっくりと立ち上がり


よろめきながら、俺へと歩を進めてきた。



「…それ以上、近づいてきたら……殺す」



警告は当然のごとく無視され、悲痛な唸り声をあげながら講師は近づいてくる。


警戒棒を頭に叩きつけようとしたが、生前の講師の笑顔が脳裏をよぎり、警戒棒は頭を外れ、講師の肩に当たった。


「……クソっ!」


講師は俺の手を掴み、押し倒そうとしてきた。


単純な力勝負なら負けないとふんでいたが、講師の細身の体格からは想像もつかないほどの怪力に驚愕した。

俺は押し倒されないように踏ん張るのが精一杯だった。


「……野郎」


咄嗟に右膝を相手の脇腹に叩きこんだ。


講師は呻き声を上げてよろめく……俺は体重をのせた「右回し蹴り」を放ち、講師を地面へとなぎ倒した。


俺は手に持った警戒棒を四つん這いになった講師の頭に、渾身の力をこめて叩きつけた。


頭蓋が割れるようなイヤな音をたてて、暫く痙攣したのち、講師は2度と動かなくなった。



「……殺った…のか?」



化物になっていたとはいえ、元は人間だ。



俺は初めて人を殺した……



その重い事実を受け止めた時、軽い過呼吸の症状が出たのか、両腕に痺れを感じた。



「……最悪な気分だよ。クソッタレめ」



そう呟きながら警備室のモニターを確認をしようと背を向けた時、部屋の奥から物音がした。


とっさに振り向いて身構えた俺が見たのは、講師に喰われて絶命したはずの警備員が、身をよじりながら動く姿だった。


首の肉が半分以上無くなり、脊椎が見えている状態で「唸り声」を上げて必死に立とうとしている。


だが、首筋を喰われた影響で神経が途絶えているのか、立つことが出来ずに「芋虫」のように蠢いていた。



「……喰われて死んだ奴は、すぐにゾンビになりやがるのか!…クソっ!」



俺は警戒棒を持ち直し、ゾンビと化した警備員の後頭部を何度もメッタ打ちにした。



陥没した警備員の後頭部からはドス黒い血が流れ落ち、耳からは黄色い液体が吹き出していた。


むせかえりそうな異臭が室内に漂い、気分が悪くなった俺は警備室から出て、地面に嘔吐する。



胃の中にあったものを全て吐き出した俺が横目で見たものは、大学の正門から敷地内に入ってこようとする感染者達の姿だった。



「道理で人がいないと思ったが…ヤツラ。隠れていやがったのか」



感染者同士に意志疎通する能力があるのかは分からないが、唯一の脱出経路は塞がれた。


あんなに大量の感染者がいては、バイクまでたどり着けない。


俺は血で染まった警戒棒を持ちながら、大学の建物内へと逃げるように進んだ……



さらなる絶望があることを知らずに









どうだったでしょうか?


第1章はヒーロー的な部分もありましたが


第2章はホラー的な要素を出したいと思っています


バイオハザード1のような「そこにいる恐怖」を目指して頑張りたいですな

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