楽園に近き者
ーー永田町 内閣府ーー
「総理……「コードゼロ」になります。厚木基地からのヘリが間もなく到着します。楽園へ避難しませんと」
「 官房長官……アメリカ大統領は?」
「 すでに…楽園に避難しております。各国の指導者も、のきなみ避難済みです。それと…警視庁の沖田警視正でしたかな?…彼もSATと共に楽園へと向かっています」
「…彼には借りがある。丁重に扱いなさい……官房長官。分かっているとは思うが…メディアの演説では…」
「…心得ております。騒ぎは大きくせず、都市部の人間をなるべく留めるように…ですね。末端の警察も」
「よろしい…ゼロに対して無力な者達は切り捨てなければならん。無論…市民の避難などもっての他だ。与党・野党の議員及び、自衛隊の幹部を最優先に避難させろ。我らがいなければ「日本」は存続出来なくなるからな」
「…承知しております。それと…ライオットカンパニーが在駐している社員のために精鋭を送り込むそうです。カラーズの隊員らしいですが…」
「…好きにしろと言っておいてくれ。あぁ、そういえば…私の家族とは連絡はとれたのかね?」
「いえ、ですが……特殊戦略部隊「ミスト」が向かっております。他の隊員は…全国の原子力発電所に「コードゼロ」の発令直後に急行してますが」
「原子力発電所を安定しつつ。都市部の電力を切断する手筈か。いまや、ネットで色んな物を見ることができるからな。切り捨てた者たちに余計な知識を与えん方がいい…それが、彼等のためでもある」
「…左様で。それでは、私は防衛庁長官とともに指揮にあたります」
「君も早く来るがいい。もはや、ゼロの脅威は世界中に広まりつつあるのだからな」
…………。
「……クソっ!!狸めっ!早々と逃げだしやがった!なにが総理大臣だっ!臆病者め 」
「…長官。私たちも楽園へ避難した方がいいのでは?マニュアルでは「コードゼロ」が発令した時は逃げるようにと」
「ふざけた事をぬかすなっ!国民は、まだ生きている!指揮をとらんでなんとするか!私は最後まで………なにっ!?……き…貴様!」
「総理の言った通りですね……官房長官。愛国心は今や不要なのですよ。私も死にたくはない…貴方を殺して楽園へと向かいます。あぁ…メディアには貴方より「受け」がいい人間を用意しますよ。安心してください……」
そして……
……相馬の戦いが始まる。




