表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/117

そして…

編集するかもしれませんが、

とりあえず第1章は終わりとなります。

「…ここは!?…何処だ?」


気が付いた俺はベッドから上半身を起こし、辺りを見回していた。


病室なのか…?


清潔な白いシーツに布団、目の前の机には古いブラウン管のテレビが置いてあった。


俺の言葉に反応したかのように、部屋の扉が開くと、見知った顔の女が入ってきた。


「ナオキ…気がついたのね。良かったわ…もう、3日も眠り続けていたのよ」


戦闘服ではなく、純白の白衣を着たマリアが部屋に入ってきた。


「マリア…俺は…どうしてここに」


「村の広間で狂ったように暴れていたアナタを気絶させて、私達がここまで運んだわ。一体、あの家で何があったの?」


暴れていた…?俺が……?


全く記憶に無い。俺は「あの家」で起こった出来事をマリアに全て話した。


「あの家にいた子供は?」


「ナオキ……それを私の口から言わせる気なの?」


始末したのか……任務である以上、当然といえば当然…か。


「あの後、どうなったんだ?」


「それは、アナタの目で確かめるといいわ」


マリアはテレビの電源をつけて、チューナーをいじり始めた。

そこには、俺達に依頼をした独裁者(ハゲ)が演説をする姿が写し出されていた。


「この痛ましい出来事を我々は忘れてはいけません。彼らは非道にも、罪もない市民を虐殺し、なけなしの食料を奪っていったのです。ここに私は誓います!我が国はテロには屈しません!この国に正義と平和を取り戻す為に我々は戦うと……」


胸糞悪くなる演説に反吐(ヘド)が出そうだった。


正義と平和だと……?


「ふざけやがって!あのハゲヤロー!テメェが起こした八百長じゃねぇか!…何が正義だ!テメェの政権を維持したいだけの腐れたプロパガンダだろ!」


俺は側に置いてあったペットボトルをテレビに向かって投げつけた。


「…ナオキ。この世界に「正義」なんてものは存在しないわ。「正義」とは、その時代の流れによって決まるものなの…例え間違った行いでも流れにそえば、それは「正義」となってしまうものなのよ」


何だと…?こんな…民間人を虐殺した事が正義だと言うのか?


「…今回の一件。依頼主は「表向き」には「あの国」になっているけど。本当の依頼主はCIA(黒服)なのよ。あの国は「産油国」だからね…長く内戦が続けば石油経済に影響が出るわ。だからこそ、一刻も早く内戦を終わらせなければならなかったの」


CIA……?米国が絡んでいたのか…


いや、それどころじゃない…恐らくは石油を輸入している国々……俺の故国、日本も例外じゃない。


そうか……そういう事なのか。


演説が終わり、テレビは世界各国の情勢を写し始めた。


「今回の事件を機に各国の市民団体が、プラカードを掲げて「世界平和」を訴えています。欧州やアジア各国は「平和」への願いをこめて、蝋燭に火を灯し、黙祷しながら犠牲者へ弔いを……」


何…?…平和への願いだと……?


「プッ……!ハハハハ!……何が平和への願いだ!何も知らねぇ平和主義者(ピースウォーカー)ども!…先進国(テメー)らがクソみてぇに資源を消費しているお陰で、今回みたいな事が起こったんだろう!ふざけんじゃねぇ! 」


「…ナオキ。彼らは知らないのよ。世界がどんな犠牲を払って動いているのかを……それによって作り上げられた平和と言うものを」


弱者が踏み台にして作られた平和…か。

それに何の価値がある…?


「これから…アナタはどうするの?」


「ヘッ……さぁな?仏門にでも入って一生暮らしていこうかな。もう…沢山だ!ウンザリなんだよ!何もかもッ!!クソくらぇだ!!」


世界にも…自分にも絶望した俺は自暴自棄になっていた。

もう…何もかも嫌になった。


「…そう思うのなら、何故「あの時」に辞めておかなかったの?」


「あの時…?」


「アナタは村に入る前に服を受け取ったじゃない。その時、アナタは「こうなる事」は分かっていたんではなくて? 今更、逃げるのは卑怯だわ」


……逃げる?


「私達の任務は「世界のバランス」を保つこと…キャットも言っていたでしょう?これが「カラーズ」の任務だと…そして、アナタは考えていたはずよ、これは御父様が課した「本当の兵士」になる試練だと」


確かに…俺は考えていた。


「ナオキ…私達のやった事は、決して許される事ではないわ。でも、前にも言った通り…誰かがやらなければならない事なの。そして、カラーズの任務は誰もが出来るものではないのよ。アナタには任務を遂行する「力」がある」


(ちから)……カラーズの隊員としての能力か。


「偽りの平和のためでもいい…その力を無駄にして生きて欲しくはないわ。あの村の人達は何の為に死んでいったの?私達…アナタには、あの人達の死を背負う責任があるわ。それをよく考えなさい」


そう言うと、マリアは俺の部屋から出ていった。




俺は……





そして……三ヶ月後……



「フム…相沢は、よくやっているようだな」


「ええ…先の大使館人質事件…ナオキの活躍で人質は全員救出。犯人達はナオキが全員始末しています」


「ようやく…一人前になったか。甘さがネックだったが…まぁ、日本という国で育っていたのでは無理はないがな」


「その日本ですが…我が社に投資する額を、来年度は倍にするそうです。これで、投資額はアメリカに次いで第2位となります」



「ほう…日本が軍事産業に本格的に介入する噂は本当のようだな。ますます、面白くなりそうだ」


「アメリカが放棄したG(グラヴィティー)アーマー計画を引き継ぐようです。それと……アメリカ軍の次期主力銃のコンペにも参加するとか」


「あの国が本気で研究すれば、Gアーマーも夢物語で終わらないかもしれんな……マリア、相沢にコレを渡しておいてくれ」


「これは……では、ナオキにコードネームを」




ああ……奴のコードネームは



「赤い(レッドウルフ)だ」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ