第五遭遇
「そ、それで霧山さん…なにを探すんですか?」
雫が恐る恐る手をあげながら言った。
「普通、GlobalPositioningSystemUniverseを使うんだけど…この星には無いから地道に探すしかないわ」
「変な単語が入ってたぞ」
「変な単語?」
「ぐろーばるぽなんとかだよ」
「え?知らないの?」
怜奈は雄夜のことを嘲笑う。
「知らないの~?」
今度はニヤニヤしながら怜奈は雄夜に言った。
「教えてあげよっか~?」
「あ、あの、私も知りたいです」
「雫ちゃんがそこまで知りたいって言うなら、教えてあげよっかな~」
雫はちゃんづけをされて、最初は戸惑ったが実際は嬉しかったのか顔を赤くしながら笑っていた。
「それじゃあね、GlobalPositioningSystemって分かるよね?」
「…分からん」
「あ、あれですよね、えっと…GPSの…」
「正解!」
そう言いながら怜奈は雫に抱きついた。
「そう、GlobalPositioningSystemの略称をGPSっていうの、それにUniverseをつけてGPSUっていうのよ」
「了解了解」
雄夜はめんどくさそうに頬をかきながら言った。
「さぁ!探すわよ!」
そう言いながら怜奈は拳を振り上げてミステリーサークルの中心に歩き始めた。
浅華公園は広大な敷地であるが遊具は少ない。しかし、広い芝生の広場がありそこでバドミントンやサッカーなどができるのだ。
そして、今回のミステリーサークルは広場をすべて使ったものであり、少しだけ土をえぐるように一辺が二十メートルの正三角形の角に接するように円を描いて、正三角形の中心に直径五メートルの丸いくぼみができている。
怜奈は中心の丸いくぼみに近づき、中を見た。これといった珍しいものはない。
後から雄夜と雫が見るが、なにもない。
その後、怜奈がミステリーサークルをくまなく見ていくが、なにも見つけられないまま時間が過ぎていった。
「もう、終わりにしようぜ」
雄夜はずっと歩いて疲れたので、怜奈に提案をしてみると怜奈は少し考えた後、しぶしぶ了解をした。
∇▲∇▲∇
あのあと、雄夜達は解散をしてそれぞれの自宅へと向かった。
「あの人達は、私のことを怖がらないでくれるかな…」
雫が誰もいない夜道を歩きながら言った。
街灯に照らされた黄色の髪はキラキラと輝き、まるで月のように綺麗だった。
雫は少し、今日のあったことを思い出して微笑んだ。
怜奈は少し悔しそうに顔をしかめながら、腕を組んで考えていた。
怜奈の双子についてだ。怜奈は瞳の色が青で髪も今は染めているが本当は青なのだ。かといって、怜奈は異星人だけが持っている特殊能力などは持っていない、怜奈と双子は片方は容姿を受け継いで、もう片方は特殊能力を受け継いでるのだ。
「もしかしたら……」
怜奈はゆっくりと唇の両端をあげて、不気味に笑った。