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第四遭遇

「母さん、ちょっと外にいってくる」


そう言いながら雄夜は外にいくために、ジャージに着替え始めた。


「どうしたの?」


洋子は頭にクエスチョンマークを浮かべながら雄夜に言った。


「用事を思い出した」

「こんな時間に?」

「あぁ。待たせてる」

「ふーん、よく分からないけど高校生になったんだから好きにしなさい」

「ありがとよ、いってきます」

「いってらっしゃい」


雄夜は玄関をとびだし、自転車にまたがるとライトをつけて駅に向かった。


時刻は十時をまわろうとしている。雄夜は和らいできた寒風を体全体にあてながら自転車をこいだ。雄夜の息は白くなり、自転車が小さく悲鳴をあげる。


駅につくと雄夜は浅華公園に向かう地下鉄にのって、息を整える。


地下鉄の中には少なからず人はいるが、静まりかえっている。


雄夜は携帯電話をポッケから取り出して、時間を確認した。時刻は十時十五分。


雄夜は焦る気持ちを抑えながら、つり革に掴まっていた。


十分後、雄夜は地下鉄をおりて浅華公園に向かって走りだした。


∇▲∇▲∇


怜奈はミステリーサークルの周りを歩きながら、何かを思い出すような遠い目で見ていた。


「はぁー、帰りたいな」


怜奈はぽつりと一人言を言った。


「こ、こんなところで、ど、どうしたんですか?」


怜奈は背後から聞こえた声の方向を見ると、小さな女の子がいた。


顔を少し傾けて顔にかかる黄色い髪の毛を手で耳にかけてとまどった微笑みで女の子は怜奈に話しかけた。


「え…っと、君もこんなところにいると危ないよ」


怜奈は大人の雰囲気をだしながら、女の子の頭を撫でた。


女の子のショートカットをした黄色い髪の毛は怜奈の指の間をさらさらと通り抜けた。撫でられた女の子は頭を撫でられたのが気持ち良かったのか下向きながら顔を赤くしていた。


「早く帰りなさい」


またも、怜奈は大人みたいに言うと、女の子は顔をあげて怜奈を見ながら言った。


「えっと……同じクラスですよ」

「………え?」


怜奈が目を見開いて女の子を見た。


「確か…霧山さんでしたよね」

「…う、うん」

「あ、私の名前は琴葉ことは しずくと言います」


怜奈は驚きながら雫を見ていた。雫の体型と顔は、小学生のようだった。そして、一番気になるところが黄色い髪である。


「あ…あのさ」

「な、なんでしょうか?」


雫は、なにもしてないのに焦りながら怜奈を見ていた。


怜奈が黄色い髪について言いよどんでいると、雫は怜奈の手を両手で握りしめた。


「この黄色い髪は突然変異です。決して異星人とかではないですよ」


怜奈は心底驚いた。自分の思っていたことが雫に見透かされたような気がしたからだ。黄色い髪についてだったら他の人も聞きたくなるが、異星人についてはずばり当てられた感じなのだ。


「こんなところで何してんだよ」


怜奈の前には息を乱して手を膝につけながら汗を流してる雄夜がいた。


「おっ、やっときた」


怜奈は怒っている様子も見せずに微笑みながら言った。


「なんで帰らないんだよ」

「え?だって約束したじゃん」


雄夜は怜奈の目をじっくり見た後、ため息をした。


「分かった。早く見せてみろよ」

「なにを?」

「お前が異星人ってことをだよ」

「これから調べるんだよ」

「………はぁ?」

「ちょうどここに人員が増えたから、早く見つかるよ」


そう言って怜奈は隣にいる雫の肩に手をおいた。


「え…な、なんでですか?」


雫が勢いよく首をひねって怜奈のことをみた。


「あなただって、私が異星人ってことを疑ってるでしょう?」

「し、信じてますよ!」


雫はここで首を縦に振ったら、面倒な事が起こると思った。


「本当に!?」


怜奈は満面の笑みで雫のことを見た。


「それじゃあ、この信じてない人に証拠を見せるのを手伝ってくれるよね?」


どっちにしろ雫は手伝うはめになった。


「は…はい……」

「ありがとう」


怜奈は再び雄夜のことを見て、ドヤ顔をした。雫が本当は信じてないことを雄夜は分かっていた。

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