第一遭遇
雄夜が襟を離されたのはビルの路地裏だった。普通の人だったら恐いとおもうが、雄夜は楽しんでいた。雄夜にとっての危険は快楽なのだ。
「よくも笑ってくれたね」
怜奈が今日の教室で見せた怒りの目を雄夜に向けた。
「おう!笑ったぞ!それで今から何すんだ!?」
雄夜はどんなことが起こるか楽しみでテンションを上げながら言うと、怜奈は雄夜の予想外の言動に驚いた。
「あなたね……この状況分かってるの?」
怜奈が呆れて、溜め息まじりで雄夜に言うと、雄夜は「分かってるから、聞いてんじゃん!」と嬉しそうに言った。
「もしかするとあなたって、M?」
怜奈がゴミを見るような目をしながら言った。
「ちげぇよ、俺は危険を味わいたいだけ」
この言葉に怜奈はショート寸前だった。
「意味が分からない………」
怜奈が片手を頭にのせながら考えていると馬鹿らしくなり怜奈は考えるのを放棄した。
「まあいいわ、今から私が異星人の証拠を見せるよ」
すると、怜奈は下を向いて指で目を撫でた。雄夜は最初何をしてるのか分からなかったがよくよくみるとコンタクトレンズをはずす動作だった。
怜奈がゆっくり頭を上げて、雄夜の事を見た。
「青…色……」
怜奈がコンタクトレンズをはずした目にはオーシャンビューのような透き通る青色の瞳があった。一瞬雄夜は魅とれたが、直ぐに笑いが込み上げてきた。
「ぶははははっ!それが証拠ってか?笑わせんなよ、日本人だってよ黒や茶色の瞳かあんだぜ、青色だっているかもしんねぇじゃねえか、あははははっ!そ、それを証拠って」
怜奈は自分が馬鹿にされているのに怒りが込み上げて、サッカーボールを蹴るように足を後ろにあげた。
「わ、わ笑うなぁ!」
怜奈の足は雄夜の腹を直撃した。今日で二回目の雄夜のうめき声と共に雄夜は吹っ飛んでいった。壁に鈍い音がなり、雄夜はぶつかった。
さすがに怜奈もやり過ぎたと思い、雄夜に近寄り怪我はないか確認したが雄夜は無傷だった。
「嘘……」
怜奈は自分の全力で蹴りをいれたはずなのに雄夜に怪我が無いのを不信に思った。怜奈の蹴りは完璧に雄夜の腹に当たった。いくら腹筋とかが強くても不意討ちをされたらアザぐらいはできるはずなのに雄夜は無傷だった。怜奈は片手を口にあて驚いていると、雄夜は何もなかったように立ち上がった。
「んで、これだけ?」
雄夜はズボンについた砂を払い除けながら言った。無言でいる怜奈をみて雄夜は溜め息をついたあと話始めた。
「俺ってさ昔から体だけは丈夫なんだよ。まぁ、危険なことを挑戦して強くなってるかもしれないが」
雄夜は危険を味わいたくて、いろんな事を挑戦してきた。成功した回数以上に失敗した回数が多く、何度も入退院を繰り返してきたのだ。
「んで、これだけ?」
もう一回雄夜は繰り返す。雄夜のガッカリと言った感じで、怜奈をあざらわうと怜奈は心配した方が馬鹿だったと思い、意を決したかのように、真っ直ぐ雄夜を見つめた。
雄夜も見返すが、雄夜は少し戸惑った。目に少し涙を浮かべた怜奈が可愛かったからだ。女に全く興味が無かった雄夜ですら可愛いと思ったが、実は怜奈は普通のままでも充分すぎるほどの美少女なのだ。怜奈は中学生の卒業式に悟というサッカー部のキャプテンでイケメンと言われている超面食い野郎が告白したほどだ、もちろん実らなかったが。漆黒のセミロングの髪は顔の白さを際立たせて、切れ長の目は怜奈の強さがでており顔のパーツは完璧と言った感じだ。体型も出てるところはでており、へこんでいる所はしっかりへこんでいる完璧のプロポーションなのだ。
「実は私、異星人と人間のハーフなの」
雄夜がまた笑いそうになったが、怜奈が妙に真剣な顔つきだったので、雄夜は笑いをこらえた。
両手で口を塞いでる雄夜に疑問を抱きながら怜奈は話を続けた。
「でもね、他の星の異星人と交際は固く禁じられてるのに私の両親はしてしまったの。そして、私を授かった…聞いてる?」
雄夜は今、口を開けると笑ってしまうと思いただ首を縦に振った。
「両親のお陰で私は捕まらなかったけど、両親は捕まり今は牢屋にいるの。そして、これからが大事。実は私以外に双子として生まれた―――」
「もうだめだ!こらえられん!ぶははははっ!どんだけ自分を異星人にしたいんだよ!あははははっ!ひぃー息が、話作りすぎだろ、現実みろよ!あははははっ!ぶははははっ!死ぬー、俺、今日でどんだけ笑ったんだよ!あぁもうだめだ」
怜奈のなにかが切れる音がしたあと、怜奈はサッカーボールを蹴るように足を後ろにあげた。そのまま怜奈は男の弱点であろうボールを蹴りあげた。