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第十二遭遇

雄夜はあれから数日間入院したあと、学校に行くようになった。


あの事件から時間が過ぎていき…


もう、すでに四月の後半に入っていた。


「緑神くん、一緒に昼食を食べませんか?」


雫は弁当の入っているピンクの包みを両手で持ちながら、雄夜に微笑みながら言った。


「お、おう。いいぜ」


雄夜は雫の笑顔に少しだけみとれてしまいながらも言った。


雄夜も自分でつくった弁当をカバンから取って、席から立ち上がった。


「うるさいやつもいないしな」


雄夜が隣の席を見ながら少し嬉しそうに言った。雫も少しだけ笑った。


雄夜の隣の席である怜奈は、今日は休みになっている。なので雄夜は授業中、睡眠らの邪魔をされないのだ。


「とりあえず、どこで食べますか?」

「ん~、屋上。と言いたいとこだがここの高校は屋上の出入りはダメらしいしな」

「それでは、中庭はどうですか?」

「まぁ、そこら辺が妥当だな」


雄夜と雫は並んで、話をしながら教室を出ていった。



∇▲∇▲∇



「気持ちいいな~」


雄夜が背伸びをしながら、暖かく柔らかい春の日差しを体全体に浴びせながら言った。雫も隣で「そうですね」と言いながら雄夜のことを見ていた。


「んじゃ、ベンチにでも座りながら食うか」


雄夜がそう言って、雄夜は色とりどりの花が咲く花壇の隣にあるベンチに向かった。雫も雄夜のあとをついていった。


二人がベンチに座り、弁当の包みを膝の上で開けていく。


「緑神くんはお花が好きなんですか?」

「好きといえば好きなんだが…もう見飽きてるんだ」


雫が頭を傾けながら、?を上に浮かばせているようだった。それを見た雄夜は苦笑しながらも話し出した。


「俺って、危険なことばっかりするから入院が多かったんだ。んで、見舞いとかに花が送られてきて、病室には花がたくさんで匂いとかが結構するんだよ。それでもう飽きてんの」


雫がクスクスと笑ってしまう、その笑いに雄夜も少しだけ笑った。


「それでは、なんで花の前のベンチにしたんですか?」

「ただ単に女子って花が好きかなー、とか思ったから。嫌いだった?」

「全然!大好き!」


雫は両手を顔の前で振りながら言った。雄夜は「良かった」と一言言って弁当を食べ始めるのだった。


「緑神くん…今日―――」

「ああああぁぁぁっっ!!」


雄夜が突然立ち上がり、頭を抱えながら叫んだ。もちろん雄夜の弁当は地面に撒き散らされる。


「ど、どうしたんですか?」


雫が焦りながら突然発狂した雄夜に話しかける。


「今日…母さんの誕生日だ」


雄夜の母、洋子は誕生日には必ず帰ってくるのだ。理由は、誕生日の人はその日は命令ができて、命令されたら必ず実行という雄夜と洋子の間で結ばれたルールがあるからだ。


「誕生日プレゼント…買ってねぇ。頼む!去年の誕生日プレゼントは母さんを満足できなかったんだ、だから一緒に誕生日プレゼント探してくれ!」


雫はポカーンと急な申し込みに頭が回らないらしい。数秒後、雫は頬を朱色に染めながら「分かりました」と言った。


「本当に助かる。お礼は買ってるときに一緒に買ってやるよ」


雫は「お礼なんていりません」と言ったが雄夜は「それは無理だ」と断固拒否をした。雫も負けて、ため息をついたあと「お言葉に甘えさせていただきます」と嬉しそうに言った。


「よしっ!決まり!…って、ああぁぁぁっっ!!俺の弁当!」


雄夜は今頃気づいたようで、地面に膝をつけながら地面に散乱している弁当を見ていた。そして、落ちた弁当の中身をポケットティッシュで拾いながら、ゴミ箱に捨てた。


肩を落としながら帰ってくる雄夜を見るにみかねて雫は雄夜が座ったと同時に話しかけた。


「私ので良ければあげますよ」

「本当に!?まじで優しいー」

「私が作ったんですがそれでもいいですか?」

「全然大丈夫!」


そう言いながら雫はご飯を一口、口にいれてから雄夜に弁当と箸を渡した。


「お腹がいっぱいなので全部食べてもいいですよ」

「本当にありがとう。それじゃあ、いっただきまーす」


雫は笑顔で食べる雄夜を見ながら微笑んでいた。


しかし、その微笑みも少しずつ崩れていった。


雫の思考がある一点に至ったからである。そう、それは雄夜が使っている箸が自分のものだということに。


ボッ、といきなり雫の顔が朱色に染まる。雄夜は雫のことに気づかず、食べ続けている。


雫は見ているのが恥ずかしくなってしまい、雄夜の顔から視線を背けてしまう。


そのあと、雫は五分間下を向いていた。


「食べ終わったぞ、本当にありがと…う……………あ、悪い…雫の箸…使ってた………す、すぐに洗ってくるから!それに…俺、口でもゆすいでくるか!?」


雫は少しだけ頬を膨らませながら、雄夜に言う。


「そんなに私と間接キスが嫌いですか?」


雫の言葉に雄夜は一気に赤くなっていく。


「いやいや、し、雫が気にしてたら悪いと思って…だから…」

「私は気にしてません」


少しだけ雫はプイッと首を振る。


「本当に悪かった。もう、今日はなんでも買ってやるから、許してくれ」


意外に雄夜が素直なことに、雫は面白くて笑いをこらえながら雄夜のことを見て許した。

お詫び申し上げます。

更新が遅くなってしまっています。テスト期間に入ってしまい、小説を書く時間がありません。

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