第九遭遇
雫は小学生のときは人気者だった。相手の心を読むことができて、容姿は一番背が小さいなど、他の人より特徴があるからだ。
しかし、小学校を卒業すると仲が良かった友達は違う中学校に行ってしまう。
そして、雫は一人で中学生デビューをすることになったのだ。雫は小学生の時と同じく、心を読む能力をみんなに披露した。最初は周りの人は興味だけで、集まったが一週間が過ぎた頃に一人の女子が言った。
「ここまで当たるのって…気持ち悪い」
小学生と中学生の価値観の違いである。
「た…たまたまだよ」
雫はいいわけをするが、雫がちょうど手を握ってた女子からある思いが通ってきた。そして、頭の中でその女子の声が再生される。
『それもそうだ…気持ち悪い。怖い』
そして、少女は手を離した。
それから、雫は無視をされ続けた。近くにいたら秘密がばれて、言い回される。という嘘の噂がながれた。
二年生になると、噂は学校中に知られていた。先生ですら雫を避けていた。二年生の後半になるといじめがおき始めた。
物理ではなく、教科書が無くなっていたり、机に赤いペンで「来るな、死ね、消えろ」などの言葉が殴り書きされていた。
先生の前で起きてることだが、先生はなにもしない。
雫は学校に行くことをやめた。それからというもの、家の庭には生ゴミなどが投げ捨てられ、玄関のドアにも雫の机に書かれたように、赤いペンキで同じことを書かれていた。
雫はどんどんやつれていくお母さんとお父さんを見ることができなくなり、家をとびだした。
ただあてもなく歩く。
歩き疲れては座り込む。
その繰り返し。
五日は過ぎただろうか、雫はもう日にちの感覚すらも無くなってきた。
いつものように歩き疲れて、ビルの日影に座っていると、喋り声が聞こえた。
いつもなら雫は無視をするのだが、喋り声が聞き覚えがある声だったので、見に行くことにした。
恐る恐るばれないように、ビルの影に隠れながら見てみると、三人の男が少量の白い粉を袋にいれて、袋の口を手で丸をつくると、口を袋のくちにあて、息をしていた。
雫は直感でいけない薬、麻薬だと思ったが、聞き覚えのある声の人がいない。
「次は二万で売ってやるよ」
声と一緒に、ビルの間から雫が見覚えのある男があらわれた。
その男は雫の中学二年生の同級生だ。金持ちで有名だが、親が違法な手で金を集めているという噂が絶えない男だ。
そして、雫は違法な手が分かった。雫が走ってその場を逃げる。転びそうになりながら、向かう場所は警察署だ。
息をきらしながら、雫は走る。
見覚えの無い町で、雫は走っていた。
十分後、雫は警察署を見つけることができた。
雫は警察署に入ると、警察官は休憩らしくコンビニ弁当を食べていた。
「どうかしましたか?」
警察官が頭をあげながら雫を見ると、ガタッと立ち上がり距離をとった。
雫は心が痛くなった。人が人に拒否をされて、人が人に差別をされる。
「すみません…実は…」
「近づくな」
さっきまでの敬語と優しいトーンが今では雫に怯えて、目には差別、侮辱、拒否、怯え、が映し出されていた。
「大丈夫です…あの…本郷さんについて…なんですが…」
本郷とはさっき見た、雫が見覚えのある男のことである。
「う、動くなよ…」
警察官は雫にそう言いながら、ファイルらしきノートをコンビニ弁当がある机の一番上の引き出しから取った。
「言ってみろ…」