第八遭遇
雄夜が目を開けると、白をモチーフにした、というかほとんどが白い部屋だった。
「病院か…」
雄夜は見慣れた景色なのか、ベッドに寝ながら落ち着いていた。
雄夜は落ち着いてるが怜奈は大喜びをしながら、雄夜に抱きついた。
「痛いっ!」
雄夜は左腕に激痛がはしった。怜奈はすぐに雄夜から離れた。
「あなた、バスにひかれたのに、なんでそんな怪我ですむのよ」
怜奈は目に涙をためながら、下を向いて言った。
雄夜は勢いのついたバスに、直撃した。奇跡的に隙間で助かった!とかはない。本当にまっすぐジャストミートと言ってもいいぐらいに雄夜はバスにひかれた。
しかし、雄夜は全治一ヶ月の左腕の骨にヒビが入った程度だ。しかし、体全体に擦り傷などはたくさんあるが、致命傷はどこにもない。
「だから、俺は体が丈夫なんだって」
「心配したんだから…」
雄夜は、下を向きながらもじもじして言った怜奈の言葉が可愛く思えて、雄夜は怜奈の頭を軽く撫でた。
怜奈は拒否をすることなく、下を向いていた。
雄夜は雫の方を見る。怪我がないかを確認するためである。怪我が無いことを雄夜が確認しおえると、雫に向かって「よかった」と一言だけ言った。
「本当にありがとうございます。それと…」
「ん?」
雫は服の裾を強く握りながら、しっかりとした目で雄夜のことを見た。
「今から、言うことを信じてくれますか?」
「もちろん」
雄夜はすぐに返答を返す。
「実は…私…相手の心が読めるんです!」
意を決して、雫が言うと沈黙が訪れた。雄夜は口をあんぐりと開けていた。
「やっぱり、そうだったんだ!」
怜奈が雫に強く抱きついた。笑いながら抱きつく怜奈の姿に、雄夜はまた口をあんぐりと開けるのだった。
「ど、どういうことですか?」
雫も意味がわからないので、怜奈の胸にうずくまった顔を胸から遠ざけながら言った。
「実はね、私は生き別れの双子を探してるの。昔に聞いたんだけど、私は異星人の容姿をしていて、もう一方は異星人の特別な能力があるんだって。だから、雫ちゃんが私の―――」
「そんなわけあるか!雫みたいな良い子がお前の双子な訳ねぇよ」
「私も良い子だよ」
「どこがだよ」
「…優しい!」
「夜に勝手に呼び出すやつがか?」
「……親切!」
「前と同じ」
「………冷静!」
「さっきは俺が起きたとき、怪我をきにしなかったよな?」
「……………友達思い!」
「まぁ、それは当てはまる」
「どうだ」
怜奈がどや顔を決めながら、また雫に抱きついた。
雄夜は少し笑ったあと、雫に真剣な顔をした。雫も深呼吸をしたあと、真剣な顔つきになった。
「その能力と両親は関係してるのか?」
「はい」
「それじゃあさ、雫の両親について聞かせてよ」
雄夜は優しく微笑みながら、雫に言った。
雫は一瞬電流が流れたように、体を震わせた。昔にあった出来事を思い出したのだろう。そして、か細い声で「分かりました」と言った。
雫はゆっくり口を動かしながら、昔の記憶を思い出して話しだした。
∇▲∇▲∇
「私の超能力だと、君は蓮くんのことが好きだ!」
恋という言葉が浸透してくる小学四年生の教室に、一人の女の子が言った。
周りと違う黄色い髪をしているが、そんなことはお構いなしに女の子は大声をあげながら、手を繋いでるもう一人の女の子の好きな人を言い当てた。
「な、なんで、分かったの?」
当然言い当てられた女の子は驚きながら黄色い髪の女の子に言った。
「私がマジシャンだから!なんてね」
「もうー、やっぱり雫ちゃんは秘密がいっぱいだね」