プロローグ:刹那主義者
刹那主義とはなにか知ってますか?刹那主義とは過去や将来のことを考えないで、ただ現在の瞬間を充実させて生きればよいとする考え方。また、一時的な快楽を求めようとする考え方。というものです。
「お父さん、お父さん!死なないで!」
小学六年生の男が病室で今にも目をつぶりそうな三十代後半の男性をゆすりながら言っていた。病室のにいる医者はなにもせず、目に涙を浮かべていた。
「お前は………楽しく……」
かすれていく声で男性は男に精一杯の思いを届けようとする。
「…………生きるんだぞ」
その瞬間病室に二つの音がこだます。
男性の死を知らせる音と、男の泣き声。
「時刻、午後八時二十三分」
残酷にも医者は淡々と男の父の死の時間をつげた。
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ある男が中学生の時に言った言葉
「俺は今、この時を楽しく生きてればいい!」
ある人は男のことをだらしない人だと思い、ある人は面白い人だと思った。しかし、男が次に言った言葉を聞くと全員の意見が一致した。
「俺の楽しみは危険を味わうことだ!」
おかしな男だと。
でも、男のなんでも挑戦する姿勢と、底抜けの明るさで一躍クラスの有名人になった。
そんな楽しい中学校生活が終わりをつげ、
男は受験生となった。男は危険を味わいたいという一心で受けた高校はここら辺の地域では有名な進学校の浅華高校だった。男は受験二週間前に己の限界を味わいながら勉強したという。
結果は合格。
こうして、男の高校生活が始まった。