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前向きに、健全に。

お題の通り、これからは真面目な人間になろうと思います。

拙い文章ではありますが、お楽しみください。

怒声、罵声、悲鳴

様々な声が聞こえ始めた。

森の木々の間を縫うように全力疾走する。

都会とは言えないまでも、野山を駆け回る様な生活とは無縁で育ったとは到底思えないようなスピードで駆け抜ける。


「間に合ってくれよ…」


木々の間から村が見え始めた。

多少の火災や倒壊は見受けられるものの、まだ壊滅という様子では無いようだ。

しかし、よく考えれば喧嘩も碌にした事が無い俺に何が出来るのだろうか?

今まで遭遇したモンスターは弱かったから良かったものの

(コムドゥーラ)とやらもそうであるとは限らない。

むしろ、村を襲うようなモンスターが弱いわけが無い。

少し冷静になればすぐに解る事だ…

何をしに来たんだろう…

しかし、ここまで来たのにそのまま引き返すのも締まらないので

とりあえず、様子だけでも見てみようと思い

村の手前の木に身を隠し覗き見てみる。


ん?あの大きめなトカゲが(コムドゥーラ)か?

口から火球を吐いてはいるが、何か見覚えがあるような無いような…

ってか、そんなに素早くも無いし、背後に回って背中に乗ったら勝ちじゃね?

それに俺、爬虫類とか結構好きだし怖く無いからね。

この村の人達は爬虫類嫌いなのかしら…?

距離を取って、木製の槍で牽制してるようだけど

それって火球の的にしかなりませんよ~

何とかなりそうだし、お手伝いしてみますか。

あわよくば、またウッハウハ出来るかもしれないしね!





~村の少年タウラ~


父ちゃんには、母ちゃんと逃げろって言われたけど

オレだって村の戦士の一人なんだ!

村が襲われてるのに、自分だけ逃げるなんて出来るわけない!

三日前に戦士の試練を乗り越えて、戦士の槍だって手に入れたんだ!

戦う力の無い人達を守るって決めたんだ!

(コムドゥーラ)が相手だって絶対負けない!

オレは大戦士様にだって負けない様な立派な戦士になるって決めたんだから!!!





~村の戦士長アモス~


クソッ!槍がまるで通らん!

何度となく戦い、その度に一人、また一人と村の戦士が倒されて行く

村を移せども、移せども、臭いを嗅ぎ付け襲い来る(コムドゥーラ)

もう我慢の限界だ!

例えこの命果てようとも、この日この場所で必ず貴様を葬り去ってやるぞ!


「くらえ!」


-ズドンッ!!!-


全身全霊を込めた槍の一突き、流石のヤツも無傷とは行かなかったようだな

獰猛な牙を覗かせる強靭な顎に槍が食い込んだのを確認すると同時に


「一斉にかかれ!!!」


俺の号令と共に、勇敢な戦士達が槍を手に(コムドゥーラ)に襲い掛かる。


-グンッ!ブォォン!!!-


突如、槍を突き込んだ姿勢のまま俺の体が宙を舞った。

そのまま、仲間達にぶち当たり全員吹き飛ばされる。


何と言う膂力だ…

首の力だけで、俺を持ち上げ仲間ごと弾き飛ばすとは…

しかも、今の攻撃で俺の戦士の槍が中程から折れてしまったようだ

ここまで戦い抜いた五人の仲間の戦士の内、三人が今の衝撃で戦闘不能に陥った。

残りは俺を合わせて三人、しかも俺の武器は既に使い物にならなくなってしまった。

しかし、ここで引くわけにもいかん。

折れた戦士の槍を投げ捨て、腰に挿した鉈に持ち替え構えをとる。


ヤツの顎の隙間から炎が溢れ始めた

再びファイアブレスを仕掛けてくるようだ

一塊になれば、恰好の的になってしまう。

急いで散開し三方から一斉に攻撃を仕掛けた。

例え一人が犠牲になろうとも、残りの二人で必ずその首を落としてみせる!

覚悟と共に各々が最高の一撃を叩き込もうと距離を詰めたその時

ヤツが思いがけない行動に出た。

火球を自らの眼前に吐いたのだ

立ち上る煙と炎、飛び散る飛礫。

予想外の出来事に全員が一瞬動きを止めてしまった。

その瞬間…


-ブゥォン!バチンッ!ドンッ!ドンッ!!!-


胴体を180度旋回させ、勢いをつけた尾で三人共に薙ぎ払われた。

その衝撃は凄まじく、残った二人の仲間も戦闘不能に陥り、俺もかなりの深手を負わされ意識が朦朧とし始めた。


「ここまでか…」


ノッシノッシと身体をくねらせる様にこちらに近付く(コムドゥーラ)

最早、抵抗する余力も尽き果て敗北を受け入れかけたその時


-ビュン!ザクッ!!!-


俺と(コムドゥーラ)の間に突き立つ戦士の槍。

しかし、もう戦える戦士は残って居ないはずだが…


「父ちゃんに近付くな!

戦士長アモスが息子、戦士タウラがお前の相手になる!!!」


馬鹿な!?あれ程きつく逃げろと言ったのに戻って来るとは…

何とかもう一度逃がさなくては…

既に限界を超えた身体に鞭打ち、何とか立ち上がると


「馬鹿者!お前では戦いにすらならんっ

早く安全な所まで逃げるんだ!!!」


と言い、地面に突き立った槍を引き抜き息子を庇う位置に立った。

だが、限界を超えた体は思う様に動かず、突進すら避ける事適わず弾き飛ばされ

再び無様に崩れ落ちた。


「逃げろ…タウラ…」


そして、そのまま意識は闇の中に落ちて行った…

読んで頂き、有難う御座います。

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