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憂鬱

作者: 儚世

情報を目に入れておかないと嫌なことばかり思い出して気が狂ってしまいそうなので外に出た。部屋に篭ってしまった鬱と空気を入れ換えるに丁度いい。コンクリートに咲くスミレがなんだか鬱陶しかった。小さい花が頑張って固いコンクリートに美しく生きている姿が羨ましくて。才能が無くても努力でなんとかすればいいと言われるけれど、努力できることだって十分な才能ではないか。喉が渇いたのでスーパーに寄ろう。誰かが大切に想いを込めたであろう曲が商品を安くするための道具になっていた。それが嫌だったのでイヤホンをつけ、音楽で耳と心を塞ぐ。飽きるまで聞いた好きだった曲がなんだか雑音に聞こえてしまった。こんな世界なら捨てたほうがマシなんじゃないか。そう思えた。炭酸を手に取ってレジに向かった。小銭を取り出そうとすると1円足りない。

「すいません。」虫のような声で店員さんに謝った。

すると前に並んでた暖かい色の服を着たおじいさんが何も言わず1円を置いてくれた。「ありがとうございます。」おじいさんはくしゃっと笑って手を振った。世の中捨てたもんじゃないかもな。なかなか世界は僕を死なせてはくれなかった。花壇に伸びた雑草がなんだかすごく綺麗だった。

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