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ゴミのゴミによるゴミのためのゴミ拾い

馬鹿で無能で性格が悪くておまけに不細工でも自分を誇って生きていていいんだという思いを込めて書きました。

嘘です。懸賞に応募する作品がなかなか完成しないので息抜きに書いてます。

これまで100%エタってきてるので自分に期待せずに飽きるまで書きます。

「今日のお前たちの仕事は、」

「ごくり……」


 午前6時、ギルド前広場には3人の冒険者が集まっていた。

 これと言って特徴のない男、そばかすくらいしか特徴がない女、朝一番で既に赤ら顔の酔っ払いの男。

 その3人からはその道のエキスパートのみから醸し出される、ある種の余裕が感じられた。


 しかし、冒険者ギルド職員の男は臆することなく毅然として言い放った。


「ゴミ拾いだ!」


「かいさ~ん!たまには仕事するかと思ったらこれだよ。俺の時間返してくれる?というかその返時間処理に時間かかりそうだよな。で、それにかかった時間をまた返時間処理して……、もしかして俺ここで死ぬ?冒険者って確か、死亡時の保険があったよな。一攫千金だぜ~!」

「外れの日かよ……。おしゃべりも朝からうるせーし最悪だ。おい酔っ払い!朝から飲んでんじゃねーよ!酒くせーんだよ!」

「別にいいじゃねぇか、おしゃべりよりは近所迷惑じゃねぇつもりだぜ?それでそばかすよぅ、ここだけの相談なんだがツケが溜まっててな……、金貸してくんねぇか?」

「お前の方が迷惑なんだよ!ウジ虫より生産性がないくせしてたかるな!ツケを返さずに酒代になるのが見えてるんだよ!前もそうだったし!」

「うわ、そばかすお前酔っ払いに金貸したことあんの?返ってくるわけないじゃん、馬鹿だな~。金を持ってる時間より酒瓶を抱いてる時間の方が多いって最初来た時から評判だったろうが。ありえね~。それはそうと、俺のことおしゃべりって呼ぶのやめてくれないか?ご近所さんにはシャイボーイの紳士で通ってるんだ。イメージを壊したくない」

「職がばれてて恥ずかしいから、俯いて歩いてるのはお前だろうがよぅ」

「お前がありえねー、じゃん!クキッ!」

「心からの忠告なんだが、その笑い方は直した方がいいぞ、そばかす。モンスターの擬態だと思われたら一緒に居る俺らが面倒だ。あと俺は仕返しされたら、その1.5倍くらいで返すタイプだ。2倍は能力的にきつい」


 3人はギルド職員を無視し去ろうとする。


「お前たち、待つんだ!」


「待たせるからには有意義な時間を過ごさせてくれるんだろ~な?言っとくが俺の時間はたけ~ぞ?」


 かくして、3人は1時間にわたる交渉の末、前金を手にして仕事に繰り出した。

 なお、この世界に労働者組合は存在しないので、賃上げは認められなかった。



 仕事先は商人街、翌日に控えた王の視察のため町の清掃をする名誉ある仕事だ。


「じゃあ決めるか。こんな仕事3人でやるまでもね~だろ」

「奇遇だな、アタシもそう思ってたとこだ」

「おらぁ未来が見えんだ。おめぇらが俺に平伏する未来がよぅ」


 3人のランクはストーン。冒険者のランクはブロンズから始まる。そして、ストーンはブロンズの下のランクだ。

 そんな彼らに回される仕事は社会福祉としての意味あいが強い。

 盗賊の才能があるものは既に盗賊ギルドで活躍している。犯罪者を養うよりも勝手に生きてくれる方が金がかからない。導き出される結論は最低限暮らしていける金と仕事を彼らに与えることだった。


 町の清掃は専門の清掃ギルドが行う。彼ら3人は報告のための最低限のゴミを拾えばそれでいい。3人分だからそれなりの量にはなるが、1日かければ余裕を持って集められるだろう。

 彼らは自分の能力を正確に把握している。見るべきところが少ないからだ。


 握りこぶしを突き合わせ、戦いの火ぶたが切って落とされる。


「「「最初はグー!じゃんけん……」」」


 そのとき酔っ払いには見えていた。

 おしゃべりの手はパー、そばかすの手はチョキ。敗者1人を決める戦い。


(勝馬に乗らせてもらうぜぇ……!)


 当然、選択すべき手はチョキだ。


 その酔っ払いの考えがおしゃべりには透けて見えていた。


(酒で判断力が鈍ってる馬鹿がよ~。右手のパーは囮、本命は左手で出すグーなんだぜ~。そばかすはど~せ何も考えてね~だろうし……)


 知恵者が選んだのはグーだ。


 そのタイミングでそばかすは気づいた。


(この中でアタシが一番強いんじゃね?)


 酔っ払いのクラスは剣士。今は剣を持っていない。

 おしゃべりのクラスは盗賊。しかし、あだ名のとおりおしゃべりしか能がなく、技能が壊滅的。

 そばかすのクラスはモンク。モンスターに対しては威力不足のその拳だが、無能2人に対しては有効だ。


「お前ら……、殺されたくなきゃグーだせ」


 チョキで構えてはいたが、モンクにとってじゃんけんの手を一瞬で変えることなど児戯に等しい。

 パーに変わった手のひらで狙うは掌打、顎を打ち抜く必殺の構えだ。


 勝ったのは暴力だった。



 16時、冒険者ギルドは役所なので18時には業務受付を終了する。


「間に合え……、間に合えーッ!」


 清掃ギルドはプロだった。

 1人残され、商人街でゴミを漁ったおしゃべりが集められたのは片手に収まるほどの量だった。

 足りない。圧倒的に足りない。

 ギルドカードには所在地を確認・記録する機能があるので、他の場所でゴミを集めるのは規約違反となり不可能。

 仕方がないので、商人街の公園で空を見上げ時間をつぶしていたそばかすと酔っ払いも合流し、ゴミを探すこととなった。


「目端が利くのが盗賊じゃねーのかよ!お前をゴミとして提出してやろうか!」

「清掃ギルドの仕事が完璧すぎるんだよ!俺は悪くね~!お前らだってゴミじゃね~かよ!ゴミにしか勝てね~モンクと、自前で剣を持ってね~アル中剣士と、俺。4人くらい集まって1人前だねって笑いあった日々を忘れたのかよ!」

「1人ゴミが足りてねぇぞ」

「気持ちと絆パワーでカバーするんだよ!」

「うだうだ言ってねーで探せよ!」



 20を超えた大人が3人、半泣きになりながら探したが、結局ちり1つ見つからなかったので最後は清掃ギルドのメンバーに土下座してゴミを分けてもらった。

 哀れを請う動作が哀しすぎて、ギルド職員たちは最後には滝のように涙を流しながらゴミをゴミに渡していた。


「クキッ、クキキッ!」

「そばかす……!もういいんだ……。もう、いいんだよ……」

「しばらくアルコールがないと眠れねぇな……」

「いつものことだろ~が!」

「アタシも酒飲もうかな……」

「そばかすっ!?」

これが気に入った方はギスギスオンラインを読みましょう!おしゃべりはかなりパク……インスパイアされたキャラクターになっています。

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