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僕に彼女ができない理由

 次の日の朝、校門をくぐり、学校に着く。


「よっ!悠斗」


 後ろから湊が僕の肩を軽く叩いて挨拶をしてきた。


「おお、奏か。おはよう。それと、風夏も」


 奏の方を向くといつも通り風夏も一緒だったため、2人に挨拶を仕返す。


「うん!おはよ!」


 風夏は茶色いボブカットの髪を揺らしながら笑顔で挨拶を返してくれた。

 いつでも元気100%って感じの子だ。性格とは違い体付きは元気がないみたいだけど……。


 視線を2人の手元に持っていくと恋人つなぎをしている。


「相変わらずべたべたくっついてるんだな。お二人さんは」

「当たり前だろ?風夏は俺の天使だからな。この可愛さはそれ以外に形容しようがない」


 そういいながら奏は風夏の頭を反対の手で撫で始めた。


「もうっ、奏ったら…」


 それにこたえるように風夏は奏に抱きつくと、奏も抱きつき返した。


 まるでここだけ異空間だ。見てられない。


「その辺にしとけよ。周りのことも考えろ」


「それは無理な話だ。俺は風夏とイチャイチャするために学校へ来てるのだから」


 と奏は胸を張って言う。


「はいはい。しかし、まぁよくそこまで続くよな。バカップルはすぐに別れるのが普通なのに。小6からだっけ?」

「そうだよ。今年の夏休みでちょうど4年だ」


 バカップルじゃなくても中学生の恋愛なんてすぐに終わるのが普通なのに4年も続くと言うことはお互いそれだけ相性がいいのかもしれない。

 

 はっきり言って羨ましい。


「4年間もよく飽きずにいいちゃいちゃしてられるよな……。感心するよ」


「そりゃどうも」


「褒めてない。いや、やっぱり褒めてる」

「どっちだよ」


 奏が僕の訂正に少し笑った。


「いや、やっぱり4年間も続いたってところは褒めるべきかなと」

「お前は誰目線で言ってるんだよ……。それはそうとお前は彼女作らないのか?」

「作らないんじゃなくて作れないんだよ」


 世間では彼女なんかいらない。作れないんじゃなくて作らないんだと言う奴もいるが、負け犬の遠吠えにしか聞こえないのは気のせいだろうか。そこは見栄なんかはらずに作れないと堂々言えばいいと思う。


「お前見てくれもいいし、性格も悪くないのになんで彼女できないんだろうな」


 確かに僕はかっこいい方だと思う。黒髪で背は高く、顔もいい。めんどくさがらずに毎日ワックスで髪だって整えてるし、肌の手入れもかかさずしている。


 なのに……彼女ができない。こんなハイスペックな奴なかなかいないはずなのに。

 

「本当になんでできないんだろう……」


 なんか落ち込んできた……。


「んー。なんて言うんだろう。少し近寄りがたい雰囲気があるんだよな」

「わかる!なんかヤクザって感じがする」


 風夏も奏の言葉に共感したらしい。


 でも、ヤクザってひどくないか?別にサングラスしてるわけじゃないんだけど。


「ヤクザって…。別に目は細くないし睨んでいるような感じはないだろ?」

 

 一応目は開いてると思うんだけどな。

 

「そうなんだけど。なんか雰囲気が真面目って言うか。んー、あ。もう少し笑えばいいんじゃないか?そうすれば爽やかイケメンが出来上がる気がする」


 もう少し笑うか。


「そんな簡単に言うなよ。難しいんだぞ?」


 これでも頑張ってるんだけどなぁ。


「でも、本当に表情が柔らかくなってたくさん笑うようになれば彼女くらいすぐにできると思うぞ。彼女持ちからのアドバイスだ!」

「一応参考にさせてもらうよ。アドバイスありがとう」


 僕の言葉に続き、奏が何かを思い出したみたいでまた話し始めた。


「それは置いといて、今日暇?俺の家で遊ばないか?トンカチーコングの新作買ったんだけど一緒にどうだ?」


 トンカチーコングの新作か。前作も面白かったしやりたいな。今作は新要素も追加されたらしいし。


「やりたい」

「おっけー。じゃあ6時に俺の家集合な」


 ん?別に5時からでも間に合うんだけどな。


「なんでそんなに遅いんだ?もう少し早くからでもよくないか?」


 と疑問を口にする。


「ダメだよ。俺と風夏のいちゃいちゃタイムがなくなるだろうが」

 

 どんだけいちゃいちゃしたいんだよ。一緒に住んでるんだからいつだっていちゃいちゃできるだろうが。


 奏と風夏は高校生になってから2人で同居している。親の反対を押し切って。とかじゃなくて、公認だと言うからまたそれもすごいと思ってしまう。


「ねぇ。友達よりも彼女を優先するの?」


 少し演技がかった声で言う。


「当たり前だろ?」


 と自信満々に言う奏。


 そこは嘘でも友達の方が大事だと言えよ……。


次、話に進展があるはず…。

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