痴漢だと思われる
電車に乗っていると時折可愛い子がいる。
男子ならわかると思うが、自然と目で追ってしまう。
今日も可愛い子がいたので、目が勝手にそちらへ向いてしまっていたようだ。
「あの、なんですか?」
僕が見ていた女子がこちらに気づいたようで、警戒心剥き出しで睨んでくる。
僕が悪いとはいえ、返事を返したら見つめていたと自白するようなものなので、目線を逸らし、無視する。
「…………」
「今目線を逸らした私の前のあなたに言っているのですよ?」
沈黙を貫いていたいのだが、流石にこのままのわけにはいかないので、返事をする。
「なんでしょうか…?」
緊張感から声が少し震えてしまっている。
「そんなにじろじろ見ないでいただけません?とても気持ち悪いのですが」
こういう時には素直に謝るのが一番だと考えた。
「すいません…」
俺は頭を下げて謝る。
その時。
泣きっ面に蜂とはこのことなのかもしれない。
「おっ…!」
電車が揺れたことで、体のバランスが崩れ、目の前の女子の肩に手が触れてしまった。
「すいません!」
反射的に謝ったものの、その子の顔は先ほどよりも怒っていて、ゴミを見るような目をしていた。
「見るだけでは飽き足らず痴漢ですか?いいご身分ですね」
『痴漢』という言葉に周りがざわつき始める。
「いや!そんなつもりじゃ…」
弁明しようと思ったが、言い訳する言葉が思いつかない。
しばらく沈黙していると、その子が口を開いた。
「次やったら通報しますので。今回通報されないだけマシだと思ってください」
「本当に申し訳ない…」
僕はその場で土下座をして謝る以外以外何もできなかった。
居心地の悪さを感じ、もう一度誤った後、次の駅で車両を変えた。
僕が全面的に悪いとはいえ、気分が落ち込む。
次からは可愛い子がいても見ないように単語帳でも持って電車に乗ろう、と決心して一人暮らしをしている自宅がある駅で降りた。
批評大歓迎です。
胸とかだとラッキースケベになる気がして肩にしておきました。