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幕間:始まりの朝


 魔法って自由に扱えるくらいに上達すると綺麗なんだ。


 炎の魔法を一生懸命練習した。するとさ、空中で炎が花のように形を作って、ぱって咲く。それを見てきれいだってみんながほめてくれる。


 水を操れば水流をぐるぐると動かして、それだけで小さなサーカスのようにいろんな形を作れる。そのまま水柱にしても、動物の形を作ってみてもよかった。


 風を操れば秋に地面に降りてくる紅葉をぶわって空を舞わせるととってもきれいだった。

 

 あたしは魔法を勉強することが大好きだったかもしれない。結構昔のことだからわからないけど。それでもいっぱい頑張ると笑顔がそれだけもらえた気がする。


 もちろん魔法は別の使い方もある。


 むしろその使い方の方が「前の自分」はやってしまった。そうさ。


 炎で焼き尽くすこと


 水で洪水をおこすこと。


 風ですべてを切り裂くこと。


 ――ああ、嫌なことだ。もしも、もしもさ、またいろんなことを学べるなら。あたしは楽しいことをしたいな。それは前にやったこととは全く別のことをしたい。……こんなことを誰に言えばいいんだろう。


 

☆☆




 ぐーぐー。んん、むにゃむにゃ。


 ああ、きもちいい。ベッドの上ってなんでこんなに気持ちがいいんだろ、この頃ずっと走り回っていたから久しぶりにゆっくりできるの気持ちいいなぁ。ああ、幸せ。


 なんか悪い夢を見ていた気がするけど、夢って起きると忘れるよね。


「起きろっつーの!!」

「うえっ」


 ベッドの上の毛布を思いっきりひかれてあたしもころころと床に落ちる! 痛いーっ?


「お、おこしかたひどくないラナ!」

「なんかいゆすっても起きないんだから仕方ないでしょ!」

「そ、それにしたってさぁ!」


 ぎゃーぎゃーとあたしたちは朝から言い争いをする。


 仕方ないから起きよう。パジャマを脱いで、ちゃんと畳む。それからフェリックスのスカートとシャツを着る。あたしが着る服って、うーんこれしかないのそろそろどうしよう。あ、でもお金ないや。


 ラナはいくつか服を持っている。今は抑えめの赤いシャツに短いズボン。貸してもらったり……うーん。悪いし、あと服のサイズが合わないんだよね。あたしより背が少し高いから。


「さっさとごはんを用意するから手伝いなさい。ほら、ほら」


 なんかだんだんラナがお母さんみたいになってきた。冗談めかしくからかってやろう。


「はいはい、おかあさん」

「は?」


 ぎろってラナが睨んできた。


「あー?」


 ひ、ひえ。睨みながらあたしに迫ってくる。こわ。


☆☆


 フェリックス学園に入学することになったけどよく考えたら学校みたいな場所でなんか勉強したことってないなぁ。あれだよね。みんなで机を並べて勉強するんだよね?


「……少し違うわね。いや、合っているんだけど、違う」


 パンを齧りながらラナが言った。


「ていうか、基本的に自由よ。そりゃあ、これからどんなことでもやっていこうって冒険者になるんだから自分で考えないといけないわね」

「……うーん。よく意味が分からないんだけどさ」

「どうせ後でいろいろと説明があるからっておもうけど……。じゃあいいわ。どうせあんたにはちゃんと教えてやろうと思っていたから」


 立ち上がったラナがニヤッと笑う。


「この私が学園のいい過ごし方を教えてあげるわ。あ、それとニーナも連れてきなさいよ。あいつもあんたと同期になるでしょ?」


 こうしてラナによる学園の説明が始まった――







 

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