仕切り直し②
今日は2部更新しているので前のお話もどうぞ
ギルド本部から出て噴水の近くで大きなため息をついた。あー疲れた。
全くあの人はなんだろう。なんでここまで突っかかってくるのかわけがわからないよ。
後ろを見ると3人がそれぞれうつむいているし、ラナはため息をついている。
「あんたさ。心臓オリハルコンなの?」
「なにそれ。あ、ていうか、さっきはアリーさんを待っていたんだよね。勝手に外に出ちゃった。……い、今から戻るのカッコが悪いなぁ」
「そういえばそうね……あたしとあんたはともかく……ミラスティアは戻らないといけないんじゃないの」
「あ、えっ、そ、そうですね」
ミラが顔を上げた。その前にラナ行く。
「あんたさ。ラミだって? あのへんてこな格好をした」
「…………は、はい」
あ! そうか……あれだけミラが関係者ってことを言ってたらわかるよね。陰で聞いてたってことをラナが言ってたから
いや、もしかしたらもともとラナも薄々でも感づいていたのかもしれない。だって、今朝からラナは一度も「ミラ」の話をあたしにしなかったから。不自然なくらいに。
「ラナ。それはあたしが」
「マオは黙ってなさい!」
うぐ。ラナはミラから視線を外さない。
「私をだましていたの?」
「…………ごめんなさい」
「ふーん」
「あ、あう。お、折を見てちゃんと話そうと思っていました」
ミラはこういう時全然口が回らない。あたしは間に入ろうとして、ラナがじろりと見てきた。うっ、なんか先に行動を読まれているみたいに思う。
「なんで?」
「なんで…………マオの手伝いをするために、変装をしてました」
「……はあ。単純な理由……もうすこしひねった理由がないのかしら」
ラナがこめかみに手を当てて下がる。
「じゃあ、私があんたのことを性格悪いって言ったのも聞いてたってことよね」
「…………き、気にしてません」
「私が気にするのよ。それにマオのことはマオのことでさっきポーラ先生が言ったとおりだし。……あーもう、性格悪いのは私じゃない」
ラナが足元にあった小石を蹴った。
「ばっかみたい」
なんて声をかけよう。あたしには言葉がない。
「そうでしょうか?」
意外だった。
モニカが最初にラナに声をかけた。驚いたのはラナも同じみたいでゆっくりと振り向く。
「私はラナ様ともお二人とも今日お会いしたばかりでよく経緯は存じませんが、うまくは言えませんが、ラナ様からは悪い気……なんといいましょうか、その悪意のようなものを感じることができませんが……」
「…………変な言い回しで慰めなくてもいいのよ。私はあんたのことだって魔族だって思っている。正直今でもパーティに入れることは反対よ」
「それは……単なる事実です。そのうえでパーティーのことを考えることも、そしてそう思われること自体も問題とは思いません」
「……………………あああーーー! もう、なんなのよあんたら!!」
ラナがあたしを指さした。
「あんたのことをその、く、屑っていったんはほんとよ!」
次にミラを指さす。
「あんたについて陰口を言ったの聞いてたでしょ!?」
そしてモニカを指さす。
「あんたのことを仲間に入れないようにしようとしたことをさっき見てたでしょ!!?」
ラナが頭を押さえながらうつむく。
「ああ、もう、なんなのよ。私だけ性格悪いっていうの!? ちょっとは気にしなさいよあんたら!! おかしいんじゃないの??」
あたしは少し考える。
ここ数日のことだ、ラナに出会ってから短い間だけどいろんなことをした。たしかに出会ったときは戦ったりもしたけど、それは昨日謝ってくれた。だから、
「ラナ」
「何よ」
「今日はシチューが食べたい」
「は?」
あたしは両手を組んでいう。ラナは何を言っているかわからない顔をしている。
「いーお肉といー野菜を使ったシチューが食べたい!」
「は? 馬鹿?」
「全部ラナのおごりね」
「…………………はぁ? ……あんたさ……そんなんでいいの?」
「そんなんでいいよ。あ、ミラもモニカも来るよね」
2人は驚いている。
「マオ……来るってどこに?」
「そりゃ、ラナの家だよ。そうだそのまま泊ればいいじゃん」
「……シチューを食べに?」
「そうだよ。嫌かな?」
ミラは首を振る。
「ううん、全然そんなことはないよ。マオと話したいことが、いっぱいあるから」
「そっか」
あたしは自然に笑顔になった。あとはモニカだけど、
「私は遠慮したほうが」
「え? 嫌なの?」
「い、嫌ではありませんが」
「じゃあ、来るよね」
「……いきます」
よし。どうせ依頼も受けられないから今日は買い出しとかに行こう。
「そうだラナ、ニーナも誘わないとね」
「あんたね。そんなに椅子とかないし寝るところもないからね。わかってんでしょ?」
「別にいいじゃん。何とかなるって」
「何とかなるって……」
そこでラナがふって笑った。あたしもつられて笑った。
何か話をするにしてももっと落ち着いてから話をしたほうがいいと思う。だから、もしも話すことがあれば今日の夜に話そう。そっちのほうがいいとあたしは思うからさ。
「じゃあ帰ろう」
「あ、待って、マオ」
ミラ……あ、そうかアリーさんのことを待ってないといけないからか。あー。そうだ、ということはポーラともずっといないといけないのかな。あたしはミラが心配になってきた。
「ミラ、もしもあの陰険な先生が何を言ってきても、バーカって言ってやればいいんだからね?」
「……いや、マオ。昨日のこと、私が邪魔をしたから、こんなことに」
「ミラがいなかったら昨日はロイに負けてたよ。それにあたしはまだ、この勝負に負けてない。ミラが手伝ってくれるなら、絶対にあいつに勝てる」
「……」
ミラがあたしをまっすぐ見てきた。綺麗な瞳だなぁっていつも思う。でもなんか、今日は光が強いような。
「私は全力でマオを助けるよ」
「うん。頼りにしてる」
ほんと、頼りにしてる。よーしじゃあ、帰ろう。
「あ、そうだミラ。アリーさん達には言い訳しておいてね」
「いいわけ……。うん」
ミラが言い訳を考える……自分で頼んでおいてもしかして一番苦手なことを頼んだのかもしれない。
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