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ペンギン、荒野に独り。  作者: てつろう
1/2

[会話]


『───私が死ねば良かったのにね』

えっ、という言葉が僕の口から零れてしまった。内向的というか、ネガティブというか、そういう類の言葉を言わないような彼女の口から飛び出た音に、僕はただただ驚愕した。

『ねえ、ケイジュもそう思うでしょう?』

驚いていた事もあって少し言葉に詰まってはいたけど、僕はなんとかして“そんな事はない”という旨を彼女に伝えようとしていた。

たった一瞬の間を置いて、僕は彼女から目を逸らした。それでもその一瞬は、僕には耐えられない程に長く感じられた。やはり僕の口から、言葉は出てこなかった。

そう、僕も彼女が死ねばいいと思っていたから。



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