プロローグ
2017年春に書き留めた、ちょっとしたSSです。
個人的にひっかかる内容なので、もし反応があったら、続きを書いてみたいと思います。
あなたは、1070年代から80年代半ばにかけて活躍した「堀ひろ子」という女性をご存知だろうか。
同時代、彼女は自動二輪に関わる人間を男女問わず魅了し続けた、今では伝説めいた存在である。
彼女はサファリ砂漠ツーリングへ出発する準備のさなか、自宅で死亡しているのが発見された、ことになっている。
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これは、そんな彼女の三三回忌に寄せた、とある物語である。
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彼女の名前は仁美。ボクが最初に入社した会社の、3年下の後輩だ。
彼女は、偶然にもボクが卒業した学校の後輩でもあるらしい。
彼女はいつも夢を観ているような目をして、ちょっと斜めを向いていたような気がする。
髪はいつもぼさぼさな天然パーマを、無造作に束ねていた。
本人曰く「面倒だからうざったくなったら自分で適当にカットしてる」らしい。
気が付いたら、彼女から話しかけられていた。
「せんぱい、ですよね?学校も。」
「なんかそう、らしいね。」
「せんぱい、今何か面白い事ってやってますか?こっち出てきてからバイトと学校とばっかりで、何にも出来てないんですよ。色々知りたいな。」
「あれ?出身はどこなの?」
「うーんと、たぶん静岡方面。たぶんっていうのは、ちっちゃい頃両親と離れて、おばあちゃんちに引き取られたから。おばあちゃんちは、山梨にあるんだ。…もう亡くなっちゃったけど。」
「あぁ、悪いこときいちゃったかな。ごめん。」
「べつにいいですよ。もう一人になれちゃったから。なので、なんか面白い事ないですか?」
「…えっと、同期と一緒に遊ばないの?」
「同期って言っても、何十人も居るし、全員知らないし。なんか入社式のあと最初にみつけたのがせんぱいで、そんで学校もせんぱいだってきいたから、頼れるかなって。」
「…いや別にそこ頼らなくても…まぁいっか。ボクはね、今は久し振りにアーチェリーを再開してるんだ。昔、といっても中学生の頃かな、ちょっとやってて、お古だけど道具も一通り揃ってて、このあいだ荷物整理してたら出てきて、いじってたらやりたくなってね。」
「あーちぇりー?なんかこう、鳥とかうつやつ?」
「あー、狩猟用ではなくて…ってゆうか、今矢ガモとか想像したでしょ?あれはね、ボウガンっていう、全然別物を使った事件だから。TVのニュースでも混同しててはた迷惑なんだから。」
「あーはいはい、じゃあ、こんどそれに連れてってくださいよ。」
「え?………そうだ、じゃあ…うん、ちょっと調べてみるけど、初心者向けの講習会にでも参加してみる?こっちも久し振りだから、そっからやろうかなって思ってたんだ。」
「そんなに遠くないところなら、それでもいいですよ、楽しみにしてますね。」
なんだか、いきなりで、急激で、怖ろしく早い展開で、そういう流れになった。というかされてしまった。
ある意味、凄く強引な子だった。
後でちゃんと調べよう。
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「せんぱい、もしかしてバイクとか乗ってました?」
「昼メシのときくらいおとなしく食べさせて…あぁ、昔ね。無免許で先輩のを借りて怒られたんで、ちょっとゼロハンからやり直して、バイトして自分で買って乗ったりしてた」
「なんですかそのゼロハンって(苦笑)もしかして原付のこと?」
「そうだよ。ゼロハンだとナナハンみたいな言い方でかっこいいだろ?」
「ゼロハンねぇ…まぁいいです。わたしも乗ってましたよ。今は免許無いけど。テストドライバーとかやってました。」
「え?テストドライバーって…メーカーの?なんかすごそうだな。」
「いや全然。ワークスの、あの競技参加するチームのほうの。本番用の選手が乗る前の点検とかで。でね、あるとき、盛大にこけちゃって、手に大怪我しちゃったんですよ。だから、今でも左手はほら、ちゃんと握れないんです。で、バイクも降りました。」
「あっちゃあ、ほんとにぶらんぶらんだ。それで今は大丈夫なの?」
「とりあえず、生活には支障ないですから。あと、その関係で今もちょっとだけ保証貰ってますから。」
「…あー、込み入った話は、ちょっと深入りしないでおくね。」
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「あの、せんぱい。まえに話してた、あーちぇりー?とかの講習会、どうなりました?」
「あぁ、あれね。よさそうなのをみつけたよ。次は来月から始まるらしいから、応募…一緒にしてみるかい?」
「はい、ぜひ。ごいっしょに。」
「それと、あの、あらかじめいっておくと、ね。アーチェリーの世界って、割と狭いから、たぶん知り合いと会うと思うんだ。だから、色々言われても、そんなに気にしないでいてくれると、嬉しい。」
「せんぱい、それってもしかして、わたしとせんぱいの関係がなんちゃらとか、言われるってそういう話ですかぁ?やっだぁ~うっけるぅ~(苦笑)」
「…あぁ、それを心配したんだが、杞憂だったみたいだね。わかった、もうこの件については何も言わないことにする。」
「…はい、そうしてください…」
最後の躊躇いみたいなのは、いったいなんだったんだろう。




