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衝動の天使達 1 ─容赦なく─  作者: 水色奈月
Chapter #27
97/155

Part 27-1 Search 捜索

CIA HQ McLean, Va. 17:50


午後5:50 バージニア州 マクリーン 中央情報局本部



 電話の呼び出し電子音が鳴り若い女性が受話器を取った。



「はい」



 女性分析官は返事をしただけで所属も名前も名のらずにじっと聞き耳を立てた。その番号を知っているのは臨時分析班を編成したパメラ・ランディだけだと分かっていたが、それでも規定通りに従っていた。女性オペレーターは話を聞きながらメモを取り出した。



「──分かりました、マム。偽名で入国した線も調べます。他に御指示は?」



 女性オペレーターはメモを取り続けた。



「──はい。ネスト(:隠れ家)が分かり次第、そちらに報せます」



 そう言い受話器を下ろすと女性オペレーターは立ち上がり十二名の分析官達に指示を出し始めた。



「ランディ統括官から指示がありました。サダム・ギラ・アラーク──イスラム教シャリア派の工作員の国内入国の確認後、痕跡をトレース。ネストを特定し要員を派遣、在居を確認後、SAD(/Special Activities Divison:CIAの準軍事工作班)によるスナッチを最優先で行います」



 女性オペレーターが言い終わる前に二人の分析官が数秒で幾つかのアラークの顔が確認出来る画像をモニターに呼び出していた。



 その顔立ちをピックアップし数値化すると過去の国際線入管手続きを受ける様々な空港のタイムスタンプ画像を高速でさかのぼりながら八名体勢で検索し始めた。残る四名はサダム・ギラ・アラーク名義のあらゆるクレジットカードの利用記録を調べ始めた。



 七分後一人の男性分析官が声を上げた。



「入国審査を受ける画像見つけました。76%適合。8月30日午後1時6分デトロイト・メトロポリタン・ウェイン・カウンティIAP(:国際空港)。パスポート確認──名義、異なります! バサム・ハジャール。ヨルダンから商用で入国」



 その報せに数人が検索名を変更しあらゆるクレジットカードを探り始め数分でその中の一人が声を上げた。



「ノルウェーで発行されたアメックスカードに同姓同名あり。カード番号──。入国時の航空機から旅客会社を」



 始めに空港入管の画像を見つけた分析官が画像にスタンプされた時間から該当する航空会社を見つけ便を読み上げた。



「使用した航空機はヨルダンのクイーンアリアIAP(:国際空港)からシャルルドゴールIAPまでエアフランスの487便。パリで乗り換えジェットエアウェイズDL(:共同航空便)の8044便でデトロイトへ。登場リストにB・ハジャールの名がある! 支払いは同じカード番号のアメックスだ!」



 その報告を受け一人が商業ビザが正規のものか入国管理局へ確認を取り、五人で同じカードが国内の他の場所で使われてないか確認し始めた。



 次々にカードの利用記録が見つかり、そのデータが共有されると時間に沿っての一覧が作成されそれを元にした地図上の移動経路が皆の見える大型液晶画面に映し出され、分析官達の半数が自分のモニターから顔を上げ見つめた。



「ミシガンとニューヨークを4回往復し、直近三週はミシガンのランシングに限られてるな」



 年配の男性分析官がうなり、そう投げかけた。



「皆、バサム・ハジャールがサダム・ギラ・アラークで間違いないと言えると思うの?」



 そうパメラからの電話を受けた若い女性の分析官が問うとベテランの男性分析官二人が否定的な意見を矢継ぎ早に述べた。



「決定的ではないな。偶然の一致もありうる」


「ああ、中東人の名前のバリエーションは我々に比べ少ない。違う人物の可能性はあるな」



 だが分析統括官に親しい年配の男性分析官が言った言葉が決め手になった。



「電話の通信記録を調べてみよう。まずカードの登録連絡先から、セルラーフォンの契約をしていないか。次に特定の通話先記録の一覧とその所有者をリストにしよう」



 数人が分担しカード会社に登録してある番号を調べ、カード決済で各移動電話会社どれかの支払いがおこなわれてないか確認をとるとブラックベリー社(:米の携帯電話会社の一つ)に契約した番号がある事が判明し、その通話記録が引き出された。



 その通話先を最近のものから順を追って調べると八割以上がプリペイド式の携帯電話からか、それらへだった。しかも十八の異なる番号とやり取りしている事実にそれが尋常な事態ではないと皆の意見が一致するとパメラと親しい男性の分析官が彼女へと連絡を入れた。



「──パメラか、面白い事が分かった。君が命じたサダム・ギラ・アラークと思われる者が三ヵ月前にミシガンに入国しているが、バサム・ハジャールというパスポートで入管を受けている。商用目的らしいが、どうか怪しい。その男はニューヨークとの間を数回往復し、利用するセルラーフォンの通話先が十八の違うプリペイドのセルラーフォンだ。待ってくれ──」



 そう言い男性分析官は送話口を片手でふさぎ皆に声を掛けた。



「ハジャールは海外に──パキスタンにもコールしているか?」



「ええ、イスラマバードに数回です。他にもバクダッドにも」



 一人の女性分析官が答えると男性分析官はパメラに伝えた。



「イスラマバードとバクダッドにも──分かった。ハジャールがどこに居るのか見つけSADを派遣する」



 そう言い受話器を下ろすと彼は皆に指示した。







「その男に確定だ。よし、全員でランシングの中からバサム・ハジャールを炙り出す!」












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