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衝動の天使達 1 ─容赦なく─  作者: 水色奈月
Chapter #35
141/155

Part 35-3 Name of The Technique 術式の名

Quay Promenade of Battery Park Lower Manhattan, NYC 20:40


午後8:40 ニューヨーク市 ロウアー・マンハッタン バッテリー・パーク 波止場遊歩道



 初めてサーヒラの闘争心が揺らいだ!



 イズゥは三度に渡り続けざまに繰り出した刃が女の意志をくじいたのだと勝機の端緒をつかんだ事を理解した。



 この機会を逃してはならない。


 彼はそう確信し、ククリナイフを斜め横に振り下ろし自ら唖然としたサーヒラ目掛け駆け出した。









 迷ってはいけない。



 守りにシフトしてはいけない。



 血のにじむ思いで身体に教え込んだルーチンがそう弾き出した瞬間、得体の知れないナイフ・ファイティングを繰り出す男が目をぎらつかせ駆け込んで来るのを逃げ様がなかった。



 いきなり遠くに爆轟が響いた。



 誰が爆発物をと考えた刹那、男の切っ先がこの身体に達する間際まで迷い続けた末にとった咄嗟とっさの方法は反射まかせのその場しのぎだった。



 左下から斜めに振り上げてきた刃が青白い帯を曳きながら左半身に迫った刹那、思いっきり左脚を右脚の後ろへ引き右斜め後ろに身体を反らした。その視界の下を男がナイフを握った腕を空を切り振り切った。



 次は手首を返し右斜め上から切り落としに来ると一瞬で判断した刹那、あろうことか左から青白い雷光が襲い掛かった。



 咄嗟とっさに出来た唯一の防御は下げていた左脚を前へ振り上げる事だけだった。



 鈍い音と共に男の刃を蹴り上げたコンバット・ブーツの爪先が斜めに切れ跳んだ。だが青白い帯はその衝撃で男の頭の右斜め上から後へと消えるのを眼で追いながらバク転し急激に男へと間合いを作った。そうしながら恐ろしさを感じ始めている事に気がついた。



 ナイフを握った男は右へ腕を振り切っていた。


 それなのに!



 腕が振り戻され事もなく第三の手があるようにまた左からナイフが襲い掛かった。



 鍛え上げた全方位の警戒六勘がなければ完全に斬られていた。



 その混乱の最中、鋭くなりすぎた勘が自分を見つめる幾つかの眼を捉えた。男のものではない。敵意を持たない若い女と別な男。それに覚えのある青い瞳だった。



 ケイスが三十ヤードという近くからじっと見つめていた。アンとNSA捜査官達や、特殊部隊兵達の足止めをしていたのではなかったのかと戸惑った。



 手を出さないで、ケイス!



 そう彼へ命じた瞬間、イズゥが使う魔術の様なナイフ・ファイティングの名が流れ込んできた。





 ナイフ・マーシャル・アーツ!?





 すがる様にケイスへ意識を集中した瞬間、マリア・ガーランドは彼の何もかもを瀑布を浴びる様に受け入れてしまった。









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