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衝動の天使達 1 ─容赦なく─  作者: 水色奈月
Chapter #32
127/155

Part 32-6 I'm the woman !! 最高!

OWTC Bld. Manhattan,NYC 20:20 /

The Unhted Nations HQ Bld.(Building) 20:20 /

I-Temp Bld. 20:20


午後8:20 ニューヨーク市 マンハッタン ワン・ワールド・トレード・センター・ビル /

同刻 国連本部ビル /

同刻 アイ・テンプ・ビル



 2・5マイル先の1/2インチの孔を思い浮かべその奥にある三角(すい)のチタン合金体に包まれた核爆弾ユニットの二枚の合成爆薬パネルの継ぎ目をマリーは脳裏ににらみすえた。



 トリガーに掛けた人差し指をわずかずつ動かしファースト・ストロークを引きながら静かにゆっくりと呼吸を繰り返した。そうして二度目のダウン・ブレスの狭間に引き金を絞り込んだ。



 これが何発目かなんて意識にもなかった。



 轟音とバレルの先に膨れ上がった火炎の瞬間、マリーはクロノグラフのタイマーを意識し1/100の正確さで時を推し測り、次の瞬間に遠く国連ビルにいるレイカを強く意識し彼女の右人差し指を我がものとするとエンパイアステートへと弾丸を射出して四秒と60/100秒でハイパワービームライフルのトリガーを引き絞った。



 マリーは自分が放った.50BMGのブレットがコア二枚の合成爆薬プレートを破砕した瞬間、それを脳裏に見ながら同時にアイ・テンプ・ビルの核爆弾コア目掛けレイカが放った1/10インチ径の高エネルギービームが数棟のビルのコンクリートとH鋼を撃ち抜きキュービクル二枚の鉄板に孔を穿ち、テロリストの脊髄を破断しルナの心臓をかすった刹那、核爆弾球体コアの前後合わせて二枚の合成爆薬プレートを破損したのを見つめ、今にも起きるかしれない二つの核の業火を待った。



 だが、一秒が過ぎても何も起きない事にマリーはひざを立てて上半身を起こすなり両手を振り上げ叫んだ。





"Booyah ! I 'm the woman !!」( :やったわ! 私って最高!!)








 首を締め上げられ続けたルナは意識を失い掛かり、爆発音を耳にし核爆弾が破裂したのだと思った。



 だが目の前に抱いた核弾頭のチタン合金の三角コーンはまだあり、テロリストの男がいきなり腕を弛めた瞬間、左胸に強い痛みを感じ、直後胸に抱きかかえている核弾頭の先の壁に小さな溶解点が生じそこに水蒸気が立ち上ったのを眼にして自分がレーザー・ビームで撃ち抜かれたのに衝撃がわずかだった事に驚いた。



 彼女はあごの下に回した男の左手に握る赤い携帯電話に気がつきとっさにそれを奪い取った。そうして男の腕を振りほどくと核弾頭を抱きかかえたままキュービクルの裏から跳びだし、再びテロリストの男と格闘になるのではと大型リュックに入った核弾頭を床に放り出しサブマシンガンを太もものホルダーから引き抜き振り上げた。



 だが彼女が眼にしたのは両(ひざ)を床に落とし口から泡を吹きキュービクルに仰け反った男の姿だった。



 この男もどこかレーザーにつらぬかれたのだとルナが気がついたその時、いきなりエレベーター機械室の壁がドアのサイズに爆轟と共に破砕しP90を構えた仲間が二人飛び込んで来た。



「室内に脅威はないわ!」



 ルナはフェイスガードを跳ね上げ怒鳴ったが、一人はサブマシンガンを構えたままドアの方へ走った。



「サブ・チーフ、廊下の方からCIAの武装工作員が襲撃してきてます! 外壁の孔にラペリングロープが二本ありますから、屋上へ退避して下さい! 私らはトラップを設置しこの伸びているテロリストを連れ後に続きます!」


 フェイスガードを跳ね上げたウォルトがそう早口で説明し終わる前にルナはサブマシンガンをホルダーに戻すなり壁に開いた縦長の開口部に駆けロープに飛び付いた。









 歓喜の声を張り上げたマリーは、次の瞬間部隊全員へ向け核爆弾を無効化した事を知らせようとして五番街へ降下させていたフローラの第1セルとマーカスの第4セルが五十人以上の警察官達に挟まれて攻撃されている事に気がついた。



 マリーは即座にヴィクを意識し、彼女にCAS(:航空支援)を命じ、具体的に何をするかを一瞬で伝えるとヴィクが『マジか、チーフ?』と問い返しただけで直ぐに行動に移したのを理解した。



 直後マリーはPFUのファンネルを引き出し背負うと、コントロールスティックを握った左手で緊急起動ボタンを押し込み、音が甲高くなりだしたファンネルが規定の出力に達する前に狙撃銃を右手につかみOWTC展望台の屋根を飛び出した。



 彼女が見つめるトリニティ教会前の一帯で激しい銃撃戦が火花を散らしていた。












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