暗闇に潜むモノ
開いて下さりありがとうございます!
初めての投稿なので、アドバイス等々がありましたらよろしくお願いいたします!
アイツがついに現れたか。
時計の針は深夜の2時を指していた。
俺はため息を漏らしながら重い腰を上げ、布団からでた。
まずは明かりだ。俺は部屋のスイッチを押した。
「……点かない」
6畳間の狭い部屋の中で、俺は一人そう呟いた。
何度も押しながら点かない理由を考えていると、ある異変に気づいた。
カーテンが開かれているのにもかかわらず、窓から一筋の光も入ってきていなかったのだ。
「停電か。面倒なことになったな」
寝癖の酷い頭を掻きながらまたため息が漏れてしまった。
うだうだしていても仕方がない。俺はこの暗闇の中でアイツと戦うことを決心した。
「どこにいる」
右か。左か。違う、後ろか。瞬時に振り向いてみたが、アイツの気配はしなかった。
ダメだ。いくら探そうと、この暗闇の中では一向にアイツを見付けることなんて出来るわけがない。
俺は考え方を変え、探すのではなく待つことにした。
アイツが仕掛けてくるその瞬間をただひたすら待つ。
どのくらい時間がたった? 頬から汗が流れ落ちる。もう諦めて寝ようかと思った瞬間、アイツは俺の真横を通り過ぎた。
一瞬の出来事に俺は首をすくめた。油断していた。
体勢を整え直し、もう一度意識を集中させた。
暗闇の中、微かな気配を感じとる。しかし遅かった。
また同じように、アイツは俺の真横を通り過ぎた。けれどさっきとは違い、もっと俺の近くを通り過ぎていた。
その後もアイツは俺を幾度となく襲ってきた。その度に俺も応戦したが、全くアイツを捕らえることは出来なかった。
俺はついに覚悟を決めた。ーー肉を切らせて骨を断つ。
暗闇の中、俺は右手を掲げたのだ。
右手を掲げた後、アイツは直ぐに現れた。
その姿は、暗闇に馴れた目でしっかりとらえることが出来た。
決着がつくのは一瞬だった。
アイツは鋭い針で俺の腕を刺した。
その刹那、俺は自分の右腕に左手を降り下ろした。
静寂だった部屋にバチンっという鋭い音が響いた。
「俺の勝ちだな。悪く思うなよ」
そう呟き、手のひらをティッシュで拭き取った。
やっと寝れる。俺は欠伸をしながら布団に入った。
明日は蚊取り線香を忘れずに買おう。そう思いながら俺は目を閉じたのだった。
部屋にまた静寂が訪れる。
ぷ~ん