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夢見た世界にさよならを  作者: 彩音
1/1

始まり

素人で更新頻度は保証しかねますがよろしくお願いします。

 夢を見ていた。昔の夢を。何で覚えているのだろう、夕陽に染まる道も、心地よい風が揺らす草の音も、あいつの笑顔も、声も、仕草も。何一つぼやけず鮮明に映し出される。自分でも驚くほど鮮やかに。

「ほらこっちだよ。こっち。」明るく笑って呼びかける。楽しそうにはしゃぎながら。白いワンピースを風に靡かせて君は立っている。

「そんなにゆっくりだとまた迷子になっちゃうよ?私がどこに行くか分かってるの?」からかうように言ってくる。前、行ったときに迷子になった僕はどう返そうか少し悩んだ。

「分かってるよ。またいつもの所だろ?それにしてもお前よく飽きないよな。」少しだけ呆れを滲ませて応える。

「あんな綺麗な場所なんだよ?何回でも見に行きたいじゃない。」少し照れくさそうに返してくる。そう言って少し駆け足で先へ進む。

「危ないからちゃんと前見ろよ。」そう言って僕は少し走るスピードを上げる。流石に危険なことにはならないだろうけど、少し不安だったから。

 少し走ったら目的の場所に着いた。あいつはいつものように足をぶらつかせていた。

 この場所は僕らの家の近くにある森を突っ切った先にある崖だ。風に揺れる木々の音を聞きながら海を紅く染めながら海に沈む太陽を眺めてる。

 その日はふと彼女と手を繋ぎたいと思った。何故だろう?今までそんな風に思ったことなんて無かったのに。普段なら僕は彼女の後ろに立って眺めてるだけだったのにその日だけは彼女の隣に腰を掛けた。そっと手を差し出した。握り返された手は暖かくてお互いに寄りかかってずっと夕陽を観ていた。

「ねぇ。ずっと一緒にこうやっていれるかな?」



「うん。ずっとこうしていれるよ。」そんなどこか悲しげな囁きに即答することは出来なくて。

 そして風景が暗転する。風景が学校に変わる。

 その時ふと風が体を撫でる感じがした。以前この夢を見ていた時も風を感じるのは夢が終わる時だけだった。徐々に夢がぼやけていく。記憶が曖昧になるのではなく、夢の世界そのものがぼやけて曖昧になる。視界はぼやけて音は雑音が混じる。

「………は………のことが……好きなんだって」

 最後に聞こえた声はそんな噂話。不確かで曖昧だったけれどその話は終わりへ向かわせるには充分すぎるお話。

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