表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/72

48 フルレイド準備(後編)

 "竜虎の平原"のエリアボス攻略に†ラーハルト†達とガミガミ達の参加が決まった。

 だが、問題はまだまだ山積みである。


「一応もう一度確認しておくが、他にこのフルレイドに参加できそうなパーティに心当たりはないんだな?」


 シンとガミガミに対し交互に視線を送るが、反応は芳しくない。


「そうじゃのう。我らはあまりフレンドが多くない故……」


 いざ話してみれば、そうでも無いのだがパッと見、彼らは黒づくめの怪しい集団なのだ。

 周囲の人間からすれば中々話しかけ辛いのだろう。


「話を聞く限り、かなりの難易度の様子ですし……。一応、心当たりは無くはないのですが……」


「その感じだと、何か性格に難ありなのか?」


「いえ、そう言う訳ではありません。ただ、彼らは確か既にギルドを立ち上げていたので、参加してくれない気がしますね……」


「一応聞いておこう。なんて奴だ?」


「ブルーロビンという方です」


 ああ。あれか……。


「あいつらは駄目だな。腕は足りてるかもだが、まず、参加してくれないだろうな」


 残念ながら、試しに誘ってみるという行為すらアウトだ。

 下手な事を言えば、そこから"竜虎の平原"のエリアボスがフルレイド対応である事を推測されかねない。

 そうなれば最悪、彼らはかなり強力な競争相手になってしまうだろう。

 敵が強いのは歓迎だが、かといってわざわざ塩を送るような真似は慎むべきなのだ。


「でしょうね。でしたら、他に私達に心当たりはありませんね……」


 ここにいるのは全員がトッププレイヤーだ。

 ならば、3パーティでもいけるかもしれない。

 なんて、希望観測が出来る相手ならば良かったのだが、今回は生憎とそうでは無いのだ。


「やむを得ないな。とりあえず3パーティで攻略を進めつつ、何かいい方法が無いか考えるとするか」


 最悪、野良募集をするしかないが、そうなると質の確保に苦労するだろうな。

 せめて、一人で〈リトルワイバーン〉を1体受け持てるくらいの腕は欲しい所だが……。


「……だったらさ。いっそ、あの人を誘ってみたらどうかな?」


 ハルカがふと何か良い事を思いついたといった表情で、そう呟く。


「あの人って、どの人だ?」


「あの真っ白の人だよ。えっと、たしか名前は……」


「ああ、カズヒトか」


「そう、それ!」


 可哀想に。色でしか覚えられていないぞ。

 まあ、あの姿は確かにインパクトが強いからなぁ。


「そうだな。下手なパーティを誘うよりは、よっぽどいいかもな。あいつなら〈リトルワイバーン〉の相手も慣れてるし、腕は確かだ」


 そんな訳で、暫定的にだが彼を4パーティ目に迎えることを提案してみる。


「へぇ。"廃人"が"白の剣士"とそんなに仲がいいとは知らなかったぜ。色に拘りがある同士で、何か通じ合うものでもあったのか?」


 ニヤニヤと笑みを浮かべながら、†ラーハルト†がそんな事を言ってくる。


「いや、あいつは兎も角、俺は別に色に拘ってなんかないぞ?」


「へぇ。いっつも灰色の髪にしてる癖に?」


「だから、それは前も言っただろうが! リアルの地毛がこれなんだよ!」


 別に灰色の髪に染めた訳ではなく、単に何もいじらなかったらこうなっただけなのだ。

 それに別の色にわざわざ染め直す理由も浮かばないしな。

 この色に格別拘りがある訳では無いが、別に嫌いという訳でもないのだ。


「大体、色がどうこういうなら、アイツらはどうなんだ?」


 俺はそう言って、ガミガミ達を指差す。

 そこにはお揃いのローブを纏った黒づくめの4人がいた。


「白に灰色に黒か。良い感じに厨二病っぽいな」


 誰が厨二病だよ。まったく失礼な……。


「我らも別に黒に拘っておる訳では無いのじゃが……」


 ガミガミがそんな事を呟いた気がするが、勿論スルーしておく。


「話が脱線したが、アイツを誘ってみてもいいか? ともかく腕の立つ奴が一人でも欲しい状況だ。とりあえず実際に一度組んでみてどうなるか様子を見て改めて判断するって事でどうだ?」


 こちらの都合で呼び出しておいて、都合次第では追い出す可能性も0では無いので、その旨は予め伝えておくべきだな。

 その対価としては、先程俺達が共有した3エリア分の情報を渡せば十分だろう。……十分だよな?


「そうですね。凄腕との評判ですし、カイトが問題ないと判断するのでしたら、こちらも信じるとしましょう」


「そうじゃな。我らもそれで構わんよ。噂に名高い"白の剣士"の実力、この目でしかと見極めてくれようぞ」


 "白の剣士"の名は、思った以上に知れ渡っているようだ。

 まだ粗削りな所はあるが、対Mob戦においてのあいつの装備やアビリティ構成は、かなり理想的なモノだった。

 実際、〈リトルワイバーン〉を3体同時に相手にしても問題無いのだから、そこらの4人パーティよりは間違いなく頼りになる。


「分かった。じゃあ、ちょっと連絡を取ってみる」


 俺はフレンド通話にて、早速カズヒトに連絡を取る。


「ふわぁ……んん? カイトさんか。どうしたんだ?」


 何やら大きなあくびが聞こえたな。

 寝ているところを起こしてしまったか?


「寝起きみたいだが、今大丈夫か?」


「ああ、もう大丈夫だ。目は覚めた。それで何か用かな?」


「単刀直入に言うぞ。俺達と組まないか?」


「……いや、だからギルドに入るのは遠慮しとくよ?」


「そうじゃない。"竜虎の平原"のエリアボスを俺達と一緒に倒さないかって話だ」


「……どういうこと?」


 まだ頭が上手く回っていないらしく、俺の言葉にイマイチピンとこない様子だ。


「"竜虎の平原"のエリアボスがフルレイド対応だったんだ。で、人手が足りないから、良かったら俺達と手を組まないか?」


「ええーっ!? まじかよ……。あそこのボス、フルレイド対応かよ。ソロ無理じゃん……」


 エリアボスのソロ撃破を狙っていたカズヒトにとっては、ショックな事実だろうな。


「だな。俺達も流石に1パーティで倒すのは無理だ。そんな訳だから、知り合いを呼んだんだが、それでもまだ1パーティ空きがあるんだ。で、そこにお前はどうかなって思ったんだが……」


「俺ソロなんだけど、いいの?」


「ああ、お前の実力なら野良で変なパーティを引くよりは確実に戦力になるからな。流石に報酬なんかは1パーティ分をまるまる渡す訳にはいかないが、そう悪いようにはしないつもりだ」


「そっか……。なら参加するよ! いや是非とも参加させてくれ!」


 俺の言葉を聞いた途端、若干食い気味にそう叫ぶカズヒト。

 おいおい、急にどうしたんだ。


「あーっと、詳細とか聞かなくていいのか?」


「カイトさんの事信じてるからね。つまらない小細工するような人じゃないしさ」


 ふむ。

 それはちょっと買い被りじゃないかなぁ?

 必要があれば、俺は手段を選ばないよ?

 とはいえ、折角信頼してくれているのだから、こちらから特別何かを言う必要も無いだろう。


「じゃあ、今から言う場所になるべく早く来てくれ。他の連中も集まってるから、打ち合わせをしたい」


 カズヒトに、ここの会議室の場所を伝える。

 どうやらすぐに来てくれるそうだ。



「という訳で紹介しよう。彼が巷で噂の"白の剣士"カズヒトだ」


「カズヒトです、宜しく」


 声が若干硬い。

 まあ、仲間に冤罪を掛けられた訳だし、若干人間不信ぎみなのかね?

 俺と話した時は、特別そうだとは感じなかったが……。


「さて、とりあえずメンバーが揃った訳だし、今後の方針を決めようか」


 この豪華な面子でも、何の策も無くあの大群に突っ込めば、全滅する事請け合いだ。


「〈リトルワイバーン〉の能力は大体分かってるから、〈エアロタイガー〉の方がどんなもんか調べたいな」


「あれ? カイトさんたち〈エアロタイガー〉と戦った事ないの?」


「その口振りから察するに、カズヒトは戦った事あるのか?」


「あー、もしかして"炎熱の山地"側から真っ直ぐ進んだのか……」


 カズヒトが何かを理解したような表情を浮かべているが、俺にはさっぱりだ。


「どういうことだ?」


「えっとな。"蜥蜴人の湿地"方面から行くと、出会う敵は〈エアロタイガー〉ばっかりなんだよ」


「なるほど。要するに、出現モンスターが偏っている訳だな」


「そうそう」


 カズヒトの話によれば"炎熱の山地"側には〈リトルワイバーン〉が、"蜥蜴人の湿地"側には〈エアロタイガー〉が大量に生息しており、どうも中央線で綺麗に生息域が分けられているらしい。

 そして、その中央線付近では、〈リトルワイバーン〉と〈エアロタイガー〉の間で時たま戦闘が勃発するカオスな場所になっているらしい。

 

 どうやら2種類のモンスターが対立しているように感じたのは、俺の勘違いでは無かったらしい。


「モンスター同士が対立ですか……。思い付くのは、2者を誘導で戦わせて、漁夫の利を得る戦法でしょうか」


 シンの言葉に俺も頷く。

 16人ですら倒せそうにない大群だったが、これで少し光明が見えた。


「問題はどうやって同士討ちさせるかよね。私達が見た限りでは、エリアボス付近では争っている様子は無かったわ」


 そうなのだ、確かに向かい合って睨みあっているように見えたが、別に戦闘などは発生していなかった。

 偶々なのか、それとも何か理由があるのか。

 モンスター達が何を考えているか、そもそも考える頭があるのか不明な以上、そうそう俺達に都合良く同士討ちが起こると考えるべきでは無い。

 危険が伴う以上、何か確実に同士討ちを起こせる判断出来るだけの根拠を見つける必要がある。


 それから、カズヒトから提供された情報を併せて、様々な角度からエリアボス戦の検討を行う。


「……やっぱ、一度現地で調査をしないと駄目みたいだな」


 結論としては、エリアボスに挑むにはまだ明らかに情報不足である事が分かった。

 とはいえ、どんな情報が必要かが洗い出せたので、この話し合いは決して無駄では無かった。


 そんな訳で、俺達3パーティ+1は、"竜虎の平原"に偵察へと向かうのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ