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目的はなんなのよ?

「はい、それじゃ、遠間さんは、一番右の列の一番後ろの空いている席を使って」

 どうやら拓斗の隣の空いている席があたしの席のようだ。

 これも偶然?

「成宮さん、いろいろ教えてあげてね」

 井出教諭の言葉に、

「わかりました」

 そう答える拓斗も、心なしか複雑な表情をしているように見える。

「結局、転校生にされちゃったんだな」

 席に着くと拓斗が耳打ちしてきた。

 あたしはさっきもらった生徒手帳を無言で彼の前に置く。

 首をかしげながらも、ソレを開いた途端──

「なっ!?」

 露骨に驚きの表情を浮かべた拓斗は、大きな声が出かけた口を慌てて塞いだ。

 しかし、それだけでも、生徒達の注目を集めるには充分だった。

「どうしたの?」

 井出教諭が問いかける。

「あ、いや、あの、と──おま……さんが、わからないことがあるみたいで──」

 あたしをだしに使って誤魔化した。

「いいのよ、ちゃんと教えてあげて」

「あ、は、はい」

 許しが出て拓斗は堂々と机を少し寄せた。

「魔法を使ったのか?」

 声をさらに抑えて耳打ちする拓斗。

「使ってないわよ。そもそも翻訳以外の魔法は、許可が必要って説明したでしょう」

「じゃあ、どういうことだよ、これ?」

「少なくとも、ソレには魔法で改ざんした痕跡がないから、あたしのために作られたモノで間違いないわ。つまり、今日このクラスに転校するのは、あたしだったってこと」

「だって、名前は奏が苦し紛れに言ったものだろ? しかも住所は俺の部屋になってるし」

「そうなの?」

 そういえば、翻訳魔法(文字版)を使ってからは見てなかった。

 まあ、住所は見たとしてもわからなかったと思うけど……。

「千里眼の魔法なら、時間や次元を越えて観ることもできるわ。時間を越える場合はかなりの制限がかかるけど、名前を知ることくらいは簡単よ」

「結局魔法か……」

 ボソリと呟いた拓斗は、

「あ、もしかして、昨日おまえの魔法をどうこうしたってヤツか?」

「可能性はゼロではないけど、この世界に来ている異世界人が、あたしとそいつだけとは限らないわ。むしろ気になるのはその目的よ。あたしをこの学校に転校させて何をしたいわけ?」

「でも、少なくとも、おまえを知っている誰かの仕業だろう? そうなると昨日の魔法で関わったわけだから、他の通りすがりの異世界人なんかよりずっと可能性は高いんじゃないか?」

「なるほど一理あるわね」

「あるいはおまえの世界の誰かだったりしてな。そっちの世界じゃ有名人なんだろ? 追っかけとか」

 拓斗の冗談ぽい口調に、本気で背筋が寒くなる。

「ちょ、ちょっとやめてよ、そういう怖いこと言うの」

 次元移動は、その魔法を扱える才能に加え、資格が必要だし、手続きも面倒だし、お金もかかる。

 それでも追いかけてきたとなれば、よほどの執念というわけで、それはあまりにも怖すぎる。

「とにかく、冗談でこんな面倒なことはしないでしょうから、そのうち何かアプローチがあると思うわ。それを待つしかないでしょうね」

 あたしの言葉に拓斗が頷いた。

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