第七話:土蜘蛛、現る
やっと妖怪退治が出ました!!
洞窟の奥へと進んで行くと人骨があちらこちらに散らばっていた。
「・・・・・・・」
斬紅朗は更に奥へと進んで行くと大きないびきが聞えて来た。
斬紅朗は腰の刀に手を掛けると更に進んだ。
更に進むと大きな巨体を地面に寝かせながら眠る化け物がいた。
「・・・・誰じゃ?わしの昼寝の邪魔をする奴は?」
斬紅朗の足音を聞きつけ眼を覚ましたのか不気味な声が聞えてきた。
「貴様を退治しにやって来た“狩人”だ」
斬紅朗が言うと赤く大きな八つの目玉がギョロリと動いた。
「ほぉう。“狩人”か。中々、食いご妙がありそうな奴じゃの」
松明で照らすと巨大な蜘蛛が赤い眼を歪めながら笑っていた。
「くくっ。覚悟しろ」
土蜘蛛は笑いながら口から糸を吐き出した。
「・・・・・・」
斬紅朗は後方に飛んで糸を避けた。
「まだまだ!」
土蜘蛛は更に早さを上げて糸を吐き出した。
「・・・・・・・・」
斬紅朗は避し続けたが等々、壁ぎわに追い詰められた。
「くくくっ。さぁ、そろそろ食わせて貰おうか!」
土蜘蛛が糸を吐き出そうとした瞬間、斬紅朗は持っていた松明を投げた。
「ふん!そんな火など怖くないわ!」
嘲りながら松明を足で潰して斬紅朗を見るが斬紅朗の姿はなかった。
「な、何!ど、何処にいる?!」
土蜘蛛は慌てふためいた。
「・・・・真上だ」
土蜘蛛が上を向くと鍾乳石に掴まりながら刀を振り下ろそうとする斬紅朗が見えた。
「何をふざけた事を!」
土蜘蛛が糸を吐いたが斬紅朗は物ともせずに糸ごと土蜘蛛の体を一刀両断にした。
「あ、がっ・・・・・・・・・ぐっ・・・」
両断された土蜘蛛は大きな音を立て地面に倒れた。
「・・・依頼完了だな」
土蜘蛛の血を吸った刀を懐から出した紙で拭きながら言った。
「き、貴、様・・・・・・妖しの、くせに何故、人間の、味方・・・・・などに」
最後まで言う前に土蜘蛛は力尽きた。
「・・・・・まぁ、色々と事情があってな」
少し間を置いて斬紅朗は言った。
「斬紅朗殿!大丈夫ですか?!」
洞窟から出ると藍璃が駆け寄って来た。
「・・・・あぁ」
何処か表情が暗い斬紅朗を見て藍璃は心配そうに顔を覗き込んで来た。
「・・・・・・本当に大丈夫ですか?」
心配そうに顔を覗き込んで来た藍璃を見て斬紅朗は苦笑した。
「・・・大丈夫だ。それより村人達を早く安心させるぞ」
斬紅朗の表情を見て藍璃は安心したように笑顔になった。
「・・・はい!」
先を歩く斬紅朗を見ながら藍璃は嬉しそうに後を追い掛けた。
村に帰った斬紅朗と藍璃は村人達の手厚い出迎えを受けた。
「・・・・本当に何とお礼を言ったら良いのか」
老婆は斬紅朗と藍璃に深々と礼の言葉と共に頭を下げた。老婆に続くように村人達が頭を下げた。
「礼の言葉は要らん。仕事だからやっただけだ」
ぶっきら棒に言う斬紅朗に老婆と藍璃は苦笑した。
「・・・行くぞ。藍璃」
陣笠を持つと言った。
「はい。斬紅朗殿」
二人は村人達に見送られながら伊勢を後にした。
決着が早くてすいません!?