第二話:武官、逃亡
恐らく二十話にも満たないで終わる物です。
男が去ったのを確認すると刀に付いた薄汚れた血を払った。
ビチャッ・・・・・血が地面に付着する音がした。
刀を鞘に収めた斬紅朗は初めて正面から娘を見た。
娘は腰を抜かして地面に尻餅を付いていた。
斬紅朗は娘に近づいて片手を差し出した。
娘は一瞬、出された手を取るのを躊躇ったがすぐに斬紅朗が差し出した手を掴んだ。
「・・・・・あ、危ない所を助けて頂いてありがとうございます」
震える足で立ちながら娘は礼の言葉を言って頭を下げた。
「別に通り掛かっただけの事。気にするな」
斬紅朗はそう言って立ち去ろうとした時であった。
「そこの者!待て!」数人の武官装束を着た男達が走って来た。
「ん?何だ?」武官達は斬紅朗と娘を取り囲んだ。
「貴様だな?!恐れ多くも先の中納言、芦屋友盛様のご息女、藍璃様をさらったのは?!」
武官達は一斉に刀を抜いた。
「ち、ちょっと待てよ!!俺はこの娘をさらってなどない!」
斬紅朗は弁解をしたが武官達は聞き入れなかった。
「黙れ!覚悟しろ!」
武官達は斬紅朗に斬り掛かって来た。
「待て!俺の話を聞け!」
武官達の刀を避けながら怒鳴ったが武官達は聞く様子はなかった。
「・・・ちっ」
斬紅朗は娘の手を掴むと森林に向かって走った。
「逃げたぞ!追えぇー!」
武官達が追い掛けて来るのが分かった。
しかし、斬紅朗は娘を肩に抱き抱えると凄い速さで武官達を引き離し森林の中へと消えて行った。
あまりラブシーンが書けそうにありませんが、お付き合い下さい。