第十四話:対決と終決
やっぱる二十話も行きませんでした。
屋敷の奥へと進むと襖があった。斬紅朗は襖を蹴り倒すと中に入った。
部屋の中央ではあぐらを掻いて酒を飲みながら左手で藍璃を抱く玉楼がいた。
「ざ、斬紅朗殿!?」
藍璃は涙を流して斬紅朗の無事を喜んだ。
「ほぉう。生きてたのか?老いぼれ」
藍璃を抱く腕の力を強くしながら玉楼は斬紅朗を見た。
「藍璃を返して貰おうか?餓鬼?」斬紅朗が言うと玉楼は高笑いをした。
「奪ってみな?最も老いぼれには無理だろうがな」
玉楼は藍璃の顎を掴んで唇を奪おうとしたが
「・・・おい。その汚い手で藍璃に触るな」
斬紅朗の殺気に玉楼は振り向いた。
「何だ?また俺と殺り合う気か?老いぼれ?」
侮蔑の眼差しで斬紅朗を見た。
「・・・・・黙れ。妖しの面汚しが」
斬紅朗は鬼龍刀を構えた。
「けっ!なら今度こそ息の根を止めてやるよ!老いぼれ!」
玉楼は酒を飲んでいた右手を上に掲げると炎が出て来た。炎は斬紅朗に向かって飛んで行った。
「俺の炎で骨も残さず焼き殺してやる!」
炎は円になり斬紅朗に飛び掛かった。
「斬紅朗殿!?」
藍璃は悲鳴を上げた。
「・・・・鬼龍。この小さな炎を消せ」
「・・・・承知した」
斬紅朗が鬼龍刀を軽く振ると風が吹き荒れ酒天童子の炎を吹き消した。
「何だと?!」
「こんな火で俺を殺せると思ったか?餓鬼」
鬼龍刀を肩に乗せて笑ってみせた。
「・・・ふん。少しは出来る様に成ったようだな」
玉楼は乱暴に藍璃を突き飛ばした。
「きゃっ!?」
藍璃は壁に当たり気を失った。
「・・・貴様」斬紅朗は怒りを覚えた。
「覚悟しやがれ!!」
玉楼は反鬼を抜くと一気に間合いを詰め上段から振り落としたが斬紅朗は軽く避けた。
「おら!おら!どうした!老いぼれ!」
玉楼は適確に攻撃したが斬紅朗は全て避わし続けた。
「何時まで避けてる積もりだ!老いぼれ!」
玉楼は乱暴に大きく振り隙が出来た。
斬紅朗はその隙を見逃さず玉楼の腹を斬った。
「ちっ!てめぇ!」
玉楼は激怒して更に乱暴だが攻撃の数を増やした。
「・・・等々、追い詰めたぞ!老いぼれ!」
斬紅朗は壁ぎわに追い詰められた。
「最後に言い残す事はあるか?老いぼれ?藍璃なら心配するな。俺がしっかり面倒を見てやるよ」
玉楼は笑いながら言った。
「・・・・それはこっちの台詞だ」
斬紅朗の言葉に玉楼は無造作に反鬼を振り落とした。
しかし、反鬼は床に当たっただけであった。
「・・・・遅いな」
振り向くと斬紅朗が立っていた。
「こしゃくな!」
玉楼は反鬼を横に振ったが無造作に腕を掴まれ
グシャッ・・・・・・
不気味な音がした。
「あ・・・・・あぁぁぁぁぁあ!お、俺の腕が!」
玉楼は肘から下に掛けてない右腕を抑えて悲鳴を上げた。
「よ、よくも俺の腕を!許さん!」
左手で反鬼を掴むと横に振ったが斬紅朗は軽く避けると上段から玉楼を袈裟がけに斬った。
「がぁっ!」
玉楼は床に倒れた。
その時、斬紅朗の瞳の色が黒から真紅の瞳になっているのを見た。
・・・・・真紅の瞳。それは妖しの世界では王の証。
「し、真紅の瞳、ま、まさか、あ、貴方様は、よ、妖怪王、り、魎・・・・」
最後まで言う前に斬紅朗に首を斬られた。
「・・・・・俺の名は斬紅朗。只の『狩人』だ。妖しの王などではない」
鬼龍刀を鞘に収めながら斬紅朗は言った。
後、二話で終わる予定です。