第十二話:二人の義弟
ヤクザ映画で義弟は思いつきました。
斬紅朗は女性が自分を呼ぶ声を聞き目を覚ました。
「お目覚め致しましたか?魎月様」
綺麗な十二単衣を着た女性が座り斬紅朗を心配そうに見ていた。
「・・・・・・ここは、どこだ?」
辺りを見回して尋ねた。
「・・・・・氷鬼様のお屋敷の離れでございます。魎月様」
女性は淡々とした口調で答えた。
「お前が俺を運んだのか?月夜?」
斬紅朗は女性、月夜に聞いた。
「はい。氷鬼様の命によりお迎えに行って見た所、血の臭いがしたので、辺りを見回したところ道端で血を流した魎月様が倒れていたのを見つけたのでお連れしました」
「・・・・そうか。所で氷鬼と風鬼はどうした?」
「・・・・・・御前に」
何時の間にか二人の青年が月夜の後ろに立っていた。
「・・・・・お久しぶりです。義兄上」
人の良さそうな青年が斬紅朗に頭を下げた。
「よっ!師匠!」
次に見るからに軽そうな青年が斬紅朗に挨拶をした。
「・・・傷の具合はどうですか?義兄上」
氷鬼が月夜の隣に座りながら尋ねてきた。
「あぁ。何とか大丈夫だ」
「それは良かった」
三人とも安堵の表情をした。
「・・・それより氷鬼。俺の鬼龍刀は、どこだ?」
斬紅朗の言葉に氷鬼は首を傾げた。
「・・・・鬼龍刀でしたら蔵の中ですが」
「・・・・直ぐに持って来てくれ。久しぶりに使える奴に出会えた」
口の端まで裂けた様に見えた。
「・・・・師匠を傷つけ連れのお姫さんを連れ去った愚か者の事ですか?」
風鬼が聞くと
「・・・・あぁ。最近、玉楼とか言う餓鬼にやられた」
「っで、どうする積もりですか?師匠?」
風鬼が楽しそうに聞いてきた。
「・・・・・無論。藍璃を取り戻して傷の恨みを晴らすに決まってるだろ」
不気味な笑みを浮かべた斬紅朗の姿は月神斬紅朗ではなく妖しの王、月神の魎月の姿だった。
「・・・畏まりました。直ぐに持って来てます」
聞き終えると氷鬼は月夜に命じて蔵に行かせた。
数刻し月夜が紫の布に包まれた大太刀を持って来た。
「・・・鬼龍刀を持って参りました」
両手を上げ斬紅朗に渡し部屋を後にした。
太刀を受け取ると布を取り漆黒の鞘に入った大太刀が姿を現わした。
「・・・久しいな。魎月」
鬼龍刀が喋った。
「・・・・あぁ。早速で悪いが力を貸せ」
斬紅朗の言葉に鬼龍刀は
「・・・ならば、うぬの血を吸わせろ。喉が渇いた」
「・・・・ふん。吸いたいだけ吸え」
斬紅朗は左手で無造作に鬼龍刀を掴んだ。
左手からは血が流れたが床には落ちず全て鬼龍刀に吸われた。
「・・・相変わらず極上の血だな」
それを聞き斬紅朗は鞘に収めた。
「・・・・風鬼、氷鬼。明日、京の都に向かう。二人とも準備をしろ」
斬紅朗の言葉に二人は畏まって頷くと部屋から出て行った。
「・・・・・必ず助けだすからな。藍璃」
皆が出て行くと斬紅朗は懐から鳳凰の髪留めを取り出して握り締めた。
二人の名前が悪すぎてすいません。