表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/20

第十一話:別れのキス

王道街道から脱出できません!!

「・・・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」


林の中を藍璃は必死に走った。


後ろからは馬に乗った男が藍璃の後を追っていた。  


しかし、馬の足には勝てず地面に押し倒された。  


「放して!放して!」


手足をばたつかせ男の顔を引っ掻いたり平手打ちをした。


「痛ッ!この女!」


殴られて鉄の味がした。


無理矢理立たされ連れて行かれそうになった。       


『助けて!斬紅朗殿!』


藍璃は心の中で斬紅朗の名前を呼んだ。       


すると茂みの中から人間の姿に戻った玉楼が男を問答無用で斬り殺した。 


「・・・大丈夫ですか?藍璃?」


将盛の姿に戻った玉楼は藍璃を心配した。


「ま、将雅殿。・・・・・・・・ど、どうして、貴方が此処に」


藍璃は茫然としていた。  


「何故?その様な事は聞かずとも分かるはずですが?婚約者である私が貴女を迎えに行くのは当たり前でしょ?」


笑みを浮かべる玉楼に藍璃は何かを察した。


『将雅殿じゃない!!』


しかし、斬紅朗の事が気になる藍璃。

  

「・・・ざ、斬紅朗殿はどうしたのですか?!」


藍璃は嫌な予感が胸を過ぎった。   


「斬紅朗?・・・・・・あぁ。あの薄汚い妖しの事ですか?奴なら私が一刀の下に斬り伏せましたが?」


冷静な口調で言う玉楼に藍璃は凍り付いた。  


「な、何て事をするんですか!?斬紅朗殿は無事なんですか?!」


顔を蒼白にしながら藍璃は怒鳴った。 


「・・・・・・恐らく、虫の息ですが生きてるはずです」


苦虫を噛んだ様に玉楼は答えた。

  

「斬紅朗殿に逢わせて下さい!!」


今にも飛び掛かりそうな勢いだった。       


「・・・・分かりました。ではこちらへ」


玉楼は理由を聞こうとしたが、藍璃の迫力に聞くのを止め変わりに手を出したが藍璃は取らずに 

          

「早く逢わせて下さい」


冷たい言葉で返答した。      


そんな藍璃に苦笑しながら玉楼は藍璃を案内した。     


『お願いだから生きてて下さい!斬紅朗殿!』


藍璃は心の中で斬紅朗の無事を祈った。













玉楼に案内された藍璃は地面に大量の鮮血を出しながら倒れている斬紅朗を見つけた。       

「ざ、斬紅朗殿!?」


悲鳴のような声を上げながら玉楼が止めるのも聞かずに藍璃は斬紅朗の所に走った。


「斬紅朗殿!斬紅朗殿!しっかりして下さい!」


鮮血で着ている小袖を汚しながら藍璃は斬紅朗の名を呼び続けた。     


「うっ・・・・あ・・・・・・い・・・・・・・り」


途切れ途切れだが斬紅朗は藍璃の名を呼んだ。   


「・・・・良かった」


涙を流して藍璃は喜んだ。  


「・・・・妖しの無事も確かめた事だし私と一緒に都に帰りましょう?藍璃」


玉楼は藍璃に手を差し出した。         


「・・・・・斬紅朗殿をどうする気です?」


斬紅朗を抱きながら藍璃は尋ねた。


「本来ならこの場で首を斬る所ですが、貴女が私と一緒に京の都に帰るなら妖しの命は助けましょう」


藍璃は一度、斬紅朗を見るが直ぐ酒天童子に振り向いた。


「・・・分かりました。貴男と都に帰ります。貴男も約束を守って下さい」


真剣な顔をして藍璃は言った。


「良い答えですね。それでは何かと別れの挨拶などがあるでしょうから私は先に籠で待っていますよ」


玉楼は藍璃と斬紅朗を残し去った。        


「・・・・斬紅朗殿」


藍璃は斬紅朗を強く抱き締めて謝った。        


「・・・・私のせいで、こんな目に合わせて・・・・・・ごめんなさい」


藍璃は涙ながらに謝まった。


「これを見て、私を時々、思い出して下さい。短い間でしたけど一緒に旅をして楽しかったです」


そう言って藍璃は鳳凰の髪留めを斬紅朗の懐に入れ近くの木に身を預けさせた。   


「・・・・・・・ごめんなさい」


藍璃は斬紅朗の冷たい唇に自らの唇を重ねた。


「・・・・・さよなら。斬紅朗殿」


唇を離すと藍璃は振り返らずに走り去った。


「・・・・くっ!」


冷たい雨が傷に染みて斬紅朗は目を覚ました。      


「大丈夫ですか!魎月様!魎月様!」


朦朧とする意識の中、斬紅朗は自分を呼び掛ける女性を見て意識を失った。



後、もう少しで終わる予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ