RAG結成!?
~プロローグ~
「私、花咲蓮花はっ...って固い!固い!コホンコホン...えーっと、私は花咲蓮花!ごく一般の女子高校生だよっ!」というありそうな自己紹介をし、この物語は始まる。
閑散としたこの日和美町にこの少女、花咲蓮花は住んでいる。
この町の人口は60人ほどしかいない小さい町である。
60人しかいないせいか、祭りは年に1回しかない、祭りといっても小さい祭りである。
「ちょっと蓮花!普通の自己紹介してどうすんのよ!っていうか誰に自己紹介してるのよ」
っとツッコミをしてきたのは、蓮花の親友で幼馴染の、春乃美咲、クールで頼れる少女だ。
「えぇ~いいじゃ~ん美咲~シンプルはベストだよっ!...あれ?」
「...シンプルイズベストね」
「そうそれ!それが言いたかったんだよぉ」
「やれやれだな」とため息をつきながら言った。
こんな感じで蓮花と美咲の一日は始まる。
第一章
キーンコーンカーンコーン。
「はっ!!!まずい!美咲!学校に遅れちゃうよぉ~」
今の時刻は、8時、8時10分までに着いてなければならない。美咲の体力では到底無理だ。死ぬ気で走るのみ。
「わかってるよ!はぁ...はぁ...全くなんでこんな時間になってしまったんだよ!」
「いやぁ...なんでだろうねぇ」
「蓮花が寝坊なんてするからだろぉ!」
こつんっ
美咲のチョップが炸裂する。
「ご、ごめんなさーい!」
二人は急いで学校に行った。
そして現在の時刻は、8時8分だ。
「はぁはぁはぁはぁあ...ギリギリセーフ!」
「ぜーぜーぜー、ちょっと...蓮花早すぎ...」
「あ!蓮花ちゃん、美咲ちゃんおっはよ~!」
元気よく挨拶をしてきたのは、クラスメイトの麻野ユカ。
漢字ではない。ユカだ。
「おはようございますです」
礼儀正しく挨拶をした人は唯我財閥の娘の唯我茜。
唯我財閥とは、この町のシンボルと言っていいほどの大きな財閥である。町を見渡せば大きな建物がポツンと立たずんでいる、それが唯我財閥の建物だ。
「おはようぷる!今日も元気ぷるぅ!」
ぷるぷる言っているのは由姫いろは。
ブリっ子だがどこか憎めない子だ。
「はいはーい皆さん席に着いて~」
「今日は、とても大事な話があります」
先生の顔つきが変わり、何かあると感じ、蓮花達も顔つきを変える。
「「「「「ゴクリ...」」」」」
少しの間沈黙が続き、先生の口が開く。
「実は私!好きな人が出来ちゃったのぉ♡」
「ぶっwwwせ、先生何事かと思えば彼氏かよ!」
「で、で、で!どんな人なの?」
「う~んとね~...秘密かな!てへっ☆」
40代の人が手で頭をこつんっとして、舌をペロッと出す姿は、異様な光景だが、そんなことはお構いなしだ。
「てへっ☆じゃねぇよ!期待させておいてそれはないぜ」
「アイムソリソリ~」
この言葉は理解しがたい。
キーンコーンカンコン、そして昼休み。昼休みだけチャイムが少し違う。
「ひっるやっすみぃ~♪ひっるやっすみぃ~♪美咲~一緒に食べようー」
昼休みの時は人一倍元気だ。
「はいはいわかったわかった、ユカたちも一緒に食べようぜ~」
「いいよ~!」
「もぐもぐもぐもぐんん~おいひぃ~」
なにか美味しい物を食べてはいないが、オーバーリアクション並に美味しそうな顔をする。食べてるのはただの唐揚げだ。
ピーマンだけを箸でよせ集めて蓮花を見ていた美咲に差し出した。
「はい!美咲!あ~ん」
美咲は蓮花が小さい頃からピーマンを食べれないことを知っている。
「蓮花、まさか高校生にもなってピーマンの一つも食べれないのか?」
「ギクッ!!そそそそそそんなわけないじゃないですか美咲先輩ぃ~」
「はぁやれやれ...ほら、あ~ん」
仕方なくピーマンを食べてあげようとする美咲を皆ジッと見つめる。
「美咲ちんやさしいぷる」
「優しいですねぇ、羨ましいです」
「な、なんだよ皆して...恥ずかしいな」
それから皆で楽しく話をしていたら時があっという間に過ぎていた。
そして、昼休みが終わり、下校時間になる。
ユカ達とは校門で別れ、蓮花と美咲は家が隣同士。
言い忘れていたが、蓮花の家は薔薇屋である、小さい町になぜ薔薇屋があるかは気にしないでくれ。
美咲の家は楽器屋である。ベース、ギター、ピアノなど、いろんな楽器が揃っている。
家の前で止まる。
「それじゃ蓮花、また明日なぁ」
「...」
蓮花はもじもじして何か言いたそうにしている。
「どうした蓮花、何か言いたそうな顔して」
「あ、あのさ美咲...」
「ん?どうした?いつもの蓮花じゃないぞ」
「バンド、バンド組もう!!!」
いきなりのことであ然とする美咲
「...は?」
「バンドだよ!美咲!組もうよ!」
「何を言うかと思えばバンドかよ、まぁ楽器は持ってるものの、ここ最近やってなかったからやれるか分からないぞ」
「大丈夫大丈夫!そこは練習すればなんとかなるさ!」
「まぁそれはそうだが..」
「よし!じゃあ決定ね!じゃっばいば〜い!」
「え、ちょおま..まだやると決めたわけじゃないんだがなぁ」
蓮花が言ったことは悪くなったことは一度もない。
「.....まぁ、いっか」
こうして蓮花と美咲でバンドを組むことになった。結成されたがまだメンバーはたったの2人だけだ。
そしてその夜。
「えっとぉ..この辺にあったような..よいっしょっと..あった」
そこには少し古びたベースがぽつんと置かれていた。
「懐かしいなぁこのベース、3年ぶりだな」
と昔の記憶を蘇させ、昔を振り返っていると時計の針は12時を指していた。
「うーん、こんな時間か、さてと、寝るとするか」
一方、蓮花は。
「あったあったぁ♪私のギター!」
「ちょっとホコリかぶってるね、ふぅ!うわっ!げほっげほっ、3年も放置してたらこうなるよね」
「ふっふふ〜ん♪ふっふふ〜ん♪楽しみだなぁ♪バンド♪バンド♪」
蓮花の妄想タイムが始まる。
こうなった蓮花は美咲でも止められない。そしていつの間にか寝ている始末。
次の日。
朝だよー、朝だよー、朝だよー、と目覚ましが鳴る。
「んー...あと5分だけぇ...」
「蓮花ー!!!起きろー!!」
窓の外から美咲の目覚まし。
美咲の目覚ましは一発だ。
「はっ!はいー!!」
「ちょっと待っててー!」
蓮花は身支度を済ませ、家を出る。
「..よし、準備完了!美咲〜おまたせ〜」
「..なんでパンくわえてるんだ」
「これはほら、あれだよ!あぁ〜遅刻遅刻〜キャッ!ってなるやつ!」
「それはラブストーリーだろうが!じゃなくて、急ぐよ蓮花!またギリギリに着くなんて、蓮花何してたらこんな時間になるのよ!」
「バンドが嬉しくてつい、妄想を..」
「妄想かよ!全く、遠足の前日じゃないんだから」
「えへへ〜」
「褒めてない!」
こつんっ
美咲のチョップが炸裂する。
「ごめんなさい!」
「そんなことより美咲!早く行かないとまた遅れちゃうよ〜!」
「あ、こらっ蓮花ー!!私を置いていくなー!!」
こうしてまた、慌ただしい1日が始まるのでした。