異世界でのレッツファイト!
ようやくバトルに触れられた。
表現は下手ですが楽しんでいただけたら幸いです。
「まぁ、とりあえず座りなよ」
今彼はヒューズ・マクアドルの部屋に居る。
お茶を準備しながら話しかけてくる。
「しかしまぁ、地球人と再会できるなんて何年ぶりかなぁ。今地球のほうはどうなってるの?」
「どうなってるのって…、質問がおおざっぱすぎますよ」
「私はね、ここにきて大体30年くらいになるんだけどね。なかなかいい場所だよね」
…こいつの話し方全然読めない。
地球の現状を訊いてきたと思ったら自分の話だ。
「あの、質問いいですか?」
「特に転移装置!あれは大した発見だ。まだお目にかかったことはないけど瞬間移動装置もあると聞いたじゃないか。死ぬ前には見てみたいもんだねぇ」
「…」
「で、なんだい?」
「1テンポ遅っ!それで教師よく勤まるな!?」
「いいツッコミだねぇ。これは久しぶりにボケがしたかったからやっただけだよ。で、質問を受け付けようじゃないか」
マクアドルが淹れたてのお茶を出してきた。
目の前に出されるが生憎今はそれどころではない。
少し心配になったが訊きたいことはある。
「…ここはどこなんですか?」
「不明だ」
「なぜ科学が発展してるんですか?」
「不明だ」
「帰る方法は?」
「不明だ」
「全部不明じゃん!30年もいたら、しかも教師だったら分かるでしょ!」
さらにこの軽く受け流す感じがイラっとくる。
「君の質問が悪いんじゃあないかな。君、地球ってどこにあるか分かるかい?」
「…分かりません」
「どうして地球の科学はあれぐらい発達したんだ?」
「分かりません」
「どうやってここへ来たんだい?」
「分かりません」
「そういうことだよ。まぁ、確かに分かっていることは少ないけどねぇ」
「…30年間地球に帰ってないんですか?」
30年…。
少なくとも自分はここに居続けたくはない。
決して嫌な世界ではないが、一番居心地がいいのは住み慣れた自分の世界だ。
帰りたい気持ちのほうが強い。
「そうだね。ミリーナにここに飛ばされてからずっとここで生活してるよ」
「ミリーナ?」
「見てないのかい?不思議な子だよ。僕が見た感じは5,6歳の女の子だったよ。突然現れて私を飛ばした。いったい何者なんだろうねぇ」
「そいつが俺を飛ばしたのか?」
「たぶんね。ミリーナなら、後々事情は聞けると思うよ」
「そいつはどこに?」
「帰る手段を聞き出す気かい?」
「もちろんです」
「たぶん無理だと思うよ。私たちみたいな境遇の人は他にもいたんだけどねぇ、誰も帰れなかった。しかも神出鬼没でね」
はた迷惑なやつがいるということか。
しかも元の世界に帰してくれないというかなりタチの悪い。
「なんなんですか、そいつは?」
「さぁ、私が知っているのはそれくらいなんだ」
「それくらいって、外見しか知らないんですか?」
「いや、他にもあるけど別に話すようなことじゃないし。面倒だし」
あくびをしながら答えるマクアドル。
歓迎しているのか、それともそうではないのかわからない。
と、6時を知らせる時報が鳴る。
「おっと、これ以上君を無断でここに置いておくといろいろ面倒そうだ」
「俺にはまだ聞きたいことが…」
「それはまた今度にしよう。何より時間はたっぷりある。気長にいこうじゃないか」
マクアドルがそう言うとリョウの床が光り始める。
気づけば自分の部屋だった。
リョウはそれからしばらくの間、マクアドルに会おうとした。
しかし、何かと理由をつけられそれはかなわなかった。
気づけば1ヶ月経っていた。
――――――――――――――――――――――――――
「やるな、リョウ!」
「お前もな、レックス!」
今彼らは、実践の訓練中だ。
ドールを装備して戦っている。
未だに進化したドールを持つ1年生はいない。
Bコースの生徒は80人に増えた。
ドールは進化しない限り、体に装備されるパーツしかない。
さらに1年生なので戦い方も正直イマイチだ。
なので戦っていると言ったが実際は殴り合いも同然である。
「いい加減壊れろよ!」
「お前こそ!」
ドールを機能停止に追い込む方法は2つある。
一つは手や足などのパーツにダメージを与えること。
手足4つが動かなくなればただの浮いてる物体、或いは落ちてしまい戦えなくなるからだ。
もう一つは「核」を壊すこと。
核は人間でいうところの心臓や脳を表す。
ドールは一段階目以外核の場所がかわってくる。
つまり一段階目は核の場所は一緒ということだ。
ならばなぜ今リョウたちは、がむしゃらに殴り合っているのか。
それは核が機体の背中にあるからだ。
特殊な攻撃方法を持たないこの機体ではまず届かない位置なのだ。
「どりゃぁぁぁ!」
「ぐ…!」
リョウの機体が落ちていく。
「ぎゃーーーーーーーー!」
地面に落ちた。
どうやらレックスの勝ちのようだ。
「いつつ…」
「だ、大丈夫ですか?」
フィリアが駆け寄る。
1ヶ月も経つと普通に話せるようになってくる。
相変わらず決まった人以外に話しかけられると少し焦るみたいだが今ではリョウにならフィリアから話しかけてこれる。
「大丈夫よ。男子はみんな丈夫にできてるから」
マーシャだ。
最近Bコースに移行してきた。
何かがBコースへの加入を阻んでいたようだが、解決したのだろうか?
「エスバリアがあるから大丈夫だ、フィリア。男子だからってわけじゃないぞ」
エスバリアとはドールを装備している間、常に発動しているバリアだ。
これがなければ殴り合いなんかすれば、最悪どちらかが肉塊になりかねない。
「俺の勝ちだな。魔科祭の主将は俺だからな」
「分かってるよ。あと一歩だったのになぁ」
マッカ
それは魔法と科学、両方の学校が合同で行う学園祭みたいなものだ。
それぞれ校舎から5人ずつ選出し、勝負する。
この学校は1学年5000人と意味わからない人の数をとっているため、校舎をいつくも設けている。
クラスでわけないのは5000人もいるのをクラス分けして、それでチームを組むと予選だけでも1週間使いかねないからだ。
それぞれの勝ち残った1チームが魔法vs科学の形で戦えるのだ。
ちなみにここ8年間は1年生の場合、魔法側がずっと勝っている。
サブでもちろん出店なども出てくるが、一般人はこない。
「まぁいいじゃない。マッカに出られるんだから」
「それはそうだけど、やっぱり勝ちたいじゃんか」
「男子ってそういうところあるわよね。やっぱり分からないわ」
さっきから男子、男子と。
マーシャは男子に恨みでもあるのか。
っていうか負けず嫌いは女子にもいるだろ。
「にしても驚いたわ。まさかフィリアがマッカに参加できるなんて」
「こう見えても多少は戦略家なんですよ」
実はフィリアも5人のうちの1人に選ばれていた。
彼女に男子を勝るほどの力はない。
ドールを装備しているので力は飛躍的に向上しているがそれは皆同じである。
だから彼女は考えることで勝つことを目指しだ。
そして結果がぎりぎりの5位だ。
女子で入っているのはフィリアただ一人なのですごい話である。
「ねぇフィリア。せっかくだからリョウと戦ってみてよ」
「ええ!」
「今回の順位は勝ち抜き戦だったからリョウと戦ってないでしょ?折角だから戦ってよ」
「折角って何だ」
「そうですよ。やる必要なんてないですよ。私これでも怖いと思ってるんですよ」
「いいじゃない。そうねぇ…、じゃあ学食のメニュー何か1つ奢ってあげるわよ」
「…」
「(迷ってる)」
「勝てばマッカの出店でもなにか1つ奢ってあげるわ」
「リョウさん、準備はいいですか」
金がないのかフィリアの現状など知る由もないがフィリアが準備運動を始める。
「簡単だな!?でも俺はやらねえよ。メリット何にもないし」
「メリット?」
「利点っていう意味だよ」
「巨乳好きって広めるわよ?」
「よし、フィリア。5分後に始めるぞ」
~5分後~
「勝利条件はいつも通り。相手を機能停止まで追い込んだほうが勝ちよ。あとルールを公式ルールに近づけるため、自分の装備以外の武器の使用は最大3つにするわ」
「分かってるよ」
リョウとフィリアが向かい合うようにして訓練場に立つ。
周りは地面に砂があるだけで障害物は半径500m先まで何にもない。
「なら始めましょう。じゃあ位置について…ファイト!」
また英語だと思いながらリョウは距離を取り始める。
フィリアも同じ行動に出た。
相手から目を離さず一定の距離を保ちながら様子を見る。
「攻めてこないですか?」
「戦略家相手に策なしでは飛び込めないよ」
しかしどちらかが仕掛けなければ始まらない。
言ったそばからリョウはマシンガンを取り出す。
人を殺すためのマシンガンでは傷一つつけられないがこれはドール用だ。
撃ち始めるがもちろんこの程度ではとても当たらない。
「女子相手にそれはないですよ~」
余裕なようだ。
撃ちながら距離を近づけるため接近する。
フィリアはまだ逃げ続ける。
「(何を考えてるかは知らないが一気にけりをつける!)」
フィリアはリョウに背中を向けて逃げている。
背中には表面に出ているわけではないが核がある。
リョウは加速する準備をする。
二つ目の武器だ。
使いどころが難しく時間も5秒と短い。
それ故あまり人気がない。
それでも加速し追いついた後マシンガンを直に叩き込めば勝ちだ。
5秒もあれば余裕で追いつく、間違いない。
リョウは加速し一気に近づいた。
一瞬、リョウの通った空間に突風が吹き荒れる。
フィリアはまだ気づいていない。
マシンガンを背中に押し付ける。
「悪いなフィリア!」
そう言いながら撃ち始める。
直撃した。
しかし当たったのは初撃のみだった。
なんと一発あたったとたんフィリアの機体は弾の進む方向へ加速していったのだ。
一瞬、弾よりも早くなった後フィリアは弾の軌道から外れ二撃目を許さない。
「そういう戦略ですか。やはりダンパーつけておいて正解でした」
「ダンパー!?あんな使いにくいものを!?」
ダンパーというのは攻撃を受けた際に、受けた方向に一瞬ものすごいスピードで移動できるようになる装備品。
ただ、速度がものすごく扱うのは難しいため使う人はまずいない。
防御のために使われるのだがこれは最初に受けた攻撃に対してのみ有効なので2回目はないのだ。
連射してくる攻撃、マシンガンぐらいにか対応できないので本当に人気がない。
「リョウさんだってアクセルつけてたじゃないですか」
形勢逆転だった。
リョウは武器残りマシンガン少しと使っていないのが1つに対し、フィリアは使っていない武器2つだ。
1年生の戦いでは持ち込む武器が基本勝敗をわけるのだ。
機体の内容が同じである以上、持ち物で勝負に出るしかない。
どうするか考えているとフィリアが攻めてきた。
正直分からない武器が2つもあるフィリアに接近されるのは危険かと思ったがあえて迎え撃つ。
リョウは力勝負に出た。
近づいてきたフィリアに右ストレートを入れようとする。
フィリアはかわし、回し蹴りをしてきた。
かわせないと判断し、左手でガードする。
既に地面まで降りていて後がなかった。
右ストレートを外した右手で、左手でガードしている足を掴む。
そのまま背負い投げを地面に向かってする。
その後足を掴みつつマシンガンを使う予定だった。
しかし背負い投げをしたのに目の前にフィリアが倒れてこない。
しかし足を握っている感触はある。
そして妙に軽いことに気づく。
「(マジかよ!?)」
何が起きたのか理解し手に握られている足を投げようとしたが遅かった。
耳元で鼓膜が破れるような爆音が響いた。
フィリアのドールの足のパーツが爆発したのだ。
「くそっ!」
フィリアは自分のドールのパーツを取り外して攻撃してきた。
足に爆弾でも仕込んでいたのだろう。
「(人は見かけによらないとはまさにこのことだな)」
ドールは壊れた場合、すぐには直らない。
それを考慮したはずだが、フィリアは自分の足を取り外した。
今のリョウはドールの両腕を失った。
エスバリアにより、素手は無傷だ。
しかしこれでは相手の機体を手で攻撃できない。
「リョウさん!もう無理だと思います。私の勝ちじゃダメですか!」
フィリアが砂煙で見えないリョウに問いかける。
普通ならここであきらめるがリョウは負けず嫌いだった。
ましてや女子には、なおのこと負けたくない。
今フィリアの声が聞こえた方向は何となく見当がついた。
マシンガンも少し残っている。
まだ使っていない武器も1つ。
リョウは頭をフルに回転させ始める。
そこで1つ作戦を思いついた。
しかし
「(これは可能なのか?確かマーシャは出来ていた。でも俺は出来るのか?)」
悩んだが選択肢はないと判断する。
リョウは賭けに出た。