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屍使い、再臨

あらすじ

クロを説得したリョウ。

しかしそこにミィヤが現れる。

登場早々Tに向かって殺す宣言!

この勝負の勝敗はどうなるのか!どうなるのでしょうかぁぁぁ!?


リョ「くどい」

クロ「右に同じく」

ミィヤとTがにらみ合っている。

ミィヤからは殺気がものすごい漂っていた。


「ミィヤ…」

「ごめんなさい、リョウ。でもこいつは私が殺るって決めてるの。あなたは安全な場所に避難して」

「馬鹿言うな!俺だって戦えるんだぞ?指くわえて眺めてるなんて御免だ」


突如、爆音と同時に離れたところに火柱が立つ。


「なっ、なんだ?」

「…マスター自身が侵攻を始めたんですよ。意味分かりますよね?」


マスターがという人物が戦線に出てきた意味。

リョウにはすぐにわかった。


「完成したっていうのか!」

「ええ。それ以外は考えられません。もともと人を殺すことに抵抗がある人ですからすぐに終わらせるため、自身が出てきたのでしょう」

「人を殺すことに抵抗があるのならどうして皆殺しなんだ?」

「それは帝国からの命令ですから。時々怖いことも言いますが根は優しいです」


リョウが火柱が立ったほうを見る。

あそこには今回の戦争の親玉、そしてクロを泣かせた張本人がいる。


「…ミィヤ。ここは任せる」

「後でキスして頂戴ね?」

「お前、さっきまでどっかいけとか言ってたよな?」

「ん~…、じゃあデートで我慢する」

「ハードル上がってないか?」

「一緒に買い物に付き合ってくれればそれでいいわよ」

「…それだけだな?」

「それだけよ」

「分かった。そういうことにしておこう。サク、行くぞ」

「はい、リョウ殿」

「あ、ちょっと待ってて」


ミィヤが一枚の札を取り出す。

それをリョウの背中につけた。


「これは?」

「回復用の札よ。さっきクロが回復している姿が見えてたから一応ね」

「ありがとう。じゃ、行ってくる」


リョウとサクがその場を去る。

敵は全然動かなかった。


「あなたはいいの、クロ?」

「僕は自分の敵に決着をつけなきゃいけないからね」

「お偉いさんはリョウが行ったほうじゃないの?」

「実は僕のお母さんを人質に取ったのはこの人なんだ」

「成程。で、私は知り合いたちの仇をとるため、あいつを殺すつもりなんだけどいいかしら?」

「かまわないよ。僕もそのつもりだ」


Tが地面を離れ浮かび上がる。


「準備はいいですか?」

「一応訊くけどなんでリョウを見逃したの?」

「私もさすがに4人を相手にすると骨が折れるんですよ。マスターは今は最強だしいいかなと思いまして。まぁ、部下は沢山いますが」


周りにいる敵は少しも動かずただ立っている。


「…やっぱり僕は嫌だな」

「?」

「全部死体でしょ、この人たち」

「死体?」

「私は『屍使い』という者です。私は屍を好きなように扱うことができる」

「趣味悪いわね」

「いいですよ死体は。文句を言いませんし、命令に忠実。そして何より―――」


指を鳴らした。


「―――死を恐れない」


それと同時に屍の群れがミィヤたちに襲い掛かる。


「あなたが数で勝負するなら、私は力で勝負するのみ!」


地面に札を張りつける。

するとそこから魔方陣が出現する。


「青龍!」


それは大して大きい魔方陣ではなかった。

だが、確実に以前より強い青龍が現れる。


「みかけだおしじゃつまらないですよ」

「私だって特訓したのよ。おかげで場所をとらずに強い青龍を召喚できるようになったわ」

「本当に強くなったのですか?」

「今に分かるわよ!」


ミィヤが青龍を、クロはゴーレムを使い敵の殲滅を始める。


「サリス、ノリス!、あのクズを狙って頂戴、殺して構わないわ!」

サリス、ノリス『承りました』


サリス、ノリスがTの目の前までくる。


「たかが使い魔の分際で…。私に勝てると思ってるのか?」

「命令ですので」

「お前らのことは調べてあるよ。代々、青龍を使う巫女の使い魔としてやってきたらしいようだな。ご苦労なこった」

「私たちはただの一度もあの人と一緒にいたことを嫌だと思ったことはありません」

「羨ましい話だなぁ。こんなに忠実な道具があるのか。私も欲しいもんだ」


話が終わる前にサリスが動く。


サリス、ノリス

彼女たちは何かの妖精というわけではなく、分類するなら『不明』に属する。

彼女たちの武器は素手である。

どこで習ったのか、あるいは独学なのかは不明だがその実力はなかなかである。

しかし、それ以上の彼女たちの特徴は死なないということ。

戦闘不能になると消えてしまうが一定時間たてば復活する。

彼女たちが言うには、青龍の巫女が途絶えたとき自分たちも死ぬと言っていたが巫女の血は途絶えたことがないので確かめようはない。


一瞬でTの懐にもぐりこみ手刀ともいうべき殺傷能力を持った手で攻撃を繰り出す。


「おっと!」


少し後ろに下がりそれを避けるT。

だが、ノリスが待っていた。

ずっと一緒にいたせいなのか阿吽の呼吸以上のチームワークの良さがある。

膝蹴りを繰り出す。

そこまでは考えていなかったのか魔法を唱えることもできず、腕で受ける。

さらに、後ろからサリスが掴みかかる。


「なかなかだが…まだだ!」


Tは雑魚を4体、サリスたちに向かわせる。

サリスとノリスはアイコンタクトのみで役割を決める。

ノリスが雑魚4体の相手に向かう。


「目線だけで意思疎通ですか。流石ですね」

「悪いですがあなたと話している暇はございません。ミィヤ様からの命令にそれは含まれてませんので」

「でも話すなとも言われてないでしょう?いいじゃないですか」

「クズと話している時間はございませんので」


サリスが再びTに襲いかかる。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


サリスとノリスがTと戦っている間、ミィヤとクロも戦っていた。

しかし


「…減らないわねぇ」


あまりの数に減っている気がしなかった。


「相手は屍なんだから仕方ないよ。恐怖しない兵隊なんだから」

「ゾンビと似たようなもんね。…サンダー!」


電気魔法を唱えてみるが、ダメージが見えない。

表面はある程度焦げるが動きは少しも鈍らない。


「そんなので倒せると思ったの?っていうか、なんでお札使わないの?」

「せっかく学校で習ったんだから実戦で使ってみたかったのよ。でも駄目ね。弱いわ、魔法って」

「普通の相手ならあれだけ使えれば十分だよ。でも今の相手は屍。動きを止める方法は―――」


ゴーレムが敵に向かって倒れ掛かる。

起き上がるとそこらじゅうが血の海になっていた。


「―――肉塊にすること」

「頭を切り落とすんじゃだめなの?」

「その場合、頭のみが機能を停止するけど体は動くよ。大きさにもよるけど…人なら5等分ぐらいにすれば完全に止まるかな」

「ゾンビよりタチ悪いじゃない!それに…」


ゴーレムや青龍が殺った死体を見る。

そこには体は黒く覆われていない、一般市民も含まれていた。


「気が引けるわ」

「でも構ってる暇ないよ」

「分かってるわ。だからこうやって…、業火爆滅!」


札を投げると敵の集団に当たる。

当たった瞬間に敵の方向にものすごい炎が襲いかかる。


「殺してるのよ」

「すでに死んでるんだから殺してるは言い過ぎだよ。助けてあげてるでもいいと思う」

「そう言ってもらえると気が少しは楽になるわ」

「でも、このままじゃまずいよね」


のんきに話してはいるが実際はゴーレムと青龍ですら捌ききれない数だ。

唯一の救いは相手が全員魔法は使わず肉弾戦のみにこだわっているということだ。

魔法を使われようものならすでに命はない。

Tもいまだにそれの制御はできていないようだ。


「やっぱりこの状況を打開するにはTを何とかするしかないと思う」

「同感ね。でも私たちがTのほうに向かえばこいつらも来るわよ?」

「動きを止めることさえできれば…、どうにかなると思うんだけど」

「できないこともないわよ?」

「本当?」

「敵味方問わず半径5キロ凍り付くけど」

「却下!」


突如、再び遠くで火柱が立つ。


「リョウが戦ってるのかな?」

「そうね。私の将来の夫が逃げるわけないもの」

「なら、僕たちも休むわけにはいかないよね」


クロがゴーレムの肩に乗っかる。


「…それもそうね。妻が駄目だと夫もダメみたいに思われるわ」


ミィヤも服の中から札をたくさん取り出す。


「よく考えたらあなたが戦うところ見たことなかったわね」

「僕だってネーム持ちなんだから結構やれるよ?ミィヤは3年ぐらい魔法ばっかり使ってたけど大丈夫?」

「3年で衰えてしまう私なら巫女なんてやってないわ。むしろ本気が出せると思うと楽しみで仕方がないわよ」

「…やっぱりミィヤって巫女向いてないよね」

「クロ、巻き込まない保証はできないから当たったらごめんね」

「少しは気をつけてよ!?」





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


サリスが片膝をつき、肩で息をしている(宙に浮かんでいるが)。

Tは手をポケットに入れ立ちあがった火柱を見ている。


「…やりすぎですね」

「…何がです?」

「いや、あなたに言ったんじゃないんですけどね。マスターやりすぎだなと思いまして」

「余裕だな?」

「当たり前でしょう。あなたは傷だらけでぐったりしている。あっちで戦ってる双子も4体相手に苦戦している。たいして私は無傷。なんで余裕じゃないことがあるんですか?」


反論できなかった。

確かに本気を出しても手も足も出ないのだ。

今のサリスには打つ手なしだった。


「どうせあなたは殺しても死にませんし。無駄な労力は使いたくないんですよ。ですから私はこうして観察者としてあっちを見てるんです」

「観察者?」

「おっと、口が滑ってしまいました。教えませんよこれ以上は」

「…別に必要などございません。あなたは私が殺します」

「まさにゾンビだな。ぜひともこちらの駒になってほしいですねぇ」

「私たちを道具としてみている時点であなたの下に付く気はありません」


再びサリスが立ちあがる。


「まだやる気ですか?」

「意識がある限り何度でも立ちあがります」

「…あなたが私に本気を出させてくれるほど強ければ私も盛り上がるんですけどねぇ」


圧倒的な力の差がある中、サリスは立ち上がる。

めちゃくちゃ遅くなった…。

編集等が地味に時間を食うな。


こんなこと言うのあれですけどハーメルンで読んだほうがいいかもです…。

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