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フィリアの休日その2~恐怖と想い~

きましたよ。

私が主人公である話の2つ目です!

皆さんお待たせして本当にすみませんでした。


えっ?

別にお前の話になんて興味はない?

そんなこと言わないでくださいよぉ。

服よし!

顔よし!

カバンよし!

あっ、みなさんこんにちは。

最近おしゃれを研究しているフィリアです。

今日はですね、学校の中でですけどみんな(いつものグループ)と集まりがあるんです。

何をやるのかは聞いてないので分かりません。


「ちょっとフィリア、何やってるの?」

「これを読んでくれている方々に事情の説明を」

「…何言ってるの?」


理解されませんでした。

まぁ、仕方ないといえば仕方ないのですが。


「それより、マーシャさんは準備できました?そろそろ時間ですよ」

「ちょっと待ってね。髪型がいまいち決まらないのよ」


マーシャさんは最近髪の色を変えたついでに髪型も変えてみようと思ったそうです。

別に今まで通りのショートカットで似合ってると思うですけどねぇ。

っていうかショートカットの人が髪型を変えてみたいならまず髪を伸ばすべきなのでは?


「ん~…。ツインテールもいまいちね」

「マーシャさん、ショートカットだったのにどうやって髪型変えてみてるんですか?」

「インターネットで映像を出してからうまく合わせてるのよ。自分に合わせようとするとかなり時間かかるんだけど髪をいじらなくていいからいいのよね…」


そういえばそんな感じのサイトがあるのを聞いたことあります。

私は開いたことないですね。

今度私も髪型変えてみよかな?


「とりあえず行きましょうよ。もう遅れてしまいますよ?」

「そうね。こういう時は瞬間移動装置がほしいと思うわね」


転移装置の行き先を体育館に設定する。

2人はそれに乗って部屋を出ていく。

すぐに体育館についた。

まぁ、すぐにとはいっても実際は10分ほど時間を要しているのだが。


「そういえばマーシャさんは今日何やるのか聞いてます?」

「いえ、私も聞いてないわ。主催はリリアらしいからあまりいい予感はしないけど」

「最近リリアさん暴走気味ですもんね。原因はおそらく…」

「あの青い髪の部長さんよね」

「今回も記事目当てですかね?」

「たぶんね。まぁ、嫌な予感がしたらすぐに降りるからいいけど」

「私もそうしようかな…。あっ着いたみたいですよ」


みなさん(リョウやクロ等)居ますしあそこが集まる予定の所ですよね。

って、ん?

なんかリョウさんの近くに見知らぬ人が居ますね…。

しかも結構距離が近い。


「頼むから離れ、ってマーシャ、フィリア!」


気づいてくれました。

ならとりあえずその人から離れてください。

私が分かるほどマーシャさん、ものすごい雰囲気を出してますから。

顔は見てないけど勘の鋭い人ならどんな強者でも逃げ出しそうな顔しているような気がします。

鬼が逃げるかどうかは分かりませんけど。


「…リョウ。その人は?」

「えっ?お前なら知ってるだろ?転校生だよ。フィリアは初めてだよな?」

「はじめまして、フィリアさん。マーシャさんも顔を合わせた程度でしたよね?私はミィヤ・ケリニアスって言います。よろしくお願いします」


わざわざ頭まで下げてくれました。

こんな礼儀正しい人が居たんですねぇ…。


「ご丁寧にありがとうございます。フィリア・リトルトリアといいます」

「…マーシャ・クリーシャよ」

「よろしくお願いします」

「ねぇ、いきなりで悪いんだけどあんた、なんでリョウにくっついてるの?」


あ、それすぐに訊きますか。

気にはなっていましたけど訊きづらいからやめておいたのに。


「なんでって…、ラブラブだからですよ?」

「「ラブラブぅ!?」」

「ち、違う!誤解だ!」

「またまたぁ!この人恥ずかしがり屋なんだから」

「ちょ、どういうことよ?」

「まさか付き合っている人がいたなんて…」

「リョウ、付き合ってたの!?」

「違うから…!誤解だから、誰か助けてー!」


リョウはこの後、レックスが来るまで永遠と誤解をとけずに半泣き状態だったという。








「さて、みんな集まったわね。これから楽しいことを始めたいのだけど…、リョウ、どうかした?」


力を使い果たしたかのような状態のリョウに少し事情を聞こうとする。


「気にしないでやってくれ。すぐに元気になる」

「そう?ならいいのだけれど。じゃあ、改めて只今より『肝試し』をやりたいと思いまーす!」

リリア以外『肝試しぃ?』

「肝試しって、あの肝試しか?」

「それ以外ないと思うんだけど?ちゃんとこわーい仕掛けは準備してあるわよ!」

「普通肝試しって夏やるもんじゃね?」

「何言ってるのよリョウ。寒い中、まぁあまり寒くないけど、そんなときに肝を試すのが普通でしょ」

「そうだよ、リョウ。何言ってるの?」


夏に肝試しって、リョウさんは何言ってるんでしょうか?

リョウさんの住んでいた地方ではそういう風習だったのでしょうか?


「きっと疲れがまだ残ってるのね。まぁいいわ。夏にやろうが冬にやろうが私のやることは変わらないし。それじゃあさっそく、これ引いて頂戴」

「おみくじ?」

「そりゃ、肝試しに一人で行くのはあまりに酷よ。だから面白イベントがあるように男女の組みになってもらいます♪」


…、間違いなく記事目当てですね。

なんかもう最近こういうこと多くないですか?

でも私こういうの苦手なんですよねぇ…。


「あの…、リリアさん」

「ん?何?」

「私こういうのは苦手なのでちょっと…」


なんか断ったら鞄をあさり始めました。

い、いやな予感しかしないんですけど。


「はい、フィリア」

「これは?って、いやぁぁぁぁ!」


そこにいる全員がビクっとするがフィリアには関係ない。

なななな、なんでこれがまだ存在するんですか!?


「言いたいことは分かるわよね?」


く、黒い!

リリアさんがものすごく黒いです。

この黒歴史はもう存在しないはずなのになぜ…!


「さて、後のみんなは参加でいいかしら?」


み、みなさんたじろいでます…!

恐るべし、新聞部!


「よし、じゃあみんなこれ引いて頂戴!」


全員がくじを引く。(男女分かれて)

ペア

赤ミィヤ、リョウ

青レックス、リリア

黄フィリア、ケイト

緑クロ、マーシャ


…。

なんだか運でできたような組み合わせには見えないんですけど…。

っていうかなんでケイトさんいるんですか。

別にいてもダメじゃないですけど。

むしろ―――


「科学の力を結集させて4つ通路を作ったわ。途中で繋がってるから会ったら組み合わせを交代してね」


まぁ、交代があるのなら。

じゃあ、ちゃっちゃと終わらせてしまいましょう。

この人に迷惑をかけるわけにはいきませんからね。

…にしても、リョウさんやけに暗いですね。


「なんかリョウ、暗くない?」

「私もそんな気がします。肝試しに嫌な思い出でもあるのでしょうか?」

「トラウマなら仕方ないよね。気の毒に…」


「はいはーい!みんな位置についた?ついた人から先に入ってね。私はみんなが入ったの確認してから行くわ」

「ちょっとリリア、あんたがこれ作ったならあんた怖くないんじゃない?」

「実はこれある人に作ってもらったから内容は私も知らないのよ」

「そうなの?ならいいわ。さっ、行くわよクロ」

「僕、まだ心の準備が…」

「幽霊なんて存在しないものに怖がってどうするのよ。男でしょ、行くわよ」


クロに有無を言わせずにマーシャたちは転移装置に乗る。


「さっ、私たちも行きましょ?」

「リリアめ、後で許さん…!」


それだけを言い残すとリョウたちも転移装置に乗る。


「フィリア、俺たちも行こう」

「ですね。ここにいても始まらないですし、行きましょう」


転移装置に乗り場所を移動する。


私が驚いていては迷惑をかけるのは必至。

そんなことないようにできる限り驚かないで行きましょう。

どんとこいです!


そんなこと考えながら転移装置に乗るフィリア。

しかし、転移先にはのっぺらぼうが待っていた。

さすがにここまで早く来るとは思っていなかったのでもちろん絶叫した。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ふぃ、フィリア!落ち着いて!」


の、のっぺらぼうが!

目の前にのっぺらぼうが!

顔との距離10㎝のところにのっぺらぼうが!

まじで死ぬかと思いました。


「ぁぁぁ…。す、すみません。大丈夫…です」

「落ち着くまで少し休もう?大丈夫じゃないように見えるよ?」

「そうですか?じゃあお言葉に甘えて」


分かった、と言いながらニコッとした後ケイトはのっぺらぼうの人形をいじり始める。

よくよく見るとただ顔がないだけの人形。

リアルとはいえ別に怖くはない。


はぁ、ケイトさん本当にやさしいですよね。

なんていうか、血の気が多いこの学校の中でも珍しくふんわりしている人ですよね。

紳士的という言葉はまさにあの人のためにあるような…、って何言ってるんですか私!

何考えてるんですか!

別にそんな気はありませんよ、断じて!

休んでいると変なこと考えてしまいそうです。

さっさと行きましょう。


「ケイトさん、そろそろ移動しましょう」

「えっ、もういいの?少し顔赤いように見えるけど」

「…!気のせいです。行きますよ」

「そうかなぁ…。まぁ、君がいいというならかまわないけどさ」


そんなに顔赤くなってるんですか私!?

これじゃあ先が思いやられます。

間違いなくリリアさんが仕組んだ感じですよね。

さっさと歩いて他の人と変えてもらいましょう。

嫌ってわけじゃないですけど…。

なんか、ですね…。


「フィリア?考え事してると驚けなくて楽しくないよ?」

「えっ、ああはい。そうですよね。でも驚きたくはないんですけど。にしてもケイトさんはさっきよく驚きませんでしたね」

「そうだね。俺はこういうのでは驚かないんだ」

「慣れっこってやつですか?」

「いや、俺のはちょっと特殊でね…」


少し、ケイトの顔が暗くなる。


もしかして、私触れちゃいけないところ触れました!?

こんなところで嫌われるのは嫌です。


「あ、すみません。何か嫌なことでも…」

「いや、フィリアが悪いわけじゃないんだ。だから気にしなくていいよ。それより楽しもうよ」

「…はい!」


そうですね。

ケイトさんの言う通りです。

今を楽しむのが一番。

今はこの状況を楽しみましょう。

できる限りケイトさんに迷惑をかけないように…。












「…長いですね」

「…長いよね」


おかしいです。

さっきから驚きながらも20分ほど歩いているのに全然合流する地点が見えません。

っていうか、このお化け屋敷どんだけデカいんですか?

リリアさん、誰かに作ってもらったらしいけどこんなのそこらへんの一般人じゃとても作れませんよ。


「合流地点まであとどれくらいだと思う?」

「たぶん存在しませんよ。そんなもの」

「だよね…。故障か何かかなぁ?」


…。

違和感がありました。

ケイトさんと今日初めて会った時から。

そして今その原因が分かりました。


「ケイトさん、口調変わりました?」

「えっ?ああ、ごめん。嫌だったかな?」

「いえ、そういうわけじゃないんですけど突然どうしたのかと思いまして」

「僕はね、初めてあった人に対しては敬語を使うんだ。けどね親しくなったと僕自身が思ったら敬語をやめるんだけど…嫌じゃないんだね?」

「いえ、理由があったなら別にいいんです。それにそれが親しくなったと思ってくれてたからならなおさらです」

「そうか。それはよかった」

「あと、質問がもう一つ。ケイトさん自分のことを指すとき、俺と僕を使いますよね?なぜ統一しないんですか?」

「それに関しては…特に理由はないかなぁ。自然と身に沁みついてしまったんだよ。今となってはどうでもいいことかなと思って直す気はゼロ。だめかな」

「いいんじゃないですか。ケイトさんの大切な特徴の一つですし」

「それ以外に何かあるの?」

「パーマ、白い髪、むっつり」

「ちょっと!むっつりってどういうこと!?」

「親睦会の時に大胆なことしたなぁと思いまして」

「あれは不可抗力だよ。気を悪くしたのなら今更でも謝るけど…」

「いえ、今ではいい思い出です」


そう、いい思い出。

たぶん、私はこの人のことが好きなのだろう。

どこに惹かれたのかは分からない。

彼のことだって知らないことの方が多い。

でも人を好きになるときってそんなものなのだろう。

ただ、この人と一緒にいると楽しい、嬉しい。


ついさっきまで、そんなことはないと否定していた自分がバカみたいです。

好きと言う感情に素直になって何がおかしいのだろう。

何が恥ずかしいのだろう。

さすがにミィヤ程まであらわにするとちょっとアレかもしれないが。


「あっ、フィリア。あそこ出口じゃない?」


ちょっと先に転移装置が見える。


「たぶんそうですね。にしても最後の方、気味が悪いだけで何も出ませんでしたね」

「分からないよ?まだ転移装置の前あたりで何かあるのかも」

「やめてくださいよ。私、今回のこれで寿命が3年くらい短くなったような気がします」

「はははっ、あまり長生きし過ぎても苦労するだけだからいいんじゃない?」

「私は少しでも長生きしたいんです!」


普通人って長生きしたいと思う生物じゃないですか。

科学が発展したこの世界でなら不便なく生活できるかもしれないのに。

やはりケイトさんは変わり者なんですかねぇ。


「ほら、着いたよ。結局何もなかったね」

「そうですね。…なんか警戒して損しました。ともかくさっさとここでましょう。気味が悪いですし」

「そうだね」

「みなさん、もうとっくに終了して待ってるんですかね?」

「なら急いで出ないとね。ほら早く行こう」

「はい!」


…なんだか不思議な時間を過ごした気がします。

昔は人見知りが今以上にひどかったから、ほとんど家族以外とはかかわりを持ちませんでした。

この学校に入ったってそれは変わらないだろう。

そう思ってたのにマーシャさんと同じ部屋。

初めは無理矢理にリョウさんに挨拶に行かされ「お前は私の親か!?」とイラッとしました。

ですけどそれから2人にはよくされました。

人見知りで口数の少ない私と友達のように接してくれて私に本当の友達をくれた。

それからさらに友達は増えて、今では好きな人も出来た。

あの2人には感謝してもしきれませんね…。

肝試しのおかげでこんなことに気づかされるなんて、笑い話もいいところです。

これからも皆さんと楽しくやっていきたいと思います。


フィリアは今までにないくらいすがすがしい気分で体育館に戻った。








しかし、そんないい気分で体育館に戻ったフィリアに待っていたのはのっぺらぼうで、再び悲鳴を上げたというのは別の話。

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