表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/46

再び始動する戦争

申し訳ありません…。

まさか4日も空いてしまうとは思ってもみなくて…。

夜の11時。

リョウは寺に来ていた。

待っていればキャンプに来てくれるはずなのに寺までやってきていた。

1時間ほど早く。

暗い道のりだったが魔法とは便利なもので自分が不便しない程度の光を作り出すことはさほど難しいことではなかった。


サリスとノリスが寺の前に立っていた。

門番のごとく扉の前で立っていた2人。

少し驚いた顔を見せたがすぐに1人が寺の中へ入る。

リョウは30分もの間、寺の前で待たされた。

巫女は準備にそれだけ時間がかかるのだろうか?

寺へ入る許可がおりると、サリスたちに昼頃連れていかれた部屋に通される。

巫女が昼と同じところに座っていた。


「私がそちらへ伺うはずだったのだけど?」

「みんな寝てたからな。それに一回寝ると俺も0時に起きれるか分からないし」

「まぁ、わざわざ動かなくていいからいいのだけれど」


目の前にお茶が出される。

さっきとは違い少しは歓迎されているようだ。


「じゃ、さっそくだけど本題に入るわ」

「ああ」

「なぜ8神を知ってたの?」

「…初めに言っておく。信じられないかもしれない」

「神を信じてるのよ?多少のことじゃ驚かないわ」

「そうか」


覚悟は決めていた。

話すしか道はないということも分かっていた。

いずれ他の人にも話さなければならないことだ。

だからすべて話した。

地球のことや、マクアドルの関係。

巫女は黙ってそれを聞いていた。

すべてを話し終わっても巫女は少しの間黙っていた。

ぶっ飛んだ話に頭がついていかないのだろう。


「にわかには信じ難い話ね」

「それはそうだ。俺も信じてもらえるとは思ってない」

「でも矛盾する点も特には見当たらない…」

「一応、すべて真実だからな」

「ん~…」


また考え込んでしまった。

無理もない。

むしろ考えてくれているだけありがたいほうだ。

頭ごなしに否定されても仕方ない。


「…証拠」

「は?」

「証拠は何かないのって聞いてるの。地球とかいう世界の物体とかないのかって」

「…」


地球にあったもの。

リョウが今持っているものでそれに相当するもの。

教材等が入ったかばんはなかったが…学生服がある。

ただ


「…今はない」

「今は?」

「一応マーシャっていう友達の叔父の家に1つだけある」

「そう。証明するものはなし…ね」


また、考え込む。

しかし今回はそんなに長くなかった。


「はぁ、どうしてこんな問題が起きるのよ。生徒どもが来るってだけでかなり面倒なのに」

「8体の神を知っていることの何が問題なんだ?」

「あなたの言っていることが本当なら確かに理由は知らなそうね。でも教えることは出来ないわ」

「なんで?」

「このことを知ってしまうとあなたは本格的に死に近づくからよ」

「そうか、ならやめておくよ」


死ぬのはごめんだ。

これ以上のことを聞いて死んでしまうのなら聞かないにこしたことはない。


「なら俺はそろそろ帰っていいか?」

「何言ってるのよ。全然問題解決してないじゃない」

「でも俺は知ってることはすべて話した。俺が協力できることは何もない。後はお前らの仕事だろ?」

「だけど―――」



巫女が何か言いかけた瞬間、地響きと同時に爆音が響いた。

ズシン…、と響き建物が揺れる。


「なっ!?」

「ちょっと、いったい何よ!?サリス、ノリス!」

「「はい」」


命令が下ったサリスとノリスはすぐに外に状況を確認しに行く。


「俺も」

「だめよ」

「なんで!」

「今あなたを私は疑っている。自分のことを知られたからこの寺を攻撃したのではないかと。今のあなたは人質よ」

「俺は生徒だぞ!?そんなことできると思うのかよ!?」

「それが分からないのがこの世界よ」

「でも!」

「いいから座ってなさい!でないと私が―――」


再び爆音が起きる。

さっきよりも確かに近づいていた。

リョウは迷わない。

すぐにドールを展開する。


「ちょ、あなた!待ちなさ―――」


そこまでしか聞き取れなかった。

リョウはすぐに外に出る。

寺はほとんど被害を受けていなかった。

しかし、寺を出た瞬間目に入ったのは、死体だった。

あるものは爆発に巻き込まれ、あるものは噛み千切られて死んでいる。

中には生きてはいるが助かる見込みがないほどボロボロになっている人もいた。


「おおっ?なんだおまえ」


声が聞こえたのでそちらを向く。

目の前には体全体を黒で覆った男が立っていた。

どこかで見た格好である。


「誰だ?おまえ」

「こっちが最初に質問したじゃねえか。ったく、しつけがなってねぇな」

「質問に答えろ」

「分かったよ。俺はサッド・マグ。ほら、お前も名乗れよ」

「リョウ・アマミヤ」

「そうか、1つ質問だ。ドールを装備しているようだがなんで生徒がここにいる?」

「答えるつもりはない。これはお前がやったのか?」

「質問に答えねぇくせに質問はするのか。ちなみにこれをやったのは俺じゃない」

「じゃあ、誰が…」

「こいつだよ」


サッドが後ろを指すと上から何かが降ってきた。

大きな地響きとともに。

砂煙が上がる。

確実に自分よりも大きく、凶暴だというのがわかる。


「…!」

「お前運いいな。ここの奴じゃないんだろ?じゃあどけ。今回の作戦は関係ねぇ奴はできる限り殺すなっていうことになってるんだ。どけば何もする気はねぇ」

「俺は、関係ない?」

「こいつと戦っても勝てねぇだろ?だからさっさとどけ。俺が用があるのはお前だ」


リョウの後ろを指さしている。

振り向くと巫女がいた。

冷めた目で相手を見ている。


「何の用かしら?あなたみたいな無粋な知り合いはいないのだけど」

「俺も初めてだよ。お前に会うのは」

「ふ~ん…。で、こんなことをしていったい何の用?」

「命をもらいに来た」

「寝言は寝てからいなさい」

「いいや。本気だぜ?準備も出来ている」


後ろの砂煙が晴れて降ってきた物体の姿があらわになる。

そこにいたのは龍だった。

見た目はティラノザウルスと酷似している。


「剛石龍…。いや、その模造品ね」

「へぇ、よくわかったな。本物を捕まえてきてもよかったんだけどよ、こっちのほうが楽だからやめた」

「なめられたものね。私が巫女と知っているでしょ?」

「神を呼び出せるからか?今のお前の神とやらはこいつで十分だと思ったんでね」

「ならそれが誤りだということを証明しなくちゃね」

「なんだ。出し惜しみはなしか?」

「これでもかなり頭にきてるの。リョウ、下がってて」


リョウの目の前に巫女が立つ。

リョウは「一緒に戦う」と言いたかったがやられたのは巫女の仲間だ。

危なくなったら助けに出ることにした。


「ありがとう」


何も反論せずに下がったリョウにそれだけ言うと深呼吸をした。

そして地面に魔力を送り込む。

ただの地面に魔力を送り込んでもそこに魔力がしみこむだけである。

水をイメージしてもらえればそれが一番近い。

しかし、この寺の庭には魔力が通るための道があった。

水路ができているようなものだ。

流れ出た魔力は庭全体に及び、やがて一つの魔法陣を作り出した。

その上に乗っていたサッドはそこから離れる。


「青龍!」


掛け声と同時に魔法陣が輝き始める。

そして




魔法陣から頭から順に現れる。

轟音と暴風が起きリョウは目をつむる。



―――――――――――――――青龍は現れた。



次に目を開けた時には魔法陣はなく、空中に、まさに神のように降臨していた。

強さなんて測るまでもない。

雰囲気のみでここまで圧倒されたことがリョウにはなかった。

月明かりはさほど強くないはずなのに、姿がすべてしっかり見える。


「す、すげぇ…」


思わず呟いた。

これほどにまで見とれるとは思ってもいなかった。

全身は青で統一されておりまさに、この寺で見た絵の通りだった。


「へぇ、少しはやるようだな」


巫女に近づきながらサッドはしゃべる。


「私も青龍もまだ何もやってないわよ?」

「お世辞だよ」

「それはあなたが言う台詞じゃないわ」

「どうも隠し事は苦手でな」

「そう。で、覚悟はいいかしら?」

「覚悟?何のだ?」

「生きて帰れるとは思ってないでしょ?」


だれにでもわかる殺気がこもった声。

それを言うと巫女は手をサッドに向ける。

青龍はサッドに向かって突っ込む。

しかし、剛石龍は邪魔をする。


「やはり、龍は龍と。人間は人間とやりあわないとな」

「あなた、剛石龍なしで私に勝てると思ってるの?」

「だから俺一人しかいないんだけどな」

「後悔するわよ?」

「おまえがな」


2人が魔法を唱え始めた。









「んん…、眠い」


リリアはリョウが寺に向かってから1時間たった11時過ぎに目を覚ました。

理由はクレアがリリアのベッドに侵入してきたからだ。

1日目のことがあってからクレアの侵入には敏感になっている。

そうやって起きたとき、リョウがベッドにいないのに気付き外に出てきたのだ。

テントの周りを探してみたがリョウは見当たらない。


「(いったいどこへ…。昼の巫女との騒動が関係あるのかしら)」


昼は戻ってきたときは「もう終わったから」といって何も話してくれなかった。

だからリリアもそれを信じたがやっぱり何かあったのだろう。

そう思い寺へ行こうとしたその時、何かの足音を感じた。

気のせいかと思ったが確かに聞こえてくる。

音はだんだん大きくなり、群れでこっち向かってきてるのが分かった。

非常時に備え、リリアはドールを展開する。


「いったい、なんなの?」


すると足音が聞こえてくる方向から1人、人が現れた。

リリアを見て少し驚いている。


「…驚いた。まさかこの足音で起きるやつがいたとは」

「あなた、何者?」

「すまない。応えたいのはやまやまだが守秘義務でね。それに…」


足音がすぐそこまで来た。

とてもうるさく普通の声ではかき消されてしまいそうなはずなのに、リリアにその男の声ははっきり聞こえた。


「死にゆくものに答えても意味はない」


その台詞と同時に足音の正体が姿を現す。

バルドスの群れだった。


「なっ!?」


反射的に地面を離れ宙に浮かぶ。

距離はあったのでかわすことは出来たがテントが危ないことに気づく。

いくら科学の力が加わったテントといえどもバルドスの突進を、しかも何度も受ければ壊れるのは間違いない。

転移装置の役目をしている扉が壊れれば中にいる人にどんな影響があるか分からない。


「なんなのよ!」


一番近くにあったテントだけでもと思いアクセルを使いバルドスより早くテントの前につく。

そして、目くらまし。


「フラッシュ!」


目の前が光る。

今ではよほど魔法を毛嫌いしていない限り、フラッシュはメジャーになりつつある。

もちろんフラッシュを使えるぐらい魔力があればの話だが。

これで、リリアはバルドスが止まると思った。

少しでも止まってくれれば何か打開策が練れるかもしれない。

しかし、ここで予想外の事態が起きた。

バルドスが止まらないのだ。

混乱している様子もない。

多少距離はあったがいくらなんでもおかしすぎる。

しかし、リリアに考えている暇はない。

急いで目の前にシールドを展開する。

一瞬、バルドスの群れはそこで止まった。

しかし、それは本当に一瞬だった。

すぐにシールドが壊れバルドスの群れが突っ込んでくる。






――――――――リリアに逃げる時間は残されていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ