異世界への訪問
どうもです。
開いてくれた方、ありがとうございます。
楽しんでいただけたら幸いです。
「…」
突然だが俺、雨宮涼はで草原で倒れている。
学生服で草原に1人で倒れてるって中々シュールな画だと我ながら思う。
今でもどうしてこうなった?と何度も頭の中で考える。
遡ること2,3日前。
俺はいつも通りの時間に起きた。
今日のトップニュースは…行方不明者についてだったかな?
いつも通りの道を歩いて学校まで行った。
犬に吠えられた、珍しく。
いつも通り屋上で嫌いな授業はサボった。
だが、どういうわけかサボってるところを見つけられて反省文を宿題にされた。
どういうわけか不幸が重なった1日だったがいつも通り寄り道して帰る…はずだった。
だが、今日はここでも不幸なことが起こった。
寄り道した後の帰るという行動が出来なかったのだ。
理由は今日の寄り道。
友達も時間が合わず、商店街を1人でぶらぶらしてると
「…見つけた」
聞こえた。
立ち止まって周りを見るがそれを言ったらしき人はいない。
昼間あんなに寝たのに疲れてるのか?と自分自身に呆れてしまった、と同時に気味が悪かった。
考えてみればおかしいのだ。
ここは人でにぎわう商店街。
こんな人が多い場所で隣にいる友達と話している時よりはっきり聞こえた。
早く帰ろうと思い足早になった時意識が落ちた。
気づいたら雑木林。
それから何もわからないまま人を求めて歩き続けた。
はじめはずっとイライラしてた。
本当に何なんだよ…。
早く帰るんだぞ?
いいことしようとしてるのになんだこの仕打ちは?
だがそれを考えられたのも初日のみ。
2日目には砂漠らしきところに差し掛かっていた。
人影は一向に見えず、愚痴を漏らす気力すらなかった。
一面砂だらけでそれ以外に表わす言葉がなかった。
で、3日目。
草原らしきところに差し掛かっていた。
最初は雑木林、次は砂漠、今は草原。
こんなところ、日本に存在するのか?
もしかして外国に連れてかれたりした?そんな不安を押し潰すようにして歩き続けた。
昼間、そこらへんの草を口に入れてみたりしたがとても食べられたもんじゃない。
夜、3日間ほとんど飲まず食わずだったため体力に限界が来た。
腹がへるというのは何度も味わったことはあったが、本当の腹がへるというのはこれのことをいうのだろうと身をもって知った。
今は寝っ転がる…いや、力が入らず倒れているが不思議と頭はスッキリしていた。
2日前の行方不明者のニュースをふと思い出した。
これでは俺も行方不明者になっているに違いない。
ニュースを見たときは他人事だと思っていたが人生は分からないもんだ。
俺、このまま飢え死にかなぁ?
自分の死に方って遊び半分で想像したことはあったけど、飢え死になんて考えもしなかった。
あっ、なんか眠くなってきた。
このまま寝たら死ぬってやつか?
死にたくはないけど…こんな風に楽に死ねるならそれも―――。
その夜はそのまま眠りに落ちた。
「…丈夫…で…か?しっ…し…さい」
次の日この声で目を覚ました。
何か聞こえる、そして揺れてるような気がする。
天国での起こされ方ってこんな荒いのか?
「しっかりしてください‼」
次ははっきり聞こえた。
揺すっているのはこの人のようだ。
…羽も輪っかもない。
つまり、俺はまだ生きているのか。
確かに腹もへってるし、喉もカラカラだ。
これでは天国とはとてもいえるはずがない。
「水…下さい」
「水ですね!少し待ってて下さい‼」
とりあえず喉の渇きをと思い水をお願いする。
その人は自分の水筒らしきものから水をコップに入れて渡してくれた。
これほど水を素晴らしいものと思ったことはなかった。
「…プハァ〜、ありがとう。助かったよ」
言いながら恩人を見ると女の子だった。
金髪だ。
「大丈夫なんですか!?こんなところで寝ているなんて…バルドスに襲われてませんか!?」
結構心配性のようだ。
バルドスとやらが何かは分からないが疲れていたのでとりあえず質問は保留した。
周りから見て外傷が無いことが分かると女の子は安心したようで座り込んだ。
「本当に襲われてないのね。良かったぁ。こんなところで寝てたのに襲われないなんて運イイわね」
すると彼女はこちらをまじまじと見はじめた。
聞きたいことが山ほどあるのでどれから切り出すか悩んでいると
「あなた、ここら辺の人…じゃないわよね?見たことのない服装だけど、っていうかどうしてこんなところで寝てたの?」
この人は学生服を知らないのか?
それになんか口調がガサツになったような気がするが今はそれどころではない。
疲れているが情報がほしい。
「えっと、まず助けてくれて本当にありがとう。質問に答える前に、ここはどこですか?」
目の前に広がるのは草原。
涼にはこの場所に心当たりなどない。
すると彼女は少し怪訝な顔をして、
「どこって、ここに名前なんて無いわよ。強いて言うならミューズデルにつづく道中かしら」
…は?
こいつは何を言っているんだ?ミューズ…なんだ?
どうやら本格的に日本ではないらしい。
地球の隅々まで探せばもしかしたらある地名かもしれないが、日本にそんな地名は存在しないだろう。
これからどうしよう。
学校の成績は中の上だったが、英語なんてしゃべれる程度にも…
「ねぇ、聞いてる?私はあなたの質問に答えたのよ?私の質問にも答えてよ!」
「…君、日本語話せるの?」
「はぁ?あなた本当に大丈夫?日本語?この世で生活してきたなら万国共通語であるミューズ語だってことくらいわかるでしょ。ていうかあなた今ミューズ語使ってるじゃない」
えっ、やだ、怖い。
今、俺日本語使ってるよな?
俺は今、わけの分からん言語と日本語で話しているのか?おかしくない?
外国語ならまだ聞き分けることができないこともよくある、それは分かる。
だが、母国語と外国語の区別がつかない?
そりゃないだろ。
分からないことが多すぎる。
ここ、もしかして地球じゃない?
ハハッ、まさか。
「…なんだかあなた心配だわ。とりあえず私と一緒に来ない?今私ミューズデルに向かってるの。2週間後に科学の方の受験するんだけどその前に叔父の家に泊まることになってるの。叔父は一人暮らしだから泊まる人が1人くらい増えても大丈夫だと思うんだけど」
心配性というよみは当たっていたようだ。
しかし、…ありがたい申し出だ。
分からないことだらけなこの場所について知るためにもいい機会だ。
だが…
「いいのか?こんな見ず知らずの男を家に招き入れるなんて」
「大丈夫よ。貴方弱そうだもの。やってみる?」
…否定はできない。
確かに喧嘩なんてめったにしないし体格も並々程度だ。
でも目の前にいるスタイルもいい普通の女の子に負けるとは思えない。
でも、
「やめておくよ。今はとても殴り合える状態じゃないし」
「…それもそうね。それじゃ、ついてきて。歩きながらいろいろ話しましょう。ミューズデルまでそう遠くないわ」
俺の異世界探検はこうして始まった。
あらすじにも書いた通り、マルチ投稿になっています。
少し手を加えていますが読んだことがある方は必要ないかもしれません。
それでも読んでいただけるのならありがとうございますの一言に限ります。
初めての方(おそらく大半)これからよろしくお願いします。