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MEMORYS

あなたに伝える勇気があれば

「悪いな、助かったよ」

「いえ、特に用事もなかったので。それじゃ、失礼します」

 放課後、担任の先生を手伝ってやっていたプリント綴じを終わらせた私は、職員室を後にした。

 帰宅部の私は、こんな時間まで学校に残ってる事なんて滅多にない。だから吹奏楽部から聞こえてくる音楽やグラウンドで練習している運動部の声がすごく新鮮に感じる。

 この声の中に彼の声もあるのかなと思うと、教室に向かう足取りが軽くなる。

 そういえば、前に忘れ物を取りに行ったら彼が寝ていた事があったっけ。あの時はちょっと驚いたな。部活に行っていると思っていたから。

 そう思いつつ扉を開けると……



「あ……」



 あの日と同じ様に、彼が窓際の自分の席で眠っていた。

 夕焼け色に染まる教室。元々明るめの髪がキレイな紅色になっていて、私は引き寄せられる様にその髪に触れた。

「柔らかい……」

 いつも彼女や周りにいる人達が普通に触っていて羨ましかった。それがこんな形で実現するなんて。

 でもこれは、相手が眠っているから出来る事。起きている時には絶対無理。



 せめて、勇気を出して挨拶くらい出来る様になれるといいのにね。




 私は、ゆっくり、そっとその手触りを刻み付けるかの様に彼の髪を撫で続け、小さく「私、あなたの事好きだよ……」と呟いた……。














 ―――おまけ―――




「俺も」

「え!?」



実は、今回も前回も寝たふりをしていただけで起きていました(笑)

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