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王女

 ようやく仕事がひと段落しました。というわけで、最新話更新です。

 タイトル、はよ考えないと……

「うわあああああああああ!!」

 

女の子の絶叫とともに、その指先に輝く呪紋から大量の水が溢れ出し――

 

 どごぉおおおおん!!


 そしてすぐに女の子の絶叫すらも掻き消す――先ほどの《火球》など比較にもならない

豪音。呪紋から一直線に溢れ出た激流がその先にある木々を薙ぎ倒し、破壊を撒き散らしていく。


 ――戦術級水精霊系攻撃魔法《水竜弾》。


 その凄まじいまでの破壊力は、激流が引き轟音が消え去ったあとに広がる光景が教えてくれていた。深く抉られた大地が《水竜弾》の進行方向に一直線に続き、そこに生えていただろう木々は一本残らず流されてしまい、もはや跡形も残っていない。

 この地形すらも変えてしまう大魔法を放った女の子の背後で、おれはドン引きしていた。


「待って、待って、待って! ちょっと今のシャレにならないよ!」


 肩で息をする女の子の後ろから、敵意がないことを示すために両手を上げて声をかける。


「そんな……あのタイミングで!?」


 ビクッと震え、俺の方へ振り返る女の子。目には驚愕の色を浮かべている。

 確かに、さっきのタイミングだと間違いなく直撃だ。というか、対人用の魔法じゃねぇぞ? あんなの。

 おかげで切り札の一つを切るハメになってしまった。そう何度も使える魔法じゃないのに……。


「だったら……!」


女の子は腰におびていた細剣を抜くと身構える。


「待って。おれはあいつらの仲間じゃない」


 尚も手を上げたまま、おれはゆっくりと女の子へと近づいていった。


「おれはこの街道の先にある、リッド村の者だ。ここには、たまたま通りがかっただけだ」


「ただの村人に《水竜弾》がかわせるはずがない!」


「それにはいろいろと事情があるんだって! そんなことよりも――!」


「見つけたぞ、殿下!」


 睨み合うおれたち二人のもとへ、ビージャスを先頭にした男たちが駆けつけ、剣を突きつけていた。




「しっかし、とんでもねぇ魔法だな。こいつは……」


 いまだ少し霧がかってはいるが、深くえぐれた大地を見てビージャスが呟く。


「今度は、そなたらにお見舞いしようか?」


 剣はおれに突きつけたまま、視線だけをビージャスに向ける女の子。


「ふん、どうせ打ち止めなのはわかっている。強がるのはやめて、おとなしくおれたちと一緒に来るんだな」


「誰が!」


 女の子がビージャスを睨みつける。と、その時――。


「レンちゃん!?」 「レン坊!!」


 うわ、最悪なタイミングだ。

 シェリアとトムさんが、おれたちに追いついてきたのだ。


「そなたの仲間か?」


「ああ、おれの村の者たちだ」


「そうか、本当だったのか」


 女の子がスッとおれから剣を引く。


「許すがよい。善良な国民に刃を向けるとは、王族として恥ずべきことをしてしまった」


 ビージャスたちから間合いを取るように、おれの横へと並ぶ。


「レンちゃん、この子は?」


「さあ? おれも詳しいことはわかんねぇけど、あいつらに襲われていた」


「野盗には見えんな」


 トムさんが腰に帯びていた長剣を抜く。さすが元冒険者。ブランクがあるが、それでも様になっている。

 ビージャスはともかく、その仲間の男たちにはけして引けを取らないだろう。


「そなたらは逃げるがよい」

 

 横に並ぶように立ったトムさんにちらりと視線を送り、女の子は一歩前に出る。


「奴らの狙いは……わたしだ!」


 さらに一歩前に出る。


「我はセレーム王国第四王女、ルーナディカ・ラン・ディ・セレーム!」


 幼い身体で精一杯背筋を伸ばし――


「そなたらの目的は我であろう?」


 白銀色に輝く髪を風にたなびかせながら――


「この者たちはたまたまここを通りかかっただけのものである!」


 その澄んだ泉のような淡い水色の瞳に、その年に相応しくない力強い意志の光を宿し――


「我が相手をするゆえ、見逃すがよい!」


 ――凄いな、この子。


 一瞬、彼女の放つ気に押されてしまった。

 内戦の際、各国の王族や貴族を見てきたけど、ここまで気高い心を持ったものは見たことがないぞ。これが王族というものなのかと、思わず納得してしまうね。

 まあ、王族や貴族がこんな人ばかりであれば、あの内戦なんて起こるはずもないんだけどね。


「残念だが、そうはいかないんだよ、殿下」


 歴戦の傭兵と思わしき男たちですら、この幼き王女の放つ気に威圧されていたが、ただ一人ビージャスだけはクスクスと笑いながら前に進み出てきた。


「目撃者は始末しろというのが、依頼主からの指示だ」

 

 まあ、そうだろうな。どう考えてもこれ、王族を暗殺しようとしているとこだろ。目撃者なんて逃がすわけがない。


「殿下はおれが相手をする。それ以外の奴らを皆殺しにしろ」


「もう一人、女がいるようですが?」


「まだ、ガキだぜ?」


「あれだけ成長していれば、十分だろ? 殺す前に楽しんでもいいですかね?」


「始末さえすれば、問題ないが。さっさとしろよ?」


「へっへっへ、了解でさ!」


 ――こいつら、明らかに暴力を楽しむタイプの奴らだ!


「わたしが相手だ!」


 止める間もなく王女――ルーナディカがビージャスに向かって攻撃を仕掛ける。


 ――速い!


 まだ幼いのに、その細剣の凄まじい速さ。


 大魔法である《水竜弾》を使ったばかりで、魔力も体力も相当削られているだろうに、それでも細剣を振るう。


 歯を食いしばり、低い姿勢から伸び上がるように閃光のような突きを放つ!


 凄い! 今の一息で二段突きを放っていた。正直、そこらの騎士よりも、彼女のほうが腕が立つんじゃないか?


 だけど――当たらない……。


 クスクスと笑っていたのが、今では大声で笑いながらルーナディカの渾身の突きを、斬撃を、大剣で弾き、その巨体からは信じられないような速さの体捌きで躱し続けていた。

 フェイントを入れてから身長差を利用しての低い姿勢から足元を狙った横薙ぎ、伸び上がるようにして放つ鋭い突きすらも、笑いながら躱していく。


「ダメだ……あの子とあの男では、格が違いすぎる……!」


 トムさんが呻くようにつぶやく。

 おれたちのほうも追い詰められていた。

 ルーナディカの魔法を免れた大木を背に、おれたち三人も五人の男達によって囲まれていた。

 トムさんが前に出て、おれとシェリアを庇うような陣形だ。


「もう諦めたらどうだ?」


「そっちの嬢ちゃん。最後にいい目に合わせてやるからさ」


「黙れ! ゲスが!!」


 シェリアを背中に庇い、トムさんが怒声をあげる。元冒険者だけあって、トムさんの構えには隙がない。

 そのトムさんに鍛えてもらったシェリアもまた、剣を構えて援護の姿勢をとっている。そのため、男たちもうかつには切りかかれず、挑発して隙を作ろうとしているようだ。


おれはどうするか――。

 

 この状況だと、もう本当の実力をごまかしながら、適当にあしらって逃げるということができるような状況じゃないな……。


――仕方がないか。


 その時――。


「そろそろ、お遊びはやめにしようか。殿下」


 ズン!


 辺りが凄まじい殺気で覆い尽くされた――。



 すみません、ここで力尽きました……。

 戦闘シーン、迫力出すの難しい。でも、次回も戦闘が続くので頑張るぞ!

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