はじめてのでんきゅう。
「そういえばなんだけど……」
俺は横で本を読んでいる麓に話しかける。
「ん?」
俺はじっと天井を眺めると前々から疑問に思っていたことを口にした。
「なんで夜なのに明るいんだ?」
「はあ?
そりゃお前、電球があるからだろう?」
「何言ってんだこいつは」というような目を向けて麓はまた目を本に戻す。
いや、だって気になるだろう?
「でんきゅーってなんだよ?」
そもそも、それが分からない。
いったい何ぞそれという感じだ。
「あー、しかたないなーもう。
よいしょ」
麓はのそりと立ち上がると呪術を唱え、足場を出した。
出したばかりの足場を床に置いてその上に乗る。
何するんだろう。
「これが電球。
わかるか?」
麓はそういいながら天井からぶら下がったやつの中身を指差した。
きらきらと太陽ぐらいに輝きを放っている。
あるとは前々から気が付いていたがそいつか。
そいつの名前が電球だとは初めて聞いたぞ。
「どういう仕組みなんだ?」
気になるでしょう、やっぱりここは。
「知らないのか、ウルバル。
はっ、やはり仔犬は仔犬だな。
この中に太陽を人間は作ったんだよ」
「!?」
た、太陽を!?
すっごい……。
人間って何、あれか。
魔術師なのか?
「だから触ったりすると――」
「きゃん!」
あっつ!
めちゃめちゃ熱いじゃないですか!
「言わんこっちゃなかったか。
中に太陽入ってるんだから気をつけろ」
「うぐぐ……。
言うのが遅いんだよバカ」
俺は飛び乗った足場から降りると床にごろんと寝っころがった。
太陽が入ってるっていうのが理解できない。
どうやって入れたんだろうアレ。
太陽ぐらいは知っている。
空に浮いているぽかぽかして光ってるやつだ。
「ってことは……」
俺はふと思いついてそばにある麦茶が入っていたガラスのコップを手に取る。
外へ飛び出せ。
そらっ。
「来い!」
俺は空にグラスを掲げると太陽を呼んだ。
おそらく。
あくまでも俺の予想だが、太陽は人間が作った電球の中から逃げたものなんじゃないかと思う。
となるとあれを捕えれば電球を作ることが出来ると考えたのだ。
「来い!」
こいよ!
びびってんのか!
「来い!」
「来い!!」
「来い来い来い!!」
This story continues.
~あふたすとーりー~
「た、ただいま」
「おーおかえり。
何やってたんだ?」
「電球を作ろうとしてた……」
「……?」
ありがとうございました。
いやはや、バカですね。
とんでもないバカです。
でもそれがかわいいと思いませんか。




