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あっという間だった冬休みが終わり、中2最後の三学期が始まった。
重い足取りでいつもと同じ景色の通学路を歩く。
チャットができないので少々苛々する。
…完全に依存症じゃん。
無題のチャットルームの主さんは竜雅さんって名前なんだって。
「おーいっ愛莉ぃーっ」
誰かに呼ばれ振り返る私。
「ん…?あぁ、蓮か。」
「なんだよ、その期待はずれみたいな言い方」
まるで子供を扱うように私の頭をくしゃっと撫でる。
この人は須神蓮。
私の幼馴染。
顔立ちは整っていてモテる。
「べっつに~?」
蓮に向かってにこっと笑う。
蓮も私に向かってにこっと笑ってくれた。
まるでどこかのカップルのように。
「お二人さん仲いいね♪」
この子は東美優。
見た目も性格もお姉さんで話しやすい。
良き相談相手でもある。
この3人はいつも一緒にいる。
「だって俺ら幼馴染だもんな~♪」
「え?そうだっけ?」
「愛莉、ひでぇよっ」
「はいはい、漫才はこれで終了~」
こんな私たちに美優は突っ込みを入れる。
私の日常はこんなに平凡な暮らし。
そうこうしている内に学校に着いて教室に入る。
私たちは全員C組。
美優とは同じクラスになってから仲良くなった。
「おっはよ~♪」
元気でノリの良い蓮はクラスで人気だ。
特に女子はきゃーきゃーうるさい。
「須神君おはよっ」
今日も女子達が蓮に寄っていく。
「なんであんなに人気なのかねぇ…」
「まぁかっこいいし性格もいいからね」
「美優は蓮に惚れたりしないの?」
「ん?私は年上がタイプだから♪」
…さすが美優。恐るべしっ!
キーンコーンカーンコーン…――。
この音でぞろぞろと自分の席に戻る生徒たち。
でも近くの席の人と話しているのでざわざわうるさい。
がらがらっと音をたてて開く教室のドア。
「はい、日直。」
先生が挨拶の合図を出すと教室がいっきに静かになる。
「「………」」
「日直!…渡辺!」
…あぁ、私か。
「きりーつ。きょーつけぇー。」
「「おはようございます。」」
「はい。おはよう。」
先生が今日の事など話している。
私は外を向いていた。
――――――――――――
「ばいばーい」
「また明日ね~」
やっと放課後。
「愛莉~」
「美優ーっ」
私は美優に抱きつく。
休み明けの学校ってなんでこんなにしんどいんだろう。
特に私の学校は休み明け一日目でも授業がある。
「あー、よしよしっ」
美優は私を撫でた。
「お前こんくらいでへばってんのかよ」
「蓮は寝てたからねー」
蓮に向かってべーっと舌を出す。
「須神君っばいばいっ」
一人の女子が蓮に手を振る。
「おー、じゃあな」
にこっと笑い手を振り返す蓮。
きっとこの笑顔に女子達は落ちるんだろう。
そしていつものように私、蓮、美優の三人で下校する。
「それじゃあまた明日ね」
美優とは家が遠いので途中で別れてしまう。
蓮と二人で帰り家の前まで来る。
「んじゃ明日ねー」
「おう!」
蓮とも別れ、家に入る。
自分の部屋に入りベットに横になる。
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