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病室の扉が開く。
扉の先にはいなくなったはずの父がいた。
妙齢の女性を連れて。
「久しぶりだね。あの時あの女から引き離してあげられなくてごめんね。これからはお父さんと新しいお母さんと一緒に暮らそう。楽しいことが待っているから、ゆっくり病気を直しなさい。」
といった。
自分が虐待の引き金になったことも知らないで。
それどころか、父親は私の名前すら知らない。あんたは親じゃないって言ってやりたかった。母親も母親だったけどこいつに比べたら親らしいことはしていた。
父親の色は灰色。私を引き取らないと世間様から非難を浴びるから仕方なく引き取るそんな感じだった。
父親が壊したのだ。全部父親が悪い。
すると妙齢の女性が
「こんにちは。私の名前は由比っていうの。貴方の新しいお母さんよ。」
といった。
うるさい、うるさい。
気持ち悪い。何この笑顔、その女性の色は黒、父親と世間に気にられるために演じているどす黒い色。
その色を見た瞬間、ああ私には本心から親と呼べる存在はこの世にいないんだな。と思った。
父親は名前すら知らない。聞こうともしない。
それどころか、自分が捨てた娘を引き取らないと体裁が悪くなるという理由で引き取る手続きをして、自分が付き合ってる女性と一緒に着た。
無神経だ。
今思えば、これを拒否していればもっと楽だったんじゃないかなと思う。




