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シエル
ガッシャーン!
とある村の酒場に、酷く荒れた酔っ払いがいた。
「おやめください!」
店員は止めようと抑えるが、彼女の力じゃ到底敵わない。
「あ?俺に文句あんのか?ヒック。それよりシエルはどこだ?ヒック。」
男は椅子から立ち、シエルを探しに行った。
男は近くの家に勢い良く入り、中にいた少女を強引に連れ出した。
「やめてください!シエルだけは!お願いします!」
少女の母は床に崩れ落ち、必死に止めようとしたが、男は無視して進む。
「お父さん、私を離して!」
少女はジタバタするが、少女の父は気にせず進んで行く。
「あ?うるせえぞ娘のくせに。黙れ。ヒック。」
少女の父は村を抜け、とある森の目の前で止まった。
「お前はもういらねえよ。じゃあな。ひっく。」
男は少女を森の中へ投げ入れた。
「い、いやああああ!」
少女の絶叫が遠くに消えていく。
少女の声が一切聞こえなくなると、男は不気味に笑った。
「この「魔の森」ならお前もすぐに朽ちるだろう。これで酒が飲める金が増えたぜ。ヒック。じゃあな。ヒック。」
男は一切振り替えず、大きい足音を立てながら帰っていった。