僕が死に近づいた日
掲載日:2022/05/05
純白が似合う彼女だった。周りの人も聖女様と崇拝した。その人たちに向かって微笑み返せるような、中身まで綺麗な人だった。不死身の自分は人とかかわる事を拒絶した。でも彼女の事は拒むことはできなかった。ひとときの夢を求めてしまったのだ。彼女は自分を不気味に思うことなく隣に置いてくれた。会話もした。お出かけもした。でも自分を見ているはずの目は虚構を映していた。
「あした、せかいがおわるよ。」
彼女ははっきりこう言った。唐突に発せられた冗談に何も答えられなかった。
「きみにとってもそうであったらうれしいな。」
続けてしゃべり始めた彼女のめから初めて視線を感じた。
次の日の朝、少しソワソワして迎えた朝。人々は騒がしく鳥は鳴き世界は正常にうごいている。でも、彼女の世界は終わった。ああ、そういう意味だったのか。いまならあの台詞の意味が分かる。時が止まった体では彼女の願いは叶えられない。だけど彼女と過ごした日々だけは同じように時が流れ、戻らない日々を共有していた。不死身の僕は死へと近づいた気がした。僕に時間を与えた君は再び時間を奪い世界の歯車戻った。




