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第5話 未知なる世界へ

一方......アダム? が逃げ出した事など知るよしも無い王宮はと言うと......



「ベーラ様、只今マルタ様が『オリーブ大陸』から大任を成し遂げて戻って参りました!」



「おお、待ちかねたぞ! 直ぐに通しなさい!」



ギー、バタンッ。



「マルタ様の~おな~り~......」



チャラン、チャラン、チャラン......



「......」



「......」



............


............


............



「おい、マルタ」



「はい」



「はい......じゃ無いだろ」



「......はい」



「何で1人なの? アダムは?」



「それが......海に飛び込んじゃいました。えへへ......」



「えへへ......じゃ無いだろ」



「はい」



「アダムを船に乗せた事は間違い無いんだな?」



「そこは間違い有りません。12才だし、おでこにアザが有りましたし、サマンサ村の住人でしたし。でも......」



「でも......なんだ?」



「いつまでも女のままでした」



「まぁ、それはまだ『めしべの滴』が効いてるんだろ。よしっ、もういい。下がれ」



「あれっ? おとがめ無しですか?」



「打ち上げ花火代500万ベリカはお前が払いなさい。あとはおとがめ無し!」



「500万ベリカ?! 別に花火頼んで無いし、そりゃぼったくり......」



「見苦しい奴だ。とっとと追い出せ!」



「かしこまりました。さぁ、来い!」



「ちょ、ちょっと待って!......あ、あああ......」



ギー、バタン。



「おい、ベーラ。ちょっと不味い事になっちまったな」



「あら、兄さんは心配性ね。大丈夫よ。アダムは自分がアダムだって事に気付いて無いだろうし、何で連れて来られたかも分かって無い筈よ。モニカだって『ポパイ大陸』に飛んじゃってる訳だしね......おいブラッド? ブラッドは居るか?!」



「はい、ここに控えております」



「詳細は聞いての通りだ。あいにく『ゴーレム大陸』の海は穏やかだ。きっと今頃アダムはどっかの海岸に泳ぎ付いてる頃だろ。直ぐに手勢を連れて引っ捕らえて来なさい!」



「はっ、承知致しました!」



バタバタバタ......



「まぁ、ブラッドが行けば......大丈夫でしょう」



「ほんとに大丈夫か? 俺はなんか嫌な予感がするんだけどな。やっぱ『オリーブ大陸』で殺しちまった方が良かったんじゃないか?」



「今更何言ってるのよ? そんな事したらあたしの楽しみが無くなっちゃうじゃない」



「何だよ、お前の楽しみって?」



「そんなの決まってるでしょ。何の為にソニアを生かしてると思ってるのよ? ソニアの目の前でアダムを殺すのよ。想像しただけでもゾクゾクしてくるわ」



「全くお前って奴は......どこまで残酷なんだ? まぁ、確かにそいつは面白そうだな」



「うん、僕もゾクゾクしてきたよ」



「あら、アダムも楽しみなのね。お母さんと一緒に美味しいお菓子でも食べながらゆっくり見てやりましょうね」



「うん、そうしよう......それよりお母さん、僕のお嫁さんは?」



「あらあら、あなたは気が早いのね。大丈夫、ちゃんと考えてるから。確かあなたは強い女が好きだったわよね」



「うん、今言ってたその子、船から海に飛び込んで大陸まで泳いで来るんだよね。僕、その子をお嫁さんにしたい!」



「その子はダメよ。捕まえたら殺しちゃうんだから。しかも男だし。他の子にしなさい」



「え~、そうなの? なんだ......」



「ふっ、ふっ、ふっ......いい子にしてれば、必ずいい娘が現れるから。あなたが一生懸命勉強していい国王になればね」



「うん、分かった。僕、立派な国王になるよ!」



「その意気よ。頑張んなさい」



「分かった」



『ゴーレム国』は19時を向かえようとしている。因みに今日は土曜日。イブを捕まえに街へ向かったブラッド隊50名に取っても、今海岸に泳ぎ付いたばかりのイブに取っても、これから果てしなく長いサタデーナイトが始まろうとしている。もちろん、本人達はそんな事、知るよしも無い訳ではあるが......



「ああ......やっと泳ぎ付いた。もうフラフラだわ」



遂にイブは禁断の地、『ゴーレム国』に上陸を果たした訳である。全てが未知なるその近代的な王国に......



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