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第12話 大人の女が居るだけだった

「モニカ殿の背中を流すのは俺だ!」



「何を?! 一番乗りは俺だ!」



「いや、この俺だ!」



「俺だ!」



「「「「俺だ!」」」」



気付けばあたしは『男』に囲まれ、遂に、バサッ! 衣を剥がされたのでした。「キャー!」


ところが......


「押すな!」「押すなって!」


そんな声が四方から立ち上がった理由は他でも無い。ズルズルズル......身体を両手で覆ったあたしと無数の『男』達の肉体は、落ちる......落ちる......ってな具合で、バシャ~ン! 一塊となって湯船の中に落ちて行ったのでした。


恐らく乗車率300%の満員電車顔負けの『芋洗い』だったに違いない。手も動かせなければ、顔も動かせない。肺が一気に圧迫され呼吸すらままならない状況だ。これは正に『湯治場』どころか、『殺人男風呂』。あたしの柔肌を、誰かに見られる隙間すら無かった事だけは、神に感謝しなければならない。



「たっ、大変だ! モニカ殿が口から泡吹いてるぞ!」


「黒目が白目になってるじゃんか!」



遠退いていく意識の中で、



「お前ら、モニカ殿を殺す気か?! 全員早く湯船から出ろ! ほら、早くしろって!」



ジャック殿の声が微かに聞こえてくる。ああ、ダメだ......目が回る......瞼が重くなって来た......お休み。


............


............


............


あたしは夢の中で雲の上を走り回っていた。


............


............


............



白馬に乗って、大空を駆け巡っていた。何て気持ちいいんだろう......


............


............


............



白馬は息を荒くして、なおもそのスピードを上げていく。


............


............


............



やがて上下振動がどんどん激しくなっていき......


............


............


............



自分の下半身が大きく揺れている事に気付かされる。



............


............


............



そしてあたしは、顔に吹きかかる激しい『夜風』に覚醒を始めていく。



ハァ、ハァ、ハァ......



やがて、それまで重くて開かなかった瞼をゆっくりと開けてみると、そこにはジャック殿の興奮仕切った顔が上に......そして柔肌を全てさらけ出したままのあたしの下半身はなんと! 大きく揺れていた。



ああ......そう言う事か......



一度は開いた瞼を、あたしはジャック殿に気付かれぬよう、再び閉じた。



そこに空軍隊長モニカは居ない。大人の快楽に酔いしれる『女』がただ1人、そこに居るだけだった。



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