第6話 そっちじゃ無いって!
そんなこんなで......10分後。
気付けば......
バサッ、バサッ、バサッ......
アダム君は『こうのとり』の首にぶら下がって、早くも海を渡っていたのだった。全部で『こうのとり』は3羽。それぞれが、篭1つを首にぶら下げている。
おう......
これが空って言うものなのか! なんて気持ちいいとこなんだ。それと下に大きく広がってるのが、さっきおっさんが言ってた海なんだろ......海って、デカいなぁ......海って壮大だなぁ......
よしっ、決めたぞ! 俺は将来大きくなったら、絶対にこの海を渡ってやる! この海を征服してやる! なぜなら俺は、この大地の王になるんだから!
アダム君がそんな大志を抱いてるうちにも、やがて遠くの海の先に、2つの『大陸』が見え始めて来た。
バサッ、バサッ、バサッ......
バサッ、バサッ、バサッ......
バサッ、バサッ、バサッ......
まず男の子を乗せた先頭の『こうのとり』は、そんな『大陸』が視界に入った途端、大きく右へと旋回を始め、そのまま、男しかいない『男大陸』へと舵を取って行く。
そしてもう1羽、『おてんば狐ザル』を乗せた『こうのとり』は、それとは逆の『女大陸』へと向かっていく。
ああ......『おてんば狐ザル』が行っちゃった。また酷い事言われたい......とてつも無くセンチメンタルジャーニーなアダム君だった。
更に、次なるアダム君を乗せた『こうのとり』はと言うと......
な、な、な、なんと! 『おてんば狐ザル』と同じ、『女大陸』へと急降下を開始したではないか! 完ぺきに指示が間違ってる。
そっ、そっちはまずいって! などと神様が慌てて天上から声を掛けたところで、『こうのとり』が神語を分かる訳も無かった。
『男種』と言う名の爆弾を抱えた『こうのとり』は、高速爆撃機と化し、一気に『女大陸』へと投下を開始していく。
はい、3、2、1......投下! ヒュルルルル......
一方、そんなアダム君を待ち受ける『女大陸』の祭壇では......今や遅しと『神の鳥』の到来を待ち受けていた。
「長老様! 来ました、来ましたですわよ! 私達の子孫を、神の鳥が連れて来て下さいましたよ」
待ち受けていた者達......
それはなんと! 男を見た事の無い純なる『女』達。そんな所へ、今、純粋なる果実、アダム君(男)が降り立ったら、一体どう言う事になるのか?!
その答えは......
「あれ? 何? この突起物? 見た事無いんだけど......」
プニュ、プニュ......
「フギャーッ!」