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第4話 ザブーン、ザブーン......

一方、尾行されていた事など知るよしも無い当のオリバーはと言うと......


部屋へ戻るや否や、ピキピキピキ......七変化を開始していた。


やっぱ、こっちの姿の方が落ち着くわね......鏡に写るそんな自分の姿は、正真正銘、『オリバー』に有らず『オリビア』。一介の健気な少女復活よ!


困ったわ......イブさんが夏祭りに来るんだって?! やっぱちゃんと話しておいた方が良かったかな......でもあたしだって、この現象の事よく分かって無いのに、説明しても混乱させるだけだったような気もするし......まぁでも、夏祭りで顔を合わせたところで、この成りだもん、気付く訳無いでしょう。


ところで......どっちのあたしが本当のあたしなんだろう? オリビア? それともオリバー? なんだかよく分からなくなってきちゃった。でも一つだけ言い切れる事が有る。それはオリビアに取っても、オリバーに取っても、イブさんが掛け替えの無い存在であると言うこと。


全てのバリアーを投げ捨て、彼女と恋に溺れてしまいたいと思う自分も居れば、自分の身に振り掛かりつつある災いに、彼女を巻き込みたく無いと思う別の自分が居たりもする。


もしかしたら、少し距離を置いた方がイブさんの為にはいいんじゃ無いか......そんな風に思ったりもしてる。因みに、もしこの姿のあたしが本当のあたしだったとしたら、それはイブさんを騙している事になるんだろうか? どうなんだろう......


ダメだ......悩んでたら急に眠くなって来た。あら、もう12時だわ。明日は朝から夏祭りの準備、しかも大詰めじゃない! しっかり働かないと、みんなに迷惑を掛ける。今日はもう寝るとしよう。それはそうと......今日もパピーとマミーの部屋は真っ暗だった。まだこんな時間に寝る訳無いんだけどな......まぁいいか。



それじゃあ、お休み......パピー、マミー、それと、イブさん......



スヤスヤスヤ......



一旦は全てを忘れ、着替えもせずにネバーランドへと旅立っていくオリビアだった。



 ※  ※  ※



そんな『バロック家』から程近い夜の海では......



ザブ~ン、ザブ~ン......



昼間は活気付く『オリーブ大陸』の砂浜と言えども、こと深夜と言える時間帯ともなると、鼓膜を刺激するものはループを繰り返す波音くらいだった。



ザブ~ン、ザブ~ン......



そんな中、



「うっ、うっ、うっ......」



何やら怪しいうめき声が......どこから聞こえて来るのかと見渡してみれば......それは波打ち際だった。


血の気を失い、息絶え絶えな者が1人......必死に砂浜を這いながら、押し寄せる波から逃れようとしている。


その者が身に付けている服と言えば、漁師のそれに他ならない。もしかしたら......『イカ漁』などで夜の海に出ていた船が難破したのでは無かろうか......であれば、よく生きてここまで流れ着いたものだ。



するとそこへ......



「リラ、頑張った甲斐があったな。あとちょっとで完成だな」



「そうね。オリビアにはもう時間が無いから......ボイル、あなたのお陰よ」



「何言ってんだ。可愛い娘の為じゃないか。俺達2人で頑張ったんだよ。おいおい......そんな寂しそうな顔すんなよ。俺まで悲しくなるだろ」



「うん......悲しんじゃいけないわよね。あれ......何かしら?」



「どうした?」



「何か......砂浜に打ち上げられてるみたい」



「何だって?! おお、確かに......ちょっと行ってみよう!」



「はい!」



ザッ、ザッ、ザッ......


 ザッ、ザッ、ザッ......



深夜、突如海岸に現れた瀕死の訪問客は、平和な『サマンサ村』を一気に波乱へと誘っていく......何て事にならなければいいのだが......


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