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第4話 この日が来るのをずっと待ってた

そんな事があってから3日経った後の事......



「ベーラ......あなたの連れて来たお医者さんを信じない訳じゃ無いんだけど......その薬、少しの間止めてみたらどうかしら?」



「また何でそんな事を?」



「主人が床に伏せてからと言うもの、どんどん容態が悪くなっている気がするの。ベーラ、この人の顔色を見て。あなたもそう思わない?」



3日前と比べて、明らかに血の気が薄れて来ていました。その事は私ソニアに限らず、誰もが思っていたに違い無い筈です。



「ご心配には及びません。暫くの間は、体調が悪くなったように見えると名医が言っておりました。むしろそれは投与した薬が病の根元と正に戦ってる事の証で、その峠を越えた後に、完治が待っているそうです。


私もソニア様も医療と言う事に関しては、無知にも等しい状態。ここは、その道のプロの言う通りにした方が宜しいかと私は思うのですが......もっとも、ソニア様が国王の完治を望まないと言う事でしたら、それはまた別の対応になるのかも知れませんが」



「あたしが、国王の完治を望まないですって?! 一体何を言い出すのかと思えば......確かに私は、あなたの言う通り医学の知恵を持ち合わせていません。そうですが......分かりました。ではあなたの言うように『薬』の投与を続けましょう」



「承知致しました」



ベーラにそんな事を言われてしまうと、私に返す言葉は有りませんでした。なぜなら私に医学知識などは、これっぽっちも無かった訳なのですから......


今、思い返せば、なんでこの時『薬を止めなさい。これは王妃の命令です!』と、はっきり言えなかったか......悔やんでも悔やみ切れません。もしそれを言えていたのなら、この後『ゴーレム国』に、悪しき暗雲が立ち込める事も無かった筈なのです。しかし結果としてそれを言う勇気が私には無かった。残念ながら、それが全てなのです......



その日を境にして、『ゴーレム国』の王シーザーの容態は、どんどん悪化の一途を辿って行きました。7日経った今となっては、もうベッドから身体を起こす事すらままならない様子。



そして遂に......


その時が訪れてしまったのです。



「う、う、う......皆の者、あ、集まったか?」



「う、うん、『アダム』はここに居るよ」



「あなた......『ソニア』はいつも、あなたの側にお仕えしております」



「空軍隊長『モニカ』、只今参上致しましたわ!」



「陸軍隊長『ゾール』、今戻ったで候!」



「海軍隊長『ブラッド』、大海原から戻って参りました!」



そして......



「『ベーラ』も、ここにおります」



もはや虫の息......そんな『ゴーレム国』の王、シーザーのベッドを取り囲む6人の中心人物は、今ここに集まった理由を勿論理解していたと思います。



「皆の者......どうやら天から......お迎えがやって来たようだ。この大国『ゴーレム』に......一日足りとも、国王不在の時が......あってはならぬ。


アダムよ......わしがこの世から旅立ったその瞬間から......お前がこの国の王となり、万民を治めよ。その事に......意義有る者は......おるか?」



言葉を繋げる事すらやっと......そんな壮絶な喋り方でしたけど、さすがは国王シーザー。その語調は決して弱々しく有りませんでした。きっと最期の力を振り絞ってたんだと思います。


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