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第7話 きっとあなたのお力に......

やがてオリバーは剣を下ろし、振り向き様に叫び声を上げた。


「おいチョビ、俺は『悪』を憎み『善』を好む。よって今この瞬間から臥龍村を助け、自警団を討伐する事に決めた。お前は『悪』に付くか? 『善』に付くか? どっちだ?」


すると真っ先に声を上げたのは、チョビに有らず......イバンの髪の毛を掴んでいたブルートだった。


「き、貴様、裏切りやがったな! おいチョビ、お前は自警団のお荷物だ。だからここでオリバーを殺していい働きを見せろ! さぁ、何やってる? 早く戦って来い!」


多分、部下に戦わせて、その隙に自分だけ逃げ失せようって腹なんだろう。まさかチョビって小男ごときに、このオリバーを倒せるなどとは、夢にも思っていないだろうに......


すると、チョビなる小男は、シャキーン......ブルートに言われるがまま勇ましく剣を抜いた。そして静かに語る。


「オリバー......俺はもうガキじゃ無い。だから善悪の区別だって付いてる。だかな......善悪を越えて、もっと大事で厄介なものが有る。それはな......『恩義』ってもんだ。俺は弱っちいけど、1度受けた恩義は絶対に忘れない」


「よし、チョビよく言った! さぁ、オリバーを殺せ!」


既にブルートの腰は上がってる。逃げ出す準備万端ってとこなんだろう。


「分かった......それじゃあお言葉に甘えて、恩義に報わせて貰おう!」


そして、バサッ!


「な、なんで?......うっ!」


イバンの髪の毛から手を離し、地に崩れ落ちるブルートだった。


「チョビ......」


「オリバー、俺は曲がった鼻を治してくれたお前の恩義に報いただけだ。今度強くなる方法を教えてくれるって言ってたよな。頼むぜ」


正直この時俺は、全身に鳥肌が立っていた事を今でも覚えている。この状況は、俺とオリバーに取って、決して楽観出来るような状況じゃ無かったからだ。なぜなら、イバンの命はブルートの掌にあった訳だから......


俺とオリバーの立ち位置は、ブルートとイバンの居る所から5メートル以上離れてた。いくらオリバーが早業を見せた所で、そこへたどり着くまでに、ブルートは確実にイバンを切り殺していた事だろう。


あの状況で唯一イバンを助ける方法があったとしたら、それは直ぐ横に立っていたチョビなる男に、ブルートを殺させるしか無かった。


そしてオリバーは即座にそんな状況を看破し行動に移した。結果、『悪』が1人消滅するに止まらず、更に『善』を1人味方に付ける事となった訳である。


もはやこの時点で俺は、驚きを越えて恐怖すら感じていた事も事実だ。モニカさん......あなたが探しているこのオリバーと言う若者は一体何者なんだ? この大陸、いやこの星の王なのか?......ほんの一瞬とは言え、この若者に嫉妬した自分か今更の如く恥ずかしくなって来る......


「チョビ......お前はもう弱者なんかじゃ無い。悪玉ブルートを成敗した聖戦士だ。自信を持て」


「ありがとよ......これから世話になるぜ。宜しくな」


気付けばチョビなる者は、オリバーの前て膝を付いていた。きっとオリバーの身体に取り巻く力強きオーラを感じ取っていたんだろう。


「お、お父さん!」


「イバン!」


ブルートから解放されたイバンは、涙を流しながら俺に抱き付いて来た。正直、自警団が再び村を襲って来た時は、こんな瞬間を向かえられると思ってなかった。臥龍村の誇りとして、潔く死ぬ事しか考えてなかったと言っても過言じゃ無い。


全てはこの人のおかげ......そしてこの恩義に報いる方法はただ1つ! それは......


「今日からあなたがこの臥龍村の長です。あなたがあなたの目的を達成する為にこの村の兵をご自由にお使い下さい。衰退したとは言えまだまだ兵の数は50を下りません。きっとあなたのお力に成り得る事でしょう」



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